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共感性が高すぎると決断力が下がる

セールスやマーケティングの仕事をしていると、複数のステークホルダーから相反する意見が出るものです。例えば、

  • マーケティング担当者が広告のCTRを上げるためにデザインのトンマナを変えようとしたら、デザイナーが「ブランドイメージと反するので変えたくない」と反対する

  • マーケティング担当者がリード数を増やすために潜在層向けのセミナーを企画したら、セールスが「受注率の高い顕在層向けのセミナーにしたい」と反対する

反対意見自体は良いのですが、それに耳を傾けるだけでは話が進みません。意思決定とは何かを選んで別の何かを捨てることですから、どれかを捨てたり折衷したりが必要なわけですが、共感性が高い人はこういうネゴシエーションが苦手です。Aさんの意見を聞いたら「よく分かる」、Bさんの意見には「理解できる」、Cさんの意見にも「共感できる」と全ての人の意見に共感してしまい、何も捨てられないからです。

かといって、「共感性を無くせ」「もっとがさつになれ」と性格を変えさせるのも無理な注文でしょう。過去にこういう人がマーケティングやセールスの意思決定者になった企業を何度か支援したことがあるのですが、彼/彼女らが社内の反対意見をとりまとめできずに施策が頓挫することがほとんどでしたし、途中で共感性の高さが改善した人も皆無でした。人間のスキルは成長しますが、性格はそう変わるものではありません。

結局、共感性の高い人を意思決定者に据えるというミスマッチが根本原因と言えます。過去に支援した企業で最も効果があったのは、意思決定者を別の人に任せることでした。共感性の高い人には担当者として施策の立案などをやってもらい、意思決定や社内との調整は別の意思決定者にやってもらうということです。意思決定者は担当者と違い、共感性が高すぎない(合理的でドライ)人を据えたほうが良いでしょう。

また、共感性の高い人はカスタマーサクセスなど別のポジションに異動してもらうのも手です。共感性が高いことは顧客に寄り添うポジションにおいては武器になるので、必ずしも改善すべき欠点でもありません。長所を無理に変えず、それが活きるポジションで働くほうが本人もハッピーでしょう。


私のマーケティングの仕事については下記の記事をご覧ください。

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