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『マリオカート8 デラックス』コース追加パスによって再認識する「8ネイティブコース」の作り込み
ついに本日、『マリオカート 8 デラックス』の「コース追加パス」が配信されました。まだ登場していない過去作のコースや『マリオカート ツアー』オリジナルコースが8でも遊べるようになり、早速楽しんでいる人も多いと思います。自分も早速遊んで、ツアーオリジナルコースの周回変化にスゲーと思ったり、過去作コースのBGMのアレンジに酔いしれたりしています。
8ならではの細かな演出や質の高いライティングで過去作のコースがしっかりと落とし込まれており、今後もまだバリバリコースが追加されていくことを考えると、2,500円という価格に対して大変満足度の高いDLCと言えるでしょう。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
元々ツアーの時点で好きなコースだったのですが、8の操作感と迫力ある大画面で「ニンニンドージョー」が遊べて非常に嬉しい。
しかし、追加されたコースを遊んで、「あれ?」と思っている人も多いのではないでしょうか。8のコースをやり込んでいる人なら、主にビジュアル面で今回の追加コースはだいぶ劣っていることに気づくでしょう。
それもそのはず、今回追加されたコースは、過去作のリマスターコースも含めて、多くは『マリオカート ツアー』にて使われているコースを『マリオカート 8 デラックス』のためにアレンジして落とし込んだものなのです。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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もちろん、8に落とし込む上でライティングはもちろん一部のテクスチャやオブジェクト、ギミックなどがアレンジされていますが、基本的にはツアーにて実装されているコースが元になっています。
正直、配信前のPVを観た時に筆者はその部分にだいぶ不安を抱えていたのですが、いざ実装されてみればそれは杞憂だったと思っています。元々のツアーの時点での素材が非常に良く、8に丁寧に落とし込まれることで基本的に遜色なく遊べるクオリティを実現しており、さすがだと感じました。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
とはいえ、今回追加されたコースを遊んだのち、あらためて8ネイティブコースを遊ぶと、演出面でもビジュアル面でも、その圧倒的なクオリティの差に驚きます。むしろ「コース追加パス」を遊んだことで、『マリオカート 8』のコースの作り込みを再認識することになりました。
というわけで、今回は「コース追加パス」で追加されたステージと「8ネイティブコース」を比較しつつ、あらためて『マリオカート 8』のコースの作り込みの凄さを伝えていきたいなと思います。
ただ、その前に一応「8ネイティブコース」という単語に決着をつけなければなりません。これは、「コース追加パス」にてツアーを元に今回追加されたコースと、元々8向けに作られたコースを選り分けるために便宜上そう呼んでいます。具体的には、今回の「コース追加パス」で追加されたコース以外の全てのコースを指しています。なので、リメイクコースであっても、WiiU『マリオカート 8』にてDLCで追加されたコースであっても、ここでは「8ネイティブコース」と呼ばせていただきますのでご留意ください。
元々筆者は『マリオカート 8』シリーズのコースが大好きで、今作のHD機ならではの質の高いグラフィックはもちろん、コースごとの舞台設定やそれらのつながり、装飾や背景にいるキャラクターなどによって緻密に描かれた世界観がカートレースごしに伝わってくるデザインがとても気に入っています。
今作にコースとして登場する施設や自然には、普段は実際にそこでキャラクターが生活しているのだろうと思わせるリアリティがあり、また8特有の現代的なモチーフは本編のスーパーマリオシリーズには無い世界観を感じさせます。本作のような発展した文化と作り込みを持つマリオ世界を歩いて探索出来るゲームが欲しいとずっと前から思っているぐらいには好きです。
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本作の舞台同士の繋がりが分かりやすく描かれる例の一つとして、「リンリンメトロ」が挙げられます。
コース内の看板をよく見ると、この駅では一番線に「ヨッシーバレー」行きの電車が、二番線には「ミュージックパーク」行きの電車が通っていることが分かります。また、構内の線路図を見ると、他にも「マリオサーキット」、「カラカラさばく」、「ベビーパーク」など、8に登場する様々なコースと繋がっている地下鉄だということが描かれています。
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さらに、メトロ構内に設置されている地図の地名を見ると、”TOAD HARBOR(Toadはキノピオの英名)”とあり「リンリンメトロ」が「キノピオハーバー」と同一の街にある地下鉄であるということが見て取れます。
さらにさらに、この地図に描かれている円形の町並み、分かる人も居るかも知れませんが…
