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コミュニティに資本主義を持ち込むな!

今日はコミュニティに資本主義を持ち込むなについて。

先日、林先生の初耳学という番組に森岡毅さんが出演されていました。USJをV字回復させたあの森岡さんです。

どんな時でも圧倒的な結果を残す森岡さん。例え娘さんの運動会であっても容赦しません。

以前父兄参加の運動会に参加した時、どうしても勝ちたくてどうしても圧倒的に勝ちたくてエゲツない方法を使ってボロ勝ちしたそうです。ボロ勝ちして喜んでいた森岡さんですが、奥様に「コミュニティに資本主義を持ち込むな」と怒られたとそうです。当たり前ですね。

番組はこのままUSJやネスタリゾートの話に移っていったのですが、私は「コミュニティに資本主義を持ち込むな」というパワーセンテンスがどうも頭から離れませんでした。

確かにコミュニティに資本主義を持ち込みすぎると雰囲気悪くなるよな。「ここでガツンと言いたいけど、でも今ここでこれを言ったらエグすぎて雰囲気悪くなるから辞めとこうか」私もこういう経験は何度もあります。皆さんも何回もありますよね。

でも、ここで言わないのが本当に正解なのか。特に会社やスポーツチームなど結果が求められるような環境では言わないことが本当に正しい選択なのだろうか。

しかしだからと言って、容赦無く何でも思ったことをガンガン言っていくのが正しいとも思わない。「それはそうだけど、もっと言い方ないのかよ。。」と思ったりすることはある。

この2つを分けているものは何なのだろうか。

それは自分の所属している組織をコミュニティと捉えているかアソシエーションと捉えているかの違いではないだろうか。

自分の組織をコミュニティと捉えていたら、コミュニティの和を乱さないために角が立つ発言は控えるもしくはしない。まさに「和を持って貴しとなす」

一方、アソシエーションとは共通の関心、目的のもと集まった集団のこと。

自分の組織をアソシエーションと捉えていたら、共通の目的(結果など)の追求を優先します。多少和を乱すような危険があったとしても共通の目的のためならと進んで発言するかもしれない。馴れ合いのまま"なあなあ"にしていたらアソシーションと成立しなくなってしまいます。

コミュニティとアソシエーション自分の所属している組織をどちらと考えているかによってしばしば対立が起こります。

例えば、大学のサークル。仮にテニスサークルとしますが、中にはテニスをガチでやりたい、もっと上手くなりたいと思って真剣に取り組んでいる人もいます(この人はアソシエーション側)。一方、テニスは程々にサークルでお友達、彼氏彼女を作りたい、飲み会を楽しみたいという人だっています(この人はコミュニティ側)。

対照的な2人は時に対立します。真面目に練習しないのにコートを使う部員に対して腹を立てたり、真剣に取り組んでいる人に対してアイツガチ勢じゃんとからかってみたりして対立が起こります。

こういう対立が起こらないように、大きな大学にはテニスサークルがいくつもあって、ガッツリテニスサークルとゆるーく楽しむサークルなどの住み分けができています。

じゃあ住み分けを行えば万事解決かと言えばそういうわけでもありません。組織をコミュニティと捉えるかアソシエーションと捉えるかの0、100ではなくそこには多くのグラデーションが存在します。

「コミュニティとして和を重んじるのはいいけれど、和を乱さないために気を使いすぎてしんどい。言いたいことは何も言えない」

「言っていることは正しいのだけれど、お互いがバチバチでしんどい。もっと仲良く平穏にできないかな」

どれだけ組織を細分化しても、その組織の中でコミュニティ側の人とアソシエーション側の人が出来てしまうので、中々解決しません。外野の人から見れば、彼らは似たような人たちの集団なんですけどね。

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職場とかもこの例が成り立ちます。終身雇用の日本型企業では、会社をコミュニティと捉える人が多い気がします。入社してから定年までの約40年間、1つの会社で勤め上げるわけですから、彼らにとって会社は人生そのもの。

もし自分が組織の和を乱すような発言をしたら、会社を追われることになるか、居心地の悪いまま残りの会社人生を過ごさなくてはならなくなります。

そんなことは断じて避けたいですから、多少不満があっても我慢して和を乱さず、コミュニティを大切にするのです。

ところが、最近ジョブ型、転職が当たり前という意識が若い人たちの間に広まると「嫌なら転職すればいいし、社内政治よりもスキルを身につけたい」「仕事は仕事、職場で仕事以上の関係を持ち込まれるのは面倒い」

特に若い人はどちらかというと考え方がアソシエーション側に近くなってきているような気がします。コミュニティ側のベテラン社員とアソシエーション側の若手社員、両者は時に対立します。

対立というかアソシエーション側の若手社員はコミュニティ側のベテラン社員の働きぶりの悪さ、社内政治、アフター5の付き合い等々に時に辟易している感じがします。

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最初の森岡さんの話に戻ると、森岡さんが参加した運動会はコミュニティでした。勝った負けたは正直どうでも良くて「ああ、みんな楽しかったね」ぐらいで終わりでよかったのに、森岡さんがアソシエーションだと考えてガチで勝ちに行ってしまいました。

森岡さんが働いている職場は厳しい成果が求められるアソシエーションなのでしょう。森岡さんもコミュニティ重視の日本型企業にいたら、同じように「コミュニティに資本主義を持ち込むな!」と言われるかもしれません。


じゃあ、またいつか会いましょう!

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