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地下のワンダーランド サリーナ・トゥルダ
世界三大地下洞窟というものをご存知だろうか?
ご存知なはずがない。私が勝手に言っているだけだからだ。
今回は私が独断で選ぶ世界三大地下洞窟の一つ、ルーマニアのサリーナ・トゥルダについて取り上げたい。
過去のシリーズはこちら。
その前に、一つ重要なことをお伝えしなければならない。
このサリーナ・トゥルダには私はまだ行ったことがない。
しかしながら、これから書くのは旅行記である。
「お前は何を言っているんだ」と思われたかもしれない。
至極まっとうな感想だ。逆の立場なら私もそう思うだろう。
以前、あらかた書く予定だったネタが尽きた頃、以下の記事で私は宣言した。
「未来の旅に際しては、行く前に先に記事を書いていく」と。
残念ながら、私の予定表にはしばらく海外旅行の文字はない。
何なら予定自体そんなにない。
しかし、世界三大地下洞窟のうち訪問済みの2つを記事にしてしまったので、残りの1つを放置してモヤモヤさせるのは忍びない。
そこで今回、予定は未定だが、実験的に記事を書いてみることにした。
つまるところこの記事は、行っていない場所について堂々と語る旅行記である。
なので、これからいちいち注釈はしないが、これからの私の各文章の語尾に対して、基本的に「だ(そうだ)」、「である(らしい)」と読んでいただけると良いだろう。知らんけど。
サリーナ・トゥルダ(Salina Turda)は、東欧の国・ルーマニアの北西部トランシルヴァニア地方の街、トゥルダにある岩塩坑である。
その岩塩坑としての歴史は古くローマ時代にさかのぼると言われるが、明確に歴史に登場するのは11世紀のことである。
当時ハンガリーの支配下にあったトランシルヴァニア地方において、サリーナ・トゥルダは地域に塩を供給する重要な塩鉱山として栄えたとされる。
その後1932年に採掘が終了し、戦時下の防空壕やチーズの保管庫として使われていたものの、1992年に観光地として一般開放され、今では年間70万人近くの人々が訪れる観光地となっている。
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https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=16622716
それはそうと、トランシルヴァニア地方という名前はなんとなく響きが良くて好きだ。スカンジナビアと並んで好きな地方名である。
あと、地方とはちょっと違うがベネルクスも良い。
トゥルダの街はあまり大きな街ではないため、そこから30kmほど離れたルーマニア第三の都市、クルジュ・ナポカが起点となる。
バスで30分ほど揺られると、トゥルダにたどり着く。
サリーナ・トゥルダには入り口が2つあり、山の上にある新しい入り口と、山の下にある古い入り口があるようだ。
新しい入り口は山上にあって、車以外だと歩いていかないとたどり着けない説と、バスが通っている説があり、そのあたり定かではない。
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Ana Maria Catalina - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=13973534
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ストリートビューより
サリーナ・トゥルダは2008年に大規模改修工事を行い、より観光地としての設備を整えた近代的な作りとして生まれ変わっている。
なので、行けるのなら新しい入口から行ってみたいところだ。
現在は採掘を行っておらず、観光地となっている内部には、現役当時の採掘設備などが博物館のように展示されてもいる。
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しかし、このサリーナ・トゥルダにおいて重要なのはそちらではないと言わざるをえない。
いくつかの坑道スペースがある中で、最大の見どころはルドルフ坑(Rudolph Mine)だろう。
深さ42mのルドルフ坑は巨大な地下ホールとなっており、なんとそこは地下遊園地になっているのだ。
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なんとも珍しい地下観覧車である。
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高さ20mからの景色を楽しむことができる。
といっても深さ42m地点にあるので、差し引き地上マイナス22mからの景色だ。
おそらく世界で最も低い位置にある観覧車ではなかろうか。
訪れた暁には、仮に一人旅だとしても恥も外聞もなく、30過ぎた男一人で意気揚々と観覧車に乗ることだろう。
その他の遊具としては
・ミニゴルフ
・ボウリング
・ビリヤード
・卓球
・ハンドボール/バドミントン
があるということなので、どちらかというと地下遊園地というより地下スポッチャだと思ったほうがイメージが近いかもしれない。
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さらに地下深くに潜ったテレジア坑(Theresa Mine)も見逃せない。
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https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=43374217による
もはや地底を通り越して宇宙空間に来たのではないかと錯覚させるようなオブジェクトが並ぶ。
換気口からの深さ112mに位置するテレジア坑の底は地底湖になっており、地底湖をボートで遊覧できるのだ。
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当然塩湖なので、落っこちてもきっと浮かぶのであろうが、流石にこれに一人では乗らないだろう。
こちらもおそらく世界で最も低所で乗ることができるボートではなかろうか。
そして中央部にある島は、採掘が中止された1880年以降に堆積した純度の低い塩で出来た塩の島だそうだ。
ボート乗り場以外のハリセンボンやイソギンチャクのようなオブジェクトがなんなのかは不明である。
行って確かめる他はない。
それにしてもルーマニア人は一体何を思って、地下の岩塩坑跡地に遊園地を作っただろうか。謎は尽きない。
しかし、地底にいながら観覧車に乗り、ボートを漕ぐ体験はきっと世界でここでしか味わえないだろう。
訪問が叶うのはいつのことになるだろうか。
今から楽しみだ。
最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は行ったことが"ある"場所について堂々と語る旅行記です。
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