20000311 団長
そういえばこんな事を思い出した。
小学生の頃、集団登校を行っていた。所属していた通学団はおよそ50人ほどで構成され、副団長が先頭、団長が最後尾に付き、交差点で団員を安全に横断させるため前者は黄色い旗、後者は笛を持っていた。それぞれ六年生のステイタスと見られ責任のある役目と認知されていた。
五年生の終わりの頃、所属していた通学団には次期六年が3人おり、このままいくと自分は副団長になりそうだった。副団長もそれなりの名誉職なのだが、通学団の先頭に常にいなければならない。通学団の順列は前から一年生となっていたので、年がら年中一年生の相手をしながら登校の時間を過ごさなければならない。登校時間は1時間弱だったので、この時間を一年生と共に過ごすのが苦痛で仕方がなかった。
当時、登校時間は馬鹿話サロンとなっていたので話がツーカー$${^{*1}}$$とならない一年生の相手は本当に辛かったのである。
次期副団長を避けるためにはどうすればいいか考えた。名誉職を自ら辞退するのは格好悪いと考えていたので副団長をもう一人の奴に渡すことは出来ない。かと言って団長候補を副団長にする実力(先生からの期待度)が自分にはない。
団長、副団長は児童が勝手に決めるのではなく先生達の信任が必要であった。この信任を受ける場が「通学団常会」と呼ばれる会議であった。この会議は年に数回開催され全校の十数の通学団の首脳陣(団長、副団長、次期候補)と各通学団担当教師が一堂に会して交通安全や次期団長について話し合った。
自分が五年生の時、年度末の常会で自分の通学団担当教師にこう言った。
「加納$${^{*2}}$$(所属していた通学団の名前)は今50人位になっています。このままだと団長副団長の2人で通学団全体を掌握することは不可能です。通学団を二つに分けるのが得策です。」
と当時どうやってこの内容を先生に伝えたのか忘れたが、大体こんな内容のことを提案した。更に
「通学団を区分する境界は名鉄犬山線$${^{*3}}$$が適切です。」
とつけ加えた。加納通学団分断の境界を犬山線にして分けると所属することになる通学団は十数人となり、しかも次期六年生は自分一人なので団長は確実に自分になる。
この申し入れはすんなり受け入れられ、かくして新しい通学団「加納2」が発足し、めでたく団長を拝命した。しかし新しい通学団のこれまた唯一の五年生が副団長をやらなければならなくなり、結局馬鹿話をやる相手がなくなってしまい本当の目的を遂げることが出来なくなってしまった。だが通学団の最高名誉職である笛を持った団長を手にすることが出来たのでよしとした。笛を持つことは交通巡視員$${^{*4}}$$もしくは警官$${^{*5}}$$と同じ効力を発揮していた気がしていたので、かなり納得がいったと思う。
新しい通学団ができると新しい集合場所が必要となった。自分が候補地にあげたところは私有地であったため、所有者に許可を求めに自ら行くことになった。
無理なことをやると色々余分な仕事が発生するものである。子供の社会でも。
*1 ツーカーセルラー東海
*2 愛知県一宮市千秋町加納馬場付近
*3 20000210 鉄道と大根
*4 道路交通法(交通巡視員)
*5 道路交通法(警察官等の交通規制)