企業の「フルリモート」に自分の働き方を依存しない
コロナ禍をきっかけに地方移住する人は、最近の出社回帰により引っ越しか転職を余儀なくされています。例えばLINEヤフーが出社日を設けると発表しましたが、元々フルリモートを全面的に打ち出していただけに地方在住の社員も多く、「手のひら返し」という声が出ています。
ここで出社日や「手のひら返し」の是非は措きますが、私が気になったのは企業の「フルリモート」を前提に働く人が多いことです。
そもそもフルリモートとは福利厚生の一つにすぎないので、将来的に変更・廃止される可能性は十分あります。企業や担当者が「将来的にもフルリモートです」と話しても、それは現時点での話であって、未来のことは分かりません。例えば結婚式で「病めるときも健やかなるときも〜」と誓いを立てたのに離婚するのと同じです。
直近の例を出すと、GMOグループはコロナ禍初期の2020年に早々にフルリモート移行しました。代表の熊谷さんが「業績への影響がほぼ無い」と絶賛されていましたが、2023年にはフルリモートを廃止し、「今どきフルリモートとか、だめでしょ」と発言しています。このように人や企業は変わるものなので、それを永久不変と捉えるのは危険です。
仮に企業のフルリモートを前提に地方移住した場合、もし企業がフルリモートを廃止したら社員は退職しなくてはなりません。つまり企業の福利厚生に自分の働き方が左右されるハイリスクな働き方です。もしフルリモートを前提に働きたいなら会社員よりもフリーランスを選ぶべきでしょう。
私は地元の別府にUターンするために2019年に独立しましたが、当時でさえフルリモートを廃止する企業はいました(2013年に米ヤフー、2017年に米IBMがフルリモート廃止)。企業のフルリモートに依存するリスクを考慮して独立を選びましたが、この選択肢は正解であったと今でも思います。