「寝れば解決」2024年9月29日の日記
朝起きて、なんとなくパソコンをつける。
今日もまた、僕がやってるストアの楽天市場店からの注文がない。これで4日連続。何かがおかしい。あり得ないのである。
動作やら価格の付け間違いやらを確認するがおかしい点はない。
偶然なのか必然なのか。そこをハッキリさせたいが、理由は全くわからない。
このお店は基本的に他社商品を扱う店であり、他の小売店も同じ商品を売っている。
ただ輸入商品の場合は定価がないので売価は自由だ。そこでめぼしい商品(楽譜)を他店と比較するために検索してみた。
他店、かなり安い。5日前までうちの店で多くの方が商品を買ってくれていたのが嘘みたいに安い。
もちろん安さだけではなく、「このお店から買いたい」というのもあるから、必ずしも安くすればいいわけでもないのだけれど、とはいえ安いのは強い。
そういう安い店を運営しているのが、僕のような小売店と契約して自社楽譜や輸入楽譜の卸売をしている出版社だったりする。
君らは小売店に儲かって欲しいのか、それとも潰したいのか?
どうも行動が矛盾している気がする。気がするが、それを言ったところでどうにもならない。
嫌なら契約を破棄して敵対するまでである。
ひとまず、僕は焦った。焦ってしまった。大量仕入れができる大手とどう戦うか。
いくつか過去の売上数を見てレギュラー商品を選抜し、それらについては高速取り寄せを中止し、安い郵便でゆっくり送ってもらって「在庫のみの販売」とすることにした。
これで試算すると仕入れの送料単価を抑えられるのでだいぶ競合他店と売価が近づく。
ひとまず試算にもとづき売価を変更し、今日の仕事は終わりとした。したのだが…
その後もぐるぐるといろんなことを考えていた。
価格で決めるお客様は、他に安い店があればすぐに移ってしまう流浪の民である。
だとすれば、僕がやるべきことは競合と比べて価格がどうこうではなく、「あなたの店から買いたい」と思われる店にするにはどうしたらいいかを考えることである。
広島はまだまだ暑く、家族との体感温度に差がある僕は、エアコンのついていない家でボーッとした頭でただただ焦り、売価を変更し、ホッとしていたのだ。仕事をした気分になっていたのだ。
もちろん何の仕事もしていないのと同じである。売価変更なんて誰でもできる。
僕は商売の基本、営業の基本をすっかり忘れてしまっていたのである。
その後もいろんなことを考えていた。
何をしたいのか?何をすべきなのか?どうすれば充分な金を稼げるのか?どうなったら満足なのか?
考えれば考えるほど暗い気分になっていく。
ひとまず、影響力のある会社でもないし人間でもないのだから、「何をすべきか」はまだ先の話で、「何をしたいか」軸で考えていく、つまり今まで通りにやってりゃよかった、という結論に達した。
ただ、これまで以上に「僕はこれが好き」「僕はこういうことをしたい」ということをお客様に伝えていかないとジリ貧だろうという気はする。
そんなことを考えていたら気が滅入ってしまって、晩御飯の前に2時間ほど寝た。
起きたら割とどうでもよくなっていた。そう、世の中は割とどうでもいい。
そして晩御飯を食べ、皆の食器を洗い、ゴミを出し、風呂に入り、出し忘れていた残りのゴミを出して、暑さに耐えかねて寝室に逃げ込んでこれを書いている。
リビングでは娘と妻が話している。運動会がどうこうと言っている。後で確認しなければ。
まあでもなんですか、他にも「小売店にも卸すが小売店よりも安い価格で売る」会社があったり、楽譜専門店をうたいながらなぜか反ワクチンの本とか音楽と関係ないし楽譜でもないがとりあえずセンセーショナルで売れそうな本を売っていたり、どうせ曲も聴いてないだろうがとりあえず楽譜はなんでも取り扱うとか、そういう店が多くて閉口する。
確かに商品の取り扱いが多いのはお客様からすると便利だろう。だが僕の商人根性としてそれはできない。効果がわからない(知らない)薬を売っているのと同じようなものであると思う。
騙してはいない。騙してはいないが、その曲を知らない、その教則本が何を教えているのか知らない、そんなものをなぜ売れるのか。金しか見てないからだ。
金は大事だが、死ねばそれまでだ。ああいう店の責任者たちは、経営者は、何のために生きているんだろう。下っ端はたいてい生活のためにいろんなことを見えても見えないフリをするものだ。なんせ生活がかかっている。
では経営者は。店長は。もちろん生活しなければいけないから金は大事だ。それは僕も同じだ。それとは別に、特に経営者は「なぜその事業をやるのか」という明確な目的があるはずだ。それは社会の役に立つものでなければ意味がない。事業をやる必要がない。
もちろんそれが社会の役に立つと思ったうえで、曲のことを知ってても知らなくてもいいからとにかく手に入る楽譜を全部売れという方針なのかもしれない。
それならそれで別にいいんだけど。そういう店があってもいいんだけど。「音楽のちからで人々の暮らしを豊かに」みたいな、何かを言っているようで何も言っていないような企業理念の会社もあるだろう。存在するなとは言えないが、僕とは仲良くできないなあと思う。
3ヶ月前に父が死んだことも関係しているが、何のために生きるのか、と考えることが増えた。
今日のところは、人は未来のために生きるのだということになった。次の世代につなぐ、残す。
生まれた時から人は何かを受け継ぎ、そしてやがて自分より若い世代に何かを引き継いでいく運命にあると考える。
そう考えたとき、それが背中で語るものであれ言葉で語るものであれ、未来にとってプラスになるものを残したい。どうせなら負の遺産よりは正の遺産のほうが良いわけである。
金は大事。今も大事。競合他社との戦いも大事かもしれない。でもやっぱり、何をどのように次の世代に残していくか、そこそこの年齢になったらそういうことを考えて経営をすべきだろうと思う。
まあ、寝て起きたらどうでも良くなってるんだけどね。