#89 東京都の財政その3(税収)(2016/7/21)
今日のざっくりは東京都の税収と税制改正の影響についてのざっくりです。(相変わらずの長文ですみませんm(_ _)m)
【税収・実質的な税収】
東京都の税収は2016年度の当初予算で5兆4525億円。税収のうち税連動経費と言われる一定割合を支出しなくてはいけない経費部分があり、実質的な都の税収は4兆779億円(全税収の74.8%)ほどとなっています。
・都の税収 ざっくり5.5兆円
・実質的な税収 ざっくり 4兆円
【税連動経費】
税連動経費には特別区財政調整交付金(いわゆる調整3税の55%を特別区(23区)に交付)や地方消費税交付金(地方消費税1.7%の半分を区市町村に交付)が含まれます。2016年度は1兆3746億円(25.2%)。税連動経費は増加傾向にあり、1993年には税収の14.8%ほどでしたが、20年ほどで10%以上増加したことになります。
・税連動経費 ざっくり1.4兆円(税収の25%)
【税収への景気の影響】
ご存知のように税収は景気によって大きく左右し、平成バブルでは4.9兆円(1996年度)ほどまで増加しましたが、崩壊後の1999年には3.8兆円まで減少。リーマン・ショック直前の2007年度には5.5兆円に増加し、その後4.2兆円(2009年度)まで減少するというように大きいと1-2年の間で1兆円ほど変動しています。
都の歳入規模が7兆円ほどですから、かなり大きな影響を受けることになります。(そういうこともあり、石原都知事時代に利益に関係なく課税できる外形標準課税を大規模事業者に対して行おうとしていました(当時は銀行税とか言われてました))
【税制改正の影響】
法人税のうち法人事業税と法人住民税は地方税なのでもちろん東京都にも入ってきます。(法人所得税は国税です)
・地方税:法人事業税、法人住民税
・国税 :法人所得税
平成20年度に税の偏在性を緩和するために法人事業税の一部を国税化する税制改正が実施されました。
法人事業税の税率が下げられ、新たに地方法人特別税(国税)を創設し国を経由して地方法人特別譲与税として地方に交付されます。(これは東京都にも交付されています)
・平成20年税制改正
法人事業税(地方税) :税率低減
地方法人特別税(国税):創設
この税制改正の都の財政に与える影響額は▲3000億円程度と都は見積もっていました。(知事候補の増田さんが総務大臣時代に行った改正なのでとやかく言われています)
2014年の消費税増税時に、平成26年の税制改正が行われ、地方法人特別税・譲与税を2/3規模に縮小する一方で法人住民税の一部を地方法人税として国税化し地方交付税の原資化する改正が行われて現在に至っています。
・平成26年税制改正
地方法人特別税(国税):2/3に縮小、1/3は法人事業税に復元
法人住民税(地方税) :税割の一部を国税化(都道府県分の36%、区市町村分の21%程度)
これらの改正によって平成20年の税制改正前と比較して財政への影響額を東京都は▲4100億円程度と見積もっています。
・税制改正による都財政への影響 ざっくり▲4100億円
【一人あたりの一般財源】
地方税は偏在していますが、地方交付税などにより調整がされていて、人口一人あたりの一般財源(使途が特定されていない財源)は神奈川県、埼玉県が最低レベルでそれぞれ12.9万円、13.3万円、東京都がおよそ19.6万円、一方、多くなっているのが島根県、鳥取県でそれぞれ36.7万円、33.8万円。次いで高知県の33.2万円、徳島県の30.7万円となっています。(全国平均は19.3万円)(一人あたりで見るのがいいかはいろいろな考えがあるところだと思います)
・人口一人あたりの一般財政 ざっくり19.6万円
東京都と国(総務省)は税金についてはかなりの鍔迫り合いをしています。そういうこともあり都知事は国とのパイプうんぬんと言われることが多いんですね。
Source:
東京都の財政 平成28年4月
http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/syukei1/zaisei/2804tozaisei.pdf
東京都の財政 平成20年4月
http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/syukei1/zaisei/2004tozaisei.pdf
総務省 平成26年度税制改正の概要
http://www.soumu.go.jp/main_content/000278662.pdf
東京都 都税収入決算額の推移
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2011/07/70l7s501.htm