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20020709 絵文字の限界

 公共施設などに使われている絵文字や記号$${^{*1}}$$は文字をいちいち読まなくても直ぐに判るように、日本語が分からない人でも理解できるように配慮が為されている。その筈である。

 非常口$${^{*2}}$$の記号などはそこら中にあるので、今では「非常口$${^{*3}}$$」と漢字のみで書かれた物よりも子供や漢字を知らない人にとってよく判るようになってきているだろう。

 絵や記号$${^{*4}}$$なので日本語を知らなくても判るようになっている。つまり特定の言語に偏らない普遍的な共通語としての機能がある様に思える。

 しかし実はそうではなくて、ほぼ世界語と考えられている英語をある程度理解していたり、西洋の文化や慣習を知っていないと理解できない記号が沢山ある。

 男女を示す記号$${^{*5}}$$では洋服がその違いを示す要となっている。女性はスカートを穿くという風習が男女を分けているだけなので、そういう文化のない国の人、そうゆう風習を知らない人にとってこの記号の意味は直ぐに理解できない。情報コーナー$${^{*6}}$$や駐車場$${^{*7}}$$の記号は英語を知らないと記号の意味が想像できない。

 屁理屈と思われるかもしれないが、これは私の体験からの感想である。案内所を示す記号$${^{*8}}$$はクエスチョンマークを使っている。この記号が初めて出てきたのは1970年に大阪で開催された万国博覧会$${^{*9}}$$ではないだろうか。当時、幼少であった私はこの標識が「案内所」を示していることがどうしても理解できなかった。

 子供にとって「?」は「なぞ、不思議」という意味である。「はてなマーク」という言葉からしてもそういう意味しかない。

 内田洋行$${^{*10}}$$の「マジックインキ$${^{*11}}$$」というのがあった。何にでも書ける「魔法のインキ$${^{*12}}$$」という意味で名付けられた油性インクの筆記具である。日本では油性インク筆記具を「マジック」と称するぐらいこの「マジックインキ$${^{*13}}$$」という筆記具の名は浸透している。ホッチキス$${^{*14}}$$みたいなものである。

 そのマジックインキには大きく「?」マークが描かれている。このクエスチョンマークは「魔法」という意味であり、「不思議」という意味である。筆記具の名前である「マジック」という言葉と「?」の記号とが融合して頭の中にマジックインキの様に染み込んでしまっているので、「?」だけを見てそれが案内所を示す記号であると想像することは不可能になっていた。案内所ではなく、なぞなぞ大会会場か不思議の館かと思ってしまっていた。

 学習をしなくとも理解できる記号や文字というのは実現不可能だろう。記号や文字は頭の中で考えた抽象的なことを抽象的なまま表現する方法だろうから、どうしても約束事を学習しいないと理解できない。そうだと人類が初めて地球以外の生物に向けて送った「手紙」に書かれた記号$${^{*15}}$$を彼らが理解するのはほぼ不可能に思えてきた。

*1 標準案内用図記号ガイドライン(その1)
*2 安全
*3 http://www1.ocn.ne.jp/~ncir/annai/hi.jpg
*4 一般案内用統一記号 目次
*5 公共・一般施設 推奨度A
*6 公共・一般施設(1)
*7 交通施設(1)
*8 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/zukigou/images/zukigou05-1.gif
*9 懐かしの大阪万博
*10 株式会社内田洋行
*11 誕生物語|寺西化学工業株式会社
*12 マジックインキ
*13 寺西化学Home Page
*14 20010713 ホッチキス
*15 20000708 ボイジャー

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