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20030312 博士の研究

 大発明をするような科学者の頭の中には数式などがぎっしり詰まっていて、それを紙に書き出したものが所謂「研究ノート$${^{*1}}$$」のような気がするが実際にはどうなのだろう。

 漫画などで白いひげを蓄えた博士が悪者に研究ノートを取り上げられ「わしの研究を返せ」と叫ぶ場面がありそうだが、実際には研究ノートを取られたからといって今までの研究内容が消えてなくなってしまうわけではない。だからそれ程慌てる必要はないのかもしれない。

 ベル$${^{*2}}$$が電話の実験をした時の実験ノート$${^{*3}}$$を見てみると、数式など一切なく何か漫画のような図とその時の実験の様子とが書かれているだけである。これもベルのノート$${^{*4}}$$である。電話の構想である。小学生が書いた絵といっても誰も疑わないだろう。これが現在ではなくてはならない発明品の原型なのである。ベルの共同研究者のテインターのノート$${^{*5}}$$も微笑ましい絵が描き込まれている。

 現象や作用の相互関係を正確に理解していないと発明を実用化することが出来ない。つまり実用化すると言うことは図面を書くことであり、図面を書くためには寸法などが必要なので、その寸法を出すには技術計算や数式が必要になってくる。一方、発明そのものは着想だけなので数式などは必要がない。数学が解らなくとも発明は出来る。大発明と呼ばれるような発明でもそうだろう。

 この辺りが一般的な民衆の理解との大きな隔たりのような気がする。やはりどうしても大発明というのは周りに数式が沢山あるという感覚になってしまう。もしかしたら、発明だけではなくアインシュタインの相対性理論$${^{*6}}$$のような大理論でも着想段階では数式など全く出てこないのかもしれない。

 と凡人である私が考えているだけで実際にはどうなのか、さっぱり判らない。

*1 池田敏雄 - FUJITSU Japan
*2 20030209 ベルの光電話
*3 Alexander Graham Bell Family Papers at the Library of Congress Bell Family Papers: Bell's Experimental Notebook
*4 Words and Deeds in American History Alexander Graham Bell's design sketch of the telephone, ca. 1876. (Alexander Graham Bell Family Papers)
*5 Tainter's Home Notes 2 Tainter's Home Notes 1
*6 Original manuscript of Einstein’s theory of relativity goes on display - The Boston Globe

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