薬を減らして生活を快適に!ポリファーマシー解消法
たくさんの薬を飲む生活に、不安を感じたことはありませんか?
私自身、学生時代に祖父がたくさんの薬を服用していた経験から、こうした漠然とした不安を身近に感じてきました。
特に祖父は、薬が多すぎて飲むのがつらそうで、飲み込む際にむせたり、疲れた表情を見せることもありました。
その姿を見て、家族としても胸が痛かったことを今でも覚えています。
そういう真面目な祖父だったからこそ、なおさら心配でした。
今の知識なら、もっと早くに楽にさせてあげることができたのに、、、と少し苦い思い出です。
ポリファーマシーと呼ばれる多剤服用が、実は転倒リスクや副作用の増加に繋がる可能性があることをご存知でしょうか?
やはり、不必要なお薬の飲み過ぎは、身体にとって害を及ぼす可能性があります。
この記事では、ポリファーマシーのリスクと改善策をわかりやすく解説します。
この記事が特におすすめの方
この記事を読んでいただくことで、
薬が多すぎることで起こるリスクを理解できる。
安心して適切な服薬量へ改善する方法を知ることができる。
結果として、日常生活の安心感やQOL(生活の質)が向上させることに繋がります。
ぜひ最後までご確認ください。
1. ポリファーマシーとは?
ポリファーマシーとは、一般的に「5剤以上の薬を服用している状態」を指します。日本でも高齢者の3割以上が該当すると言われています(出典: 厚生労働省 健康寿命延伸プログラム)。
そんななか、
6剤以上の薬を服用している高齢者は、転倒リスクが約2倍になるとするデータがあります(出典: JAMA Internal Medicine, 2014)。
転倒リスクが大きくなる理由としては、
複数の薬の副作用として、ふらつきやめまいが起きやすいこと。
特に眠剤を使用している場合は注意力や判断力が低下することで転倒リスクが高まります。
ご家族に元気でいて欲しくてお薬を使っているのに、転倒して骨折、、、なんて嫌ですよね。
また、同じ作用を持つ薬が重複すると、効果が強くなるどころか副作用だけが増加します。
たとえば、降圧剤が重なることで血圧が下がりすぎ、ふらつきや意識低下をまねくことがあります。
2. 複数診療科で処方される薬の危険性
祖父の場合、循環器科からの利尿剤、整形外科からの痛み止めを同時に処方されていました。しかし、これらの薬はどちらも腎臓に負担をかけるもので、結果として体調が悪化していました。
このように、複数診療科で処方が出ている場合、それぞれの病院内では体調を把握し切ることが難しい時があります。
そんなときこそ、薬剤師の出番です。
薬局はどの病院から処方が来たとしても、一括して患者さんの調剤記録(薬歴)を作成しています。
複数病院にまたがっていたとしても、効果重複を見つけやすいシステムになっているというわけです。
3. 薬を減らすことで得られるメリット
また、祖父の場合、薬剤師に相談し、服用する薬を見直してもらった結果、8種類から5種類に減りました。
これにより、むせることが減り、飲む際のストレスも大幅に軽減。特に大粒だった先発品を削除できたのが効果的でした、、!
副次的な効果にはなりますが、お薬代金も少し節約になり、年間で1万円ほど削減されることとなったのです。
これは思わぬラッキーでしたね。
4. ケアマネと薬剤師が連携することで
在宅医療では、利用者の健康状態や生活環境に基づいた細やかな支援が求められます。
その中で、ケアマネージャー(ケアマネ)は、利用者の日々の状況や課題を把握し、チーム全体をつなぐ重要な役割を担っています。
例えば、体調の変化や生活リズム、転倒リスク、服薬の課題など、利用者が抱える問題を最も身近で理解しているのがケアマネです。
ケアマネがこれらの具体的な情報を薬剤師に共有することで、薬剤師は単に薬を提供するだけでなく、利用者に合わせた服薬管理の提案や、副作用を考慮した薬の調整、服薬しやすい形態の提案など、より実用的で効果的な支援が可能になります。
たとえば、「夜間に眠気が強すぎて、トイレに起きた時に転倒しやすい」といった情報があれば、薬剤師は鎮静作用の少ない薬に変更を提案することができます。
また、認知症の利用者で服薬管理が難しい場合は、服薬支援機の導入を検討したり、服薬時の工夫(パウチ化や簡易包装など)を提案することができます。
こうしたケアマネと薬剤師の連携があることで、お薬の数が多くてつらい、といった問題も一緒に解決していくことも可能になります。
お薬を飲むのがしんどいという現実を、ぜひ薬剤師、そしてケアマネ双方にお伝えいただけると、みんなで患者さんやそのご家族を支えさせていただきます。
5. 「お薬飲み過ぎ??」に気付くポイント
ここまで、不要な薬を減らしていくメリットを紹介してきました。
では、実際に薬をたくさん飲みすぎているのかもしれない、と気付けるポイントはどこなのでしょうか?
自分たちが飲みすぎているかどうか、その判断基準が知りたいですよね。
ご自身、もしくはご家族が、下のポイントに当てはまるようであれば、薬を多く飲みすぎている可能性を考えてみてください。
自分自身がちょっとでも、薬を減らしたいな、飲むのが億劫だなと感じるのであれば
それは精神的に飲み過ぎになっている可能性があります。
その段階でこのあと紹介していく減薬のステップを確認してみてください。
飲みすぎてなくてもいいんです。
誰かにとっては適正な量でも、誰かにとっては苦痛になってしまうこともあります。
辛いと思ったらぜひ教えてください!
6. 薬を減らすことの心理的効果
薬を減らすことによることで、気持ちの面にも影響が出てきます。
私が実際に減薬提案を行ってきた患者さんの実際の声をご紹介します。
お薬の回数が減ったことでストレスや不安が軽くなり、患者さんご自身やご家族が安心されている姿がとても記憶に残っています。
服薬が負担にならない形で日々を送れるようになることは、生活の質の向上にもつながります。薬剤師として、こうした変化を一緒に考えていく重要性をあらためて感じた事例でした。
7.まずは薬剤師に相談を
では、どうやって減薬を進めればよいのでしょうか?
答えはとてもシンプルです。まずは、お薬手帳を持って薬局の薬剤師に相談してみてください。
薬剤師は、現在服用中の薬を一つひとつ確認し、必要があれば医師に提案する形で、薬効が重なっていないか、副作用のリスクが高まっていないかを評価します。
お薬を減らす場合も、血圧や血糖値などの数値を定期的に測定し、急激な変化がないかを確認しながら進めるので安心して相談してみてくださいね。
在宅訪問サービスの活用
その他にも、在宅訪問を行っている薬局であれば、自宅での服薬状況や体調を確認しながら減薬を進めることも可能です。
詳しくはこちらの記事もあわせてご確認ください。
8.まとめ
ポリファーマシーを解消することで、患者さんや家族の不安が軽減し、生活の質が向上します。
まずはお気軽に薬局の薬剤師に「お薬を減らしてみたい」と相談し、安心して減薬を進めましょう。
在宅医療_薬剤師ラボでは、薬剤師による服薬支援や減薬提案をサポートしています。
また、患者さんやそのご家族に、薬の専門家である薬剤師をどんどん活用してもらえる社会作りに力を入れています。
薬に関する不安がある方、また在宅医療で不安を抱えている薬剤師の方、薬剤師がどのように役立てるのか興味がある方、ぜひお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。