東京のホテル宿泊記録(④THE KNOT TOKYO Shinjuku)
毎週は(財布的に)厳しいところでもあるので、今後は頻度は減らしていくと思いますが、月2を目標に宿泊記録をあげていきたいところです。
さて、今回紹介するのはTHE KNOT TOKYO Shinjukuという西新宿のホテルです。新宿といっても都庁のさらに西、新宿中央公園に面した立地で、後背には住宅街が広がっており、一般的に「新宿」と聞いて想像する歌舞伎町のある東新宿や超高層ビル群の連なる新都心エリアとは少し趣が違うエリアとなります。
このホテルがオープンしたのは2018年8月ですが、それまでの経緯やホテルの企画、街との関係性などの話は次回に回すとして、この記事ではあくまでデザイン目線でホテルの記録を記載していきます。
さてそれでは外観から。
1階は街路樹でやや見づらいですが南(左)がパン屋さん、真ん中正面がエントランス、北(右)がカジュアルなレストランのテラス席になっています。2階は少しガラス張りで、1階よりも少し価格帯が上のグリルレストランが入っています。3階以上はポツ窓が連なっており、全体のボリューム感含めて、変哲のないホテルらしい外観です。
エントランスは赤レンガ風タイルと暖色系の電球でシティホテルらしい、ややレトロな印象を受けます。サインの雰囲気のカジュアルな感じとアンバランスな感じですが、リノベ感がよく出ているところでもあります。
エントランスを入るとやや奥にホテルのフロントロビーが見えます。今は人がおらずガラガラで寂しい感じですが、数ヶ月前に訪れた時には自由に利用できるゾーンであることもあり、少し奥に見える大きなテーブルやソファのあたりはインバウンド客などでごった返していました。
ちょうど上の写真の右側がレストランになっていします。吹き抜けから見える1階天井と2階床の間の部分(なんて言うの?)のディテールや、ランプを組み合わせたシャンデリア風の照明が好きです。
夕方にチェックインしましたが、カフェ使いしている方がチラホラ。夜はカジュアルながらオシャレな雰囲気で、おそらく近隣の人たちかな、と思われる若者や家族などで賑わっていました。
上の写真を撮っているのはテラス席からですが、このテラス席が素晴らしいと思いました。夜は実際に何組かお客さんが使っていたので写真がありませんが、朝の無人のテラス席が下の写真の感じ。オーニングとソファに置かれたクッションなど、オシャレに開放感が演出されており、それでいて歩道との間に結構な密度で植栽が植わっており、道路側から見られている感はありません。
パーティションやアルコール消毒、ソーシャルディスタンス等、コロナ禍で感染を防ぐため様々な工夫がなされていますが、建築的な視点では換気設備の充実とともに、こういうテラス等の外部空間のデザインが今後どんどん洗練されていくと思われます。
続いて客室を見ていきます。宿泊したのはクイーンルーム(17㎡)とホテルの中では一般的な中サイズの部屋でした。
グレーのタイルカーペットと木のフローリング・テレビパネル、クッションやベッドスローはアクセントカラーが使用され、全体としてオーソドックスなカラーコーディネートでまとめられています。
雰囲気は「ニューヨークスタイル」という感じかもしれませんが、そこまで攻めたデザインの感じではありません。おそらく元の部屋割りを変えずにデザインされているので、リノベーションというほど大げさなものではなく水回りの更新と内装新調くらいの感じだと思います。
こじんまりしたテーブルやその横の収納上の備品類、アメニティなどコンパクトにまとまりながら、バゲージラックを広げる場所は確保されていて、インバウンド客にとっても、限られた空間の中で必要十分の機能が備わっている印象ではないでしょうか。
いつも基本的に褒めるコメントの後に、残念ポイントを書いていますが、今回の残念ポイントは「角が合っていない」というところです。普段気にならないのですが、ものをぶつけたり、落としたり、そういう時に「角」の存在は気になってきます。
上の実測図の黄色が込の部分がそうですね。1つめはベッド幅1700mmに対して、水回りとの間仕切り部分の袖壁が1600mmなので、ベッドボードがはみ出てしまっています。ベッド幅を100mmでも確保したいというところからの妥協ポイントだと思いますが、通路幅も狭くなり少し残念です。
そしてもう一つは窓側の収納と窓台の位置。冷蔵庫のサイズなどで奥行が決まっているため仕方がないといえばそれまでですが、高さを合わせて窓台と一体で使えるようにするなど、工夫の余地はありそうです。
いずれも些細なところですが、やはり建築やインテリアは細部が重要だと思っていますので、こういうところがバチッと決まったものに出会えるとテンションが上がりますし、逆にうまくいってないと惜しいなぁ~という気になります。
ホテルの顔としてイメージや世界観を演出するための大きなアイディアが必要な共用部、様々な制約のなかでうまく諸要素を繊細に解決しなければいけない客室空間、そしてその2つの関係性など、多くのものを解決しないといけないホテルのデザインの奥深さを再認識させられました。次回B面では企画や運営などソフトの部分の話をしていきます。
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