組織課題の解決を諦めて転職することも大事
人や組織の課題はどの会社でも悩ましいですが、その原因を掘り下げると、大きく2パターンに分かれます。
事業成長を原因とする組織課題
(例)事業の成長にメンバーのスキルが追いつかない
(例)新規事業に最適な組織構造になっていない
過去の因習を原因とする組織課題
(例)派閥による対立が強く、社内の連携が悪い
(例)失敗を低評価する社風により、社員が挑戦しない
(例)異なる社風の会社が合併したため、社内の仲が悪い
前者はスタートアップに多いのですが、事業が成長しているわけですから、ある意味ではポジティブな悩みといえます。一方、後者は日本の大手企業(いわゆるJTC)に多く、基本的にネガティブな悩みです。もちろん両者は排他ではなく、どちらも抱える企業もあります。
この2つのうち、後者のほうが解決は困難です。何十年と積み重ねてきた因習なだけに半年や1年で変わるのは望み薄ですし、人間関係や派閥といったデリケートな問題に触れるため、社内が臭いものに蓋をしたがることもあります。最たる例がみずほ銀行ではないでしょうか(勘定系システムを2019年にリニューアルしましたが、三行が合併したことによる組織の分断を未だに解決できておらず、早くも新システムがブラックボックス化してシステム障害を起こしています)。
企業の経営者としては嫌でもこうした課題に取り組まざるをえないわけですが、現場で働く一個人からすると、正直モチベーションは上がらないでしょう。先人たちが作った負債を自分が肩代わりすることに納得感がありませんし、取り組めば必ず変わるという保証もありません(むしろ、みずほ銀行のように変わらないことのほうが多いでしょう)。
私見ですが、負債を肩代わりすることに人生の貴重な時間を使うよりも、さっさと転職することをお薦めします。組織課題が無い会社を探すのはさすがに無理ですが、もっと負債が少なかったり、事業成長による組織課題を抱えるスタートアップで働くほうが有意義だと思います。自分の会社が大好きで負債を返したいなら否定はしませんが、5〜10年と取り組み続けて変わらなかったときの絶望感がすごいので、「3年経って変わらなかったら転職する」のように、撤退ラインを決めておくと良いでしょう。