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為替の決まり方~金利 or 通貨供給量?~
みなさん、こんにちは。松本浩二です。
先日、政策金利引き上げが決定されました。
政策金利とは日米の金利差で決まる、とよく言われていますが、そのことについてデータを確認したので記事にしました。
冒頭でも書いたように円ドル為替に影響を与える因子として日米の金利差というのはよく言われています。一方で円とドルの供給量の比率である言説も目にします。それでは為替を予測する場合、日米の金利差と通貨供給量の比率のどちらに注目すべきかを考察しました。
1.考察に用いた項目
以下の項目を使って考察しました。
①為替
毎月の為替。単位:円/ドル。
(引用元:日本銀行時系列統計データ 検索サイト)
②供給量比
円とドルの供給量から下記の計算により求めた。単位:円/ドル。
供給量比 = 円の供給量(単位:円)÷ドル供給量(単位:ドル)
(円供給量引用元:日本銀行HP(ホーム > 統計 > 日本銀行関連統計 > その他 > マネタリーベース))
(ドル供給量引用元:連邦準備銀行(FRB)HP(Categories > Money, Banking, & Finance > Monetary Data > Monetary Base))
③政策金利比(米国/日本)
日米の政策金利から下記の計算により求めた数値を政策金利比(米国/日本)とした。
政策金利比(米国/日本)= 米国政策金利 ÷ 日本政策金利
(日本政策金利引用元:日本銀行時系列統計データ 検索サイト)
(米国政策金利引用元:連邦準備銀行(FRB)HP(Categories > Money, Banking, & Finance > Interest Rates > FRB Rates - discount, fede funds, primary credit))
2.考え方
①が②もしくは③に相関しているなら各々の項目は似たような挙動を示すはずです。
円高の場合、為替(円/ドル)は低くなりと供給量比は小さくなります。また、円高の場合は日本の方が政策金利は高い状態というのが”日米金利差は為替に影響を与える”ということの基となる考え方であるので、政策金利比のプロットも小さくなります。
円安の場合は円高の逆です。
つまり、1項の①~③をプロットし、挙動が似ている項目同士が相関がある、すなわち、為替の挙動と似ている項目が為替に影響を与えていると言えます。
3.結果
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為替と供給量比は連動しているように見えます。一方で、為替と政策金利比の連動は見られないように思えます。為替と供給量比、為替と政策金利比の相関関係をより定量的に評価するために、散布図を用いました。
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為替と供給量比の相関係数は0.57とかなり相関がみられるのに対して、為替と政策金利比の相関係数は0.21とほとんど相関がみられないことが分かりました。以上の事より、為替を予測するには通貨共有量の比率を考慮する方が良いといえます。
最後に
為替は通貨供給量比に影響されると考えると現在の供給量比からして為替は120円/ドルまで円高方向に振れる可能性がありますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また。