高齢者とインフルエンザの危険性 ~在宅療養でできる感染症対策~
みなさん、こんばんは
在宅医療_薬剤師ラボです。
インフルエンザがとても増えております。
私の周りでも感染してしまう方がとても多く、薬局シフトが大変なことに。。。
コロナ時期には大幅に減少していたインフルエンザ罹患数、昨年から激増しています。
2021年度(2021年4月~2022年3月)
• 患者数: 約2,000人
2022年度(2022年4月~2023年3月)
• 患者数: 約19.5万人
今年度はまだ最終結果が出ておりませんが、2024年12月16日週の感染者数は約211,049人で、前週比224%の増加が報告されています。
この時点で昨年越えは確実となっています。
本日はそんなインフルエンザが高齢者に対してどのようなリスクがあるのかお話させていただきます。
冬季はインフルエンザの流行がピークを迎える季節です。
特に高齢者や慢性疾患をお持ちの方々にとって、インフルエンザは重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。在宅療養中の方々が安心して冬を過ごすために、効果的な感染症対策と訪問薬剤師サービスの活用方法をご紹介します。
高齢者にとってインフルエンザが危険な理由
1. 慢性疾患の悪化リスク
インフルエンザは、慢性疾患を持つ高齢者において、これらの疾患を悪化させる可能性があります。
たとえば、心疾患や呼吸器疾患、糖尿病などの基礎疾患を持つ方がインフルエンザに感染すると、症状が重篤化しやすいことが報告されています。
私の周りでも喘息で自宅療養されていた方が、インフルエンザに罹患し症状悪化、その後入院を余儀なくされました。
2. 免疫力の低下
加齢に伴い免疫機能が低下するため、高齢者はインフルエンザに感染しやすく、重症化のリスクも高まります。特に、肺炎や気管支炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
3. インフルエンザでの入院リスク
厚生労働省のデータによると、インフルエンザで入院される方の50%以上が60歳以上です(2024年第48週時点のデータ)。これは、高齢者がインフルエンザに感染すると重症化しやすいことを示しています。
インフルエンザ自体は若い方からお年寄りまで、ひろく罹患します。入院される方の50%以上が60才以上と聞くと、いかにお年寄りの方が悪化しやすいかが分かります。
在宅療養でできる感染症対策
1. ワクチン接種
高齢者に対するインフルエンザワクチン接種は、重症な肺炎などを予防する効果があります。
65歳以上の方や、60~64歳で一定の基礎疾患がある方は、予防接種法に基づく定期接種の対象となり、自治体によって補助が受けられる場合があります。
具体例
東京都(全域)
• 対象者: 65歳以上、または60~64歳で基礎疾患がある方
• 自己負担額: 2,500円(生活保護受給者は無料)
• 申請方法: 指定医療機関での接種時に年齢や障害を証明できる書類を提示
大阪市
• 対象者: 65歳以上、または60~64歳で基礎疾患がある方
• 自己負担額: 1,500円(生活保護受給者は無料)
2. 手洗い・消毒
こまめな手洗いやアルコール消毒は、ウイルスの侵入を防ぐ基本的な対策です。訪問者にも手洗いや消毒を徹底してもらいましょう。
コロナ禍の際にはアルコール消毒の徹底効果もあり、インフルエンザ罹患数は昨年の1/100ほどまで減少していました。
3. 室内環境の整備
適切な換気や加湿は、ウイルスの活動を抑制する効果があります。
しかし、ご高齢の方のお家に加湿器があることは稀な気がします。
加湿器がない場合は、以下の方法で湿度を保つ工夫をしましょう:
• 濡れタオルを室内に干す
• 湯を張った洗面器を部屋に置く
• 観葉植物を配置する(蒸散作用で湿度を上げる効果があります)
4. 栄養管理
免疫力を高めるためには、ビタミンDやビタミンCを多く含む食品の摂取が効果的です。以下に具体的な食品とメニューの例を挙げます。
ビタミンDを多く含む食品:
• 鮭
• いわし
• きくらげ
• 卵黄
• きのこ類
ビタミンCを多く含む食品:
• 赤ピーマン
• ブロッコリー
• キウイフルーツ
• イチゴ
• 柑橘類(オレンジ、みかんなど)
おすすめメニュー例:
• 鮭ときのこのホイル焼き:鮭ときのこをアルミホイルで包み、オーブンで焼くだけの簡単メニュー。
• ブロッコリーと赤ピーマンの炒め物:色鮮やかな野菜をオリーブオイルで炒め、塩胡椒で味付け。
どちらのメニューも実際に作ってみましたが、シンプルながらに美味しく出来上がりました。
ぜひ挑戦してみてください。
訪問薬剤師サービスのメリット
訪問薬剤師サービスを利用することで、以下のようなメリットがあります。
1. 自宅での薬剤管理
薬剤師が直接ご自宅を訪問し、薬の管理や服薬指導を行います。これにより、薬局や病院に出向く必要がなくなり、外出による感染リスクを軽減できます。
実際、病院や薬局に受診される際にインフルエンザに罹患される方がとても多いように感じます。
2. 個別の健康相談
患者様一人ひとりの健康状態や生活環境に合わせたアドバイスを提供します。
たとえば、免疫力を高めるための栄養指導や生活習慣の改善提案などが受けられます。
薬局によっては栄養士が在籍しており、より専門的なアドバイスをもらえることもあります。
ぜひ担当薬局に相談してみてください。
3. 緊急時の対応
急な体調変化があった場合にも、訪問薬剤師が状況を把握し、医師との連携をスムーズに進められるため、安心して療養生活を送ることができます。
日頃から訪問薬剤師サービスを受けられていれば、万一インフルエンザに罹患してしまった場合でも、抗インフルエンザ治療薬を自宅まで持ってきてもらうことも可能です。
より詳細な情報については、こちらの記事も併せてご確認ください。
最後に
インフルエンザの流行がピークを迎えるこの季節、高齢者のご家族や介護者の方は、日々の感染症対策を意識して過ごすことが重要です。
特に在宅療養中の方には、日常のちょっとした工夫や訪問薬剤師サービスの活用が安心感につながります。
感染リスクを最小限に抑えながら、大切な家族とともに穏やかな冬を過ごしましょう。
私は、薬剤師として在宅医療の現場で働きながら、