「シンギュラリティはより近く」を読みました
みなさん、こんにちは。松本浩二です。
レイ・カーツワイル著「シンギュラリティはより近く」(NHK出版)を読みました。
副題にもある通り、AIが進化して人類が融合した時にどのような世界が待っているかを予想しています。
著者はAI研究開発に60年以上携わり、現在はGoogle社の主任研究員兼AIビジョナリーという肩書です。「シンギュラリティは近い」を2005年に出版しており、本書はその続編にあたります。
約400ページという大きなボリュームですが、巻末の日本語版解説を先に読んでおくと全体像が先につかめて、読みやすくなりました。
「シンギュラリティ」は技術的特異点と訳され、元々は「数学と物理学でそれまでのルールが適用できない」特異点といった意味で使用されています。それが一般的には「AIの能力が人間の能力が上回るとき」といった意味合いで使用されるようになり、人間がAIに駆逐される、といった負のイメージを伴う側面も出てきているように感じます。
しかし、本書ではそのような杞憂を払拭してくれます。ただ、完全に楽観視するわけではなく、AIをうまく使いこなしたうえでその恩恵を最大限教授できるという「慎重な楽観論」を著者は推奨しています。
例えば、これまでの歴史においても技術的な革命において、それまで人間が担っていた仕事を機械が代替するようになりました。だからといって、人間の仕事がなくなったわけではなく、その代わり、別の仕事が増えました。
"別の仕事"というのが現時点では想像できないから不安になるのだと。
スマートフォンが登場するまでは"アプリ開発"や"インフルエンサー"といった職業は想像できなかったですよね。
また、消費者が直接的に享受できる恩恵についてスマートフォンを例にして挙げることができます。すごくざっくり言うと、現在のスマートフォンには初代iPhone発売当時にはどれだけお金を積んでも実現できなかった機能が搭載されています。スマートフォンの計算能力の1単位当たりの価格は低下し続けており、いずれはこういったデバイスは無料で製造できるようになる、つまり、消費者側もこの恩恵を享受できるようになります。
これまで価値=価格を生み出すと見なされていた物質的な機能はどんどん無料に近づいていく。その代わり、人間にしか生み出すことができない知恵といったものへの価値の配分が大きくなると換言できます。
そういった時代を迎えたときに価値を大きく得られるようにいろいろ学ぶ必要があるのだと、肝に銘じて生きていきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また。