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20010415 高級懐中時計

 工業製品の中で、時計ほど同一基本機能で価格の差が大きなものはないと以前書いた$${^{*1}}$$。時計は時刻を示す機能を1000円以下でも実現できる。その一方、1000万円以上の値段がついているが、時計の機能しかないものもある。価格の幅が大きい工業製品は価格が高くなるとその機能以外に、装飾としての価値が出てきたり、社会的地位を誇示できたりする。自動車もその類だろう。しかし1000円以下の自動車はない。自動車としての機能を実現するためには数10万円は必要である。

 宝石などをちりばめれば値段はだんだん高くなっていくが、これは時計だけではなく自動車でもカメラでもパソコンでも同じことである。ところが時計は宝石をちりばめなくても価格の幅が10000倍以上にもなる。自動車やパソコンではそうはならない。

 最近、凄い時計を見つけた。775万ドルの懐中時計$${^{*2}}$$である。特に宝石が装飾されているわけではない。カレンダーや月齢表示、日の出日の入り時間の表示が付いているだけで普通の時計とそれほど変わらない。時刻以外を機械的に表示するのは機構が少々複雑になるだろうが、もの凄く難しいわけではないだろう。機能だけからすれば電子的に簡単に出来る。材料の値段にしてもすべて金で作ったとしても1g1000円$${^{*3}}$$程度なので時計の重さが200gだとしても20~30万円程度だろう。

 それにしてもどう考えれば775万ドルという値段が付けられるのだろう。その値段で買う人が納得する価値がなければならない。売れない価格設定は全く意味がない。時計に何があれば750万ドルという値段に購買予定者は納得できるのだろう。

 しりあがり寿$${^{*4}}$$の「少年マーケッター五郎$${^{*5}}$$」という漫画は、小学生が経営するマーケッティング事務所が舞台となっている。シャンプーの売り上げに伸び悩む会社の社長が五郎のところに相談に来る。五郎は億万長者向けに一本一億円のシャンプーの開発を勧める。年間10本売れば売り上げ10億円になるわけだ。

 この値段設定の途方もなさが漫画の面白みなのだが、この懐中時計を作っている会社$${^{*6}}$$はそれを地で行っているような感じがする。この自信はどこから来るのだろう。

*1 20001010 高級腕時計 BLANCPAIN(ブランパン)の時計は¥10,500,000(消費税別)
*2 スターキャリバー2000
*3 三菱マテリアルゴールドパーク
*4 漫画家。経営する会社名「(有)さるやまハゲの助」
*5 サラリーマン3部作の3部目。他は「流星課長」「ヒゲのOL」
*6 Site officiel Patek Philippe | Montres de luxe pour hommes & dames

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