#188 クロマグロ・本マグロ(2017/10/25)


いやー、秋になって食べ物も美味しい季節になってきましたね。刺し身に熱燗なんてなかなかおつじゃないですか。刺身といえばマグロ、マグロと言えばやっぱり海のダイヤ「クロマグロ」(本マグロとも呼ばれますね)。ということで、久々の今日のざっくりはクロマグロです。(ほんと久々ですみません。。。)

クロマグロは体長3m、重さは400キロ前後とマグロの中でももっとも大きな種類になります。分類としては「硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ属に属し(読めません。。。)で成魚になるまで2-3年かかります。

クロマグロの漁獲高は世界でおよそ16千トン(2014年)となっていて、マグロ全体のおよそ0.74%と予想に違わずとても希少な状況になっています。日本の漁獲量は7.9千トン。世界の漁獲量の半分は日本に水揚げされていることになります。

・クロマグロの国内漁獲高 ざっくり8千トン(世界のおよそ半分)

一方で国内に置けるクロマグロの供給量は45.5千トン(2015年)。およそ半分の23.1千トンが輸入、22.7千トンが国内生産となっています。

・クロマグロの国内供給量 ざっくり4.5万トン(半分が輸入)

「あれ、漁獲量よりも供給量がそんなに多いの?」と思われた方、朝からなかなか冴えてますね。そう、その差が養殖ということになります。国内供給量22.7千トンの内14.8千トンが養殖(国内生産の65%)。輸入に至っては23.1千トンのうち20.1千トンが養殖(輸入の87%)。全体で見ると76%が養殖ということになります。

・クロマグロの養殖の割合 ざっくり3/4
 (国内生産の65%、輸入の87%)

一言に養殖といっていますが、実は「養殖」と「蓄養」というのがあり、養殖は幼魚→成魚(いけす飼育)→採卵(種苗生産)→稚魚→成魚(いけす飼育)をいい、一サイクル回って採卵から成魚まで飼育したものを完全養殖と言っています。有名な近大マグロはこの完全養殖を実現したもので、2002年に世界ではじめて成功しています。(研究開始からなんと32年かかっています)
一方の蓄養は小型魚、痩せた成魚を巻き網などで捕っていけすにいれて飼育することを言います。

国内の養殖場は175箇所(105経営体)。最も多いのは長崎県の75漁場。ついで鹿児島の37。この2県で全体の2/3をほどを占めています。国内では曳き縄釣りで漁獲した全長20~30cm、体重100~500g程度の幼魚を生け簀に入れ2~3年飼育して出荷するスタイルが主流となっているとのことです(蓄養ですね)。

・クロマグロの国内養殖場数 175箇所

なお、世界的にマグロ(含むカツオ)資源は5つの地域漁業管理機関によって管理されており、日本にとっては自国の排他的経済水域を管理する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)と大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)がとても重要になります。
先日、資源量が増加していて輸入量が増える可能性があると伝えられていたのはいわゆる大西洋クロマグロ(ICCAT管理)の方で、一方、クロマグロ幼魚の漁獲量が国際社会に約束した規制の上限を初めて上回ったと伝えられたのは太平洋クロマグロ(WCPFC管理)の方となっています。

クロマグロの希少性からワシントン条約の対象にする提案もされており、第15回ワシントン条約締約国会議(2010年)ではモナコより大西洋クロマグロの附属書Ⅰ掲載の提案がされ、さらにEUが同提案に修正を加えたEU修正案を提出、あわせて決議に掛けられましたが、ともに反対多数で否決しています。(EU修正案は賛成43票、反対72票、棄権14票とそれなりに賛成も多くなっています)

ちなみに有名は「大間のまぐろ」は厳密には青森県大間崎の前沖で一本釣り漁法でとれた本マグロ(クロマグロ)のことで、初競りでは億をこえることもあります。(今年の初競りでは1匹(212キロ)7420万円でした)

Source:
太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について 平成28年8月 水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/maguro_gyogyou/attach/pdf/bluefinkanri-1.pdf
平成28年における国内のクロマグロ養殖実績について(速報値) 水産庁
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/saibai/170331.html
ワシントン条約とカツオ・マグロの資源管理(水産庁資源管理部審議官 宮原正典)
https://www.wwf.or.jp/activities/upfiles/WWF_tuna_201009b.pdf
近畿大学 クロマグロの完全養殖
http://www.flku.jp/aquaculture/tuna/index.html
日経新聞「東大西洋クロマグロの資源量増加 ICCAT科学委」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1500X_V11C12A0EE8000/
日経新聞「北海道の失敗、クロマグロ取りすぎ 他県に動揺」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22551350R21C17A0000000/?n_cid=SPTMG002

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