失恋から立ち直って少し成長したなと感じたお話
飛行機から出てボーディングブリッジに降り立つと東京とは違う冷気を感じる。
風情のあるボロめの寒冷地軍用コート、M-51のジッパーを引き上げてボタンを風でバタつかないように留めていき、ラゲージクレームを通り抜けてターミナルを出てしばらく歩いて後ろを振り向いた。
小松空港
石川県に来た。特に目的が無かったのだが、有給奨励日にやることないから出勤しようかなと先日呟いたら課内で筆者を休ませようの会という謎の会が設立されて私の10連休の使い方を考えてもらった結果、温泉に入りに石川に来た。(これで2日間潰れた訳だからありがたい。)
10連休なんて社会人からすると早々ない機会ということは承知している。学生と比較して本当に休みが少なくなったなぁと思うし、週末や有給の時も業務用携帯が気になってチェックしてしまうことを同期と雑談していたらたまたま聞いていた課内の歳が近い先輩が電源切りなさいと言われるぐらい余裕がないのだろう。それに比例してお金はどんどん増えていく。入社時は数万しか無かった手持ちが今では数十倍になって出納管理帳を見るたびにバイトとは違って稼ぐようになったなぁと思うと、最近の出来事を脳内で反芻しながら空港の前にある石川航空プラザへと足を進めた。
飛行機を展示しており、航空自衛隊小松基地に近いからかほぼほぼ戦闘機が静態保存されていた。
そのあとはバスに乗って小松駅へ。天気が雨から雪に変わって寒さが厳しい日本海側にきたんだと実感した。加賀温泉駅まで行くにはIR石川という路線に乗らないといけないようだが電光掲示板を見ると約1時間待たないといけないらしい。1時間に1本って…山手線を日々乗っている身としては時間間隔に唖然としたが、寒さが勝ったので駅にあるレストランでラーメンを食べて時間を潰して電車に乗って宿へ。
ご飯を食べて温泉に入ってぼーっとして眠くなったら寝て起きてご飯食べてまた温泉に入ってとこんなに時間を気にしないで好きな事をできるのってどれぐらい振りだろうかと思った。
課内の人に旅行ってこいって言われた時に真っ先に9月に行った神戸旅を思い出した。目的が傷心旅行で元カノとの思い出の場所を巡るという内容であったが、目的は違えど一人旅だから寂しさが勝つのでは無いかなと思った。しかし1人で旅出来てしまった。変わらず元カノのことを思い出すけど昔ほど悲しみや苦しみがなくなってきたし、自分の人生を生きている訳で今は横に居ない人の事をウジウジ考え悩むのはもったいないなと思うようになった。自身の成長を実感するとともに彼女無しでも自立して生活していることに少し寂しさを覚えて人間の感情や心情ってのは複雑であるなとつくづく思う。
別れたショックでストレスを感じていたようで、先日美容院へ行った際にストレスハゲが2箇所できていたことを鏡で見せてもらいながら美容師さんにカミングアウトされた。曰く、髪の復活具合から半年ぐらいに抜け落ちた感じだから春先にストレスを感じた出来事はありませんでしたか〜と言われ、さぁ〜?とシラを切ったが、内心で慣れない社会人生活が始まってストレスを感じてたのに追加で元カノと別れたからダブルパンチでハゲたか…失恋でハゲるんだな、あの子俺の中で影響力あり過ぎだろ…と呟いた。
帰りも小松駅で空港へ向かうバスを待つために1-2時間滞在することになった。前日とは違い、晴れ間が見えていたから小松駅にある地図から散策することに。
東京とは違っていい意味で空が広く感じた。(背の高い建物がほぼほぼ無いからね。)また、人の流れも急いでいなく日頃は人の合間を縫うようにして歩いてるがその雰囲気に呑まれてゆっくりと歩きながらその街の空気と風景を楽しんだ。殺伐としていなくて社会に疲れてささくれだっていた心が久々に落ち着いた。
この旅を機会に御翔印という日本航空が各空港ごとに空港限定の御朱印を販売しているから今度はそれを集める旅をしてもいいかもしれない。羽田に着いてお気に入りの牛タン屋さんで大盛り牛タン定食を頬張りながらそんな事を考えていた。
残り1週間のお休み、ゆっくり休もう。