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そうです。64版のリメイクコースである「レインボーロード」の直下にある夜景の綺麗な町並み、実は両者の街と同一のものなのでした。というように、『マリオカート 8』のコース同士は独立したものではなく、同じ世界の中に存在しているのだということがはっきりと描かれるようになっています。
このようなコース同士の繋がりが明確に描かれる例は、「サンシャインくうこう」にもあるので、これはぜひ自分の目で確かめてみてくださいね。
『マリオカート 8』のコースには他にも様々な仕掛けが施されています。
例えば、「ドラゴンロード」はその名の通り「スーパーマリオ ギャラクシー2」に登場するドラゴンのようなボス「ガブリュウ」をモチーフとした建物の中を走るコースですが、建物の中をよく見ると、壁に「ジュゲム」が描かれています。
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中国をモチーフとした世界観の「ドラゴンロード」ですが、ジュゲムが何やらカンフーっぽいことをしている様子が描かれています。
一体この土地がどういった場所なのか気になって仕方がありませんが、なんとこの「カンフー・ジュゲム」、リボンロードの背景を見ると、どうやら"映画化"しているようなのです。
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ポスターにでかでかと「KUNG FU LAKITO(Lakitoはジュゲムの英名)」と描かれています。明らかに『カンフー・パンダ』のパロディですが、8にはこういった細かい小ネタも至るところに散りばめられています。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
このようなコース同士の繋がりが描かれる演出は現状「コース追加パス」にはありません。今後追加されるコースにてそういった小ネタもあるかもしれませんが、そもそも「パリプロムナード」や「トーキョースクランブル」といった現実世界の街をモチーフにしたコースが登場する時点で、8の世界とは切り離されたコース達だと考えるのが良いのだろうと思います。
『マリオカート 8』は、BGMを使った仕掛けや音響へのこだわりも非常に秀逸です。また一例を紹介してきます。
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まず、「ワリオスノーマウンテン」。このコースは直線上になっており1周で終わるタイプのコースですが、1ラップ、2ラップ、3ラップごとに別々の楽曲が用意されており、動的に変化するようになっています。
さらに、同じラップ内でもプレイヤーの走っている場所を予測するような変化のある楽曲になっており、コースの情景やレース終盤の気持ちの盛り上がりに呼応するようなBGMが流れるため走っていてとても気持ちが良いです。
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似たような仕掛けは「ドルフィンみさき」にもあります。このコースの場合は水中と地上で二種類の楽曲が用意されており、コース終盤で水中から地上へ出る時、心地よく響くトランペットを主体としたBGMに切り替わり、それに呼応するように、水中から一転開放感のあるコースを走ることになります。
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ヘイホー達が働いている場所を通る時、BGMに合わせたヘイホー達の歌?が聞こえてくる。
「ヘイホーこうざん」のように、特定の場所を走る時にBGMにトラックが追加されたりするような仕掛けや、「ミュージックパーク」や「エレクトロドリーム」のように特定の場所を走る時に音の効果がつく仕掛け、「サンシャインくうこう」のように、旅客機が上空を通る時だけ他の効果音が非常に小さくなる、というようなダイナミックな仕掛けまで、様々なコースに音を使った仕掛けが散りばめられています。
こういった仕掛けはサウンドに非常に力を入れている『マリオカート 8』ならではで、これも『マリオカート ツアー』を元にしている「コース追加パス」のコースでは今の所あまり見られません。
プログラム上での処理が必要で、インタラクティブミュージックの仕掛けを前提にコースを作らなければならないため、「マリオカート ツアー」に実装されているコースを持ってくるという今回のやり方だと、今後もそういった仕掛けのあるコースがこのDLCで追加される可能性は低いかもしれません。
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他にも、背景に配置されている小物や細かな装飾、看板や電光掲示板やコース中の広告などなど、バックにある世界を感じさせる工夫が非常に多いです。特に広告はなかなか興味深い内容が多く、「ピーチサーキット」では、「Women of Racing Organization」というおそらく女性レーサーを支援する謎の組織が広告されていたり、ピーチとデイジーによる洋菓子店の広告が出たりしています。クッパはかなり多くのコースに「Bowser Oil」という石油会社の広告を出しているし、何故かレミーはタイヤ屋さんを運営しています。
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「マリオカートスタジアム」ではプレイヤーが走っている様子がコース内の巨大なディスプレイに映し出されていたり、「ミュートシティ」の電子看板にはF-ZEROのキャプテン・ファルコンやサムライ・ゴローなどが写ったり…などなど、とにかく書ききれないほどたくさんの工夫が『マリオカート 8』のコースには詰まっています!とてもここでは紹介しきれないので、この先はご自身の目で、タイムアタックモードを活用して、『マリオカート 8』のコースを舐めるように観察してみてくださいね。
次に、今回の「コース追加パス」のコースと「8ネイティブコース」、実際にビジュアル面でどのぐらい差があるのか、いくつか比較の画像を撮ったのでご覧ください。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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似たようなコーナーを含むトンネルの比較です。「ヨッシーサーキット」の方が明らかに情報量が多く、ケーブルやライト、電力設備のようなものが描かれているのが分かります。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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似たような吹き抜けの施設の比較です。「ココナッツモール」は今回の「コース追加パス」にて初登場で、「マリオカート ツアー」には登場していませんが、ライブゲームとしてある程度低コストでコースを量産するためか、テクスチャを貼らなくても成立するアートスタイルである「マリオカートツアー」側のコースに寄せており、無地の壁や天井が目立っています。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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似たような緑のある公道の比較です。全体的に今回の「コース追加パス」の木々はつるっとしたオブジェクトになっていますが、芝生や道路の白線などのテクスチャも、こう比較すると『マリオカート 8』のコースがどれだけ丁寧に作り込まれていたか分かります。
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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(コース追加パス 第1弾より追加)
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↑その他いろいろ比較。
今回追加された「コース追加パス」のコースのうち、『マリオカート ツアー』のものを使っているのが、「ココナッツモール」、「キノコリッジウェイ」を除く6コース。
新たに収録されたこの2コースも、ツアー側に合わせており、ビジュアル面で「8ネイティブコース」には遠く及んでいません。
ただ、今回の「コース追加パス」は、『マリオカート 9』が近く来るということをあらためて否定するかのような形で発表されており、少なくともこのコース追加パスの配信が終わる2023年末までには来ないと明示されたように思います。
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WiiU版発売から8年近く経とうとしている『マリオカート 8 デラックス』ですが、現状Nintendo Switchで最も売れたタイトルであり、今でも爆発的に売れているモンスタータイトルです。あまりにも息の長い『マリオカート 8』ですが、このタイミングで『マリオカート 9』を出してしまえば、両者が顧客を食い合ってしまいます。
そこで、今回のDLCにてあらためてしばらく『マリオカート 9』は出ないということを匂わせ、その間「マリオカート」シリーズの話題性を一定度保ち続ける目的で始まったのがこの「コース追加パス」なのではないかと思っています。さらに言えば、このDLCを「Nintendo Switch Online +追加パック」に追加することで、アップデートが来るたびに未加入者に対する一定の訴求力を持つことが出来ます。
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このDLCは最終的に合計で48コースを追加するものであり、『マリオカート 8 デラックス』に元々収録されているコースと同数でこれはかなりの破格と言えます。友人と『マリオカート 8』を定期的に遊べる口実にもなり、BGMもしっかり今回のためにアレンジされているということを考えると、非常に良いDLCだと思っています。
今回の「コース追加パス」のコースを遊んで、あらためて『マリオカート 8』シリーズのコースデザインの緻密さを噛みしめることになりましたが、『マリオカート 8』のコースの良さにあらためて向き合ってもらえる記事になったなら幸いです。
そして、このDLCを配信している期間に、任天堂が『マリオカート 9』のコースを『マリオカート 8』以上のクオリティで仕上げていると信じて、追加される歴代コースを楽しみながら待つことにしましょう。