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20040513 訓読み

 日本で使われている漢字の読み方には「音読み」「訓読み」の二種類がある。音読みしかない漢字もあれば、訓読みしかない漢字もある。音読みは中国式の読み方である。訓読みは中国から伝わったその漢字の意味から日本で考案された読み方だから、「『訓読み』しかない『漢字』」というのは矛盾している。日本で作った文字だから訓読みしかないのである。そういった漢字は和製漢字・日本製漢字$${^{*1}}$$もしくは国字・和字$${^{*2}}$$と呼ばれている。

 音読みしかない漢字は日本に輸入されたが、特に日本式に読む必要がなかった漢字だろう。音読みしかない漢字は、音読み訓読み両方の読み方がある漢字よりも圧倒的に数が多い。多いはずである。

 音読みは、その漢字の中国での読み方に基づいて日本語の発音で読むようにしたものだから勝手に音読みを作ることはあまりない。「雑」は「ぞう」「ざつ」と読む。訓読みはない。「ぞう」は中国語から直接でてきたと読みだが、「ざつ」は慣用音$${^{*3}}$$である。これは勝手な音読みと言っていいかもしれない。

 訓読みに明確な定義はあるのだろうか。常用漢字の場合、常用音訓$${^{*4}}$$というのが決められていて「訓読み」が定義されている。

 それ以外の漢字の訓読みは漢和辞典の編集者の考え方で訓読みが変化してくる。その漢字の「訓読み」と定義するか、訓読みではなく「字義」にとどめておくかの違いが出てくる。常用漢字でなくても巷によく知れ渡っている漢字の読み方というのは問題がないだろう。「$${^{*5}}$$」は常用漢字に含まれていないが、「ともえ」と大抵の人は読める。むしろ音読み「は」の方が難しい。巴里$${^{*6}}$$という熟語があるので、「は」という読みは大して意外に思わないが、巴を「は」と読む習慣は殆どないのでこの読みは難しいと考えてしまう。

 そう考えると以前書いた「長い訓読み$${^{*7}}$$」というのは「訓読み」としていいのだろうか。定義の問題になるのでいいだろう。常用音訓も常用漢字表で決められているからそうだといっているだけなのである。漢和辞典などでこれを「訓読み」とすると定義していれば、それは漢字の意味そのものではないか$${^{*8}}$$と思われても「訓読み」となるのである。

*1 和製漢字の辞典
*2 日本語を読むための漢字辞典 国字の世界、ネットに開く
*3 「固執」は「こしゅう」なのか「こしつ」なのか?
*4 常用漢字表(学年配当・総画数付き)
*5 TOMOE Soroban
*6 「巴里祭」から「パリ祭」へ・・・・・・・・・植木 浩
*7 20040418 政関白
*8 長訓読み選手権

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