#111 個人の金融資産(2016/10/3)
先週日銀から資金循環の速報データが発表されていますが、今日はその中で触れられている個人の金融資産についてのざっくりです。
日銀の発表によると個人の金融資産が過去最高の2016年6月末時点で1746兆円になり、過去最高を記録しています。(日本のGDPのざっくり3倍ですね。(2015年度名目GDP500.5兆円)ストックとフローなので余りいい比較ではありませんが。)
・個人の金融資産 ざっくり 1750兆円
景気や株価などにより増減するものの、1998年には1300兆円ほどでしたので、20年ほどで3割ほど増加していることになります。また東日本大震災時(2011年)に大きく減少したのですが、それ以降5年間で15%ほど増加しています。(ちなみにアメリカはこの5年で32%ほども増加しています。)
内訳は
現金・貯金 52.7%
保険 20.9%
年金・定型保証 8.9%
株式など 8.3%
投資信託 5.0%
債券 1.5%
その他 2.8%
となっており、半分以上(920兆円)は現金・貯金となっています。(やっぱりという感じですかね)
・現金・預金 ざっくり 920兆円(金融資産の52%)
リーマンショック前には株式が13%ほどまで増えたことがありますが、直後に6%ほどにまで減少。それ以降僅かに増えていますが、あまり変わらずに現在に至っています。
海外と内訳を比較してみると
(左から 日本/アメリカ/ユーロエリア)
現金・預金 52.7% / 13.6% / 34.4%
債務証券 1.5% / 5.9% / 3.8%
投資信託 5.0% / 10.6% / 8.5%
株式など 8.3% / 35.3% / 16.6%
保険・年金・定型保証 29.8% / 31.9% / 34.2%
その他 2.8% / 2.7% / 2.5%
株式についてはアメリカが突出して多くて日本の4倍、ユーロが2倍。一方現金・貯金については日本はアメリカの4倍、ユーロの1.5倍ほどになっています。保険についてはどのエリアも余り変わらないようです(日本が突出して多いとおもっていたのですが、アメリカもユーロも多いんですね。内容は日本と異なりおそらく医療保険が多いと思われますが。。。)
全体的には、なんとなく日本とアメリカが両極端でユーロがその間ぐらいという感じでしょうか。
ちなみに日銀の資金循環では個人とは言わず家計と言っていて、この中には、企業年金等に関する年金準備金、預け金(ゴルフ場預託金など)といった、一般的には個人が必ずしも金融資産として認識しないような金融商品が含まれているほか、個人事業主(資金循環統計では家計部門に含まれる)の保有する事業性の決済資金などの資産も含まれています。
ですので、一般に考える個人の金融資産はここで触れた金融資産より結構少ない金額になるのではないかと思います。ちょっと注意が必要ですね。(そこまでは調べきれておりません。m(_ _)m)
Source:
日本銀行 2016年第2四半期の資金循環
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf
日本銀行 資金循環の日米欧比較
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
野村證券クォータリー
http://www.nicmr.com/nicmr/data/market/retail.pdf
財務省 債務在り方懇談会 資料(大和証券資料)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20140411-2.pdf
米国の家計金融資産の現状と経験 (大和総研)
http://www.dir.co.jp/research/report/capital-mkt/20140130_008155.pdf