『五月の鷹』感想
『Fate』シリーズ以外にも、様々なアーサー王伝説のメディアミックスがある。できる限り、そちらも読んでいきたい。まずは直近で読んだ『五月の鷹』から。
『五月の鷹』は、『ガウェイン卿の結婚』を下敷きにしたアン・ローレンスの小説だ。
『ガウェイン卿の結婚』については『Fate』シリーズでも存在することが語られている。ガウェインが年下巨乳派になった重大な事件だ。
・『ガウェイン卿の結婚』との違い
『ガウェイン卿の結婚』ではモーガン・ル・フェイの罠にかかったのはアーサー王だ。約束を破った時に要求されるのは命ではなく国だった。また、「全ての女性が望むこと」の返答も違う。『ガウェイン卿の結婚』では「自分の意思を持つこと」だが、『五月の鷹』では「それぞれの生き方、つまり、自分自身の生き方」となっている。
これは時代背景も関係しているだろう。
『ガウェイン卿の結婚』の成立は15世紀後半頃だという。この頃はまだ男女平等のだの字もなかった頃だから、「全ての女性が望むこと」が「自分の意思を持つこと」なのも納得だ。
一方『五月の鷹』は1980年の作品である。日本で男女機会均等法が施行されてから8年後だ。この頃には「女性が自分の意思を持つこと」はわざわざ望むほどの事でもなく、「自分自身の生き方を貫く」ことの方が重要視されていた、という事ではないだろうか。
こういう違いが時代背景を表しているようで面白い。
・その他原典との違い
この作品にはランスロット卿一味は出て来ない。もともとの『ガウェイン卿の結婚』に出て来ないためだろう。
でもガレス卿はいる。一応ガウェイン卿の兄弟だからだろうか。
ちなみにガレス卿の嫁、暴言女王のライネットも出てくる。やたら偉そうだったり失礼だったりで安心安定の通常運転だ。やっぱり君はそうでないとな。
・感想
噛ませ犬じゃないガウェイン卿、良い。やっぱり推しが噛ませ犬ばかりやらされていると気分が落ちるものだ。できればガウェイン卿が戦闘で無双しているところも見たいのだが、能力がボス向きすぎるのでもう終わりだよ終わり(ヤケ)。