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ファッション「じゃない方」の自由進度、加賀にあり②

前回の続きから、今日も加賀市の底力と越中谷君の教室の学びの豊かさを語っていく

3算数

 この日の算数は演習問題。既習の単元の練習問題に取り組む時間であった。自由進度の経験がない私にとって、一番の懸念点はゴールが知識の定着となり、味気のない授業になってしまわないかということだった。だからこそ、このような授業を見せてもらえたことが本当にいい経験となった。
 
 私の懸念点はすぐに解消されていく。まずめあてを立てる。演習問題に取り組む際のめあて・・・知識の定着以外にどのようなめあてを立てるのか気になっていた。
 目の前の女子生徒は昨日の振り返りを見返しながら、知識的な側面のめあてと共に「自分の成長を感じよう」と記した。

 この時、先ほどの時間に教室の掲示物をよく眺めていた時に目にした言葉が頭に浮かんだ。越中谷学級には「マイスタイル学習」を成立させるために、大切な考え方や言葉がたくさん掲示されている。

ブレまくった笑

 その中の一つに「人と比べない。比べるのは昨日の自分」とあった。この言葉を一度提示して終わりならば、1月も終わるこの時期に子どもたちがこの言葉を使いこなし、自分を高めるための言葉として用いることはない。
 越中谷君が、きちんと子どもたちにこの言葉を響かせようと何度も価値づけて子どもたちの中に浸透させてきたかがよくわかった。
 ファッションじゃない自由進度を成立させるためには、集団と個へのこのようなアプローチが欠かせないと思っていたが、まさしくその過程を感じることのできた瞬間であった。

 女子のグループがあり、その学びの様子を見ているとまずは自分で学習を進め、詰まった時に対話が始まった。「あ!÷4じゃないんだ!」友達の答えとの差異を見つけながら、自分が詰まってしまった原因に気づき、ありがとうと共にそれぞれの学びに戻っていった。うむ。友達の頼り方。そして自分で頑張る意味。両面をきっちりと理解している子どもたちであると確信した。

 子どもたちの意欲に火をつける課題があるわけではない。あくまで教科書の練習問題である。しかしそこには基礎基本の習得さえも努力を怠らない教室があった。

 そこにには越中谷くんの仕掛けた授業デザインが関係している。子どもたちが一人で学習を進めるための環境整備がきっちりとされていた。
 教科書の問題の答えはPDFでリンクが用意され、自分の欲しいタイミングでその答えを見ることができる。
 苦手を感じたところはKahoot!の問題に各自がいつでも取り組めるようにリンクが用意されている。
 さらにYouTuberの葉一さんの動画リンクまで用意され、それを見ることもできるようになっているのだ。

 その環境を見事に利用していた場面があった。
 違う女子のグループの学びの一場面である。 
ずっと3人横並びで、一緒に問題を解き、わからない問題は聞くなどして3人で解決をしていた。しかし、その途中で一人の女の子が「バイバイ!」と隣の子に宣言し、イヤホンをして葉一さんのYouTubeを見て、自分の理解が弱いところの克服に取り組み始めたのだ。
 友達を頼る時には頼る。しかし、あくまで主語は自分。学びは自分のもの。「依存しない学び手」が育つ教室になっていた。

 娘とのお風呂の時間が迫ってきたので今日はここまで。
 
 次回もご一読いただければ嬉しいです。

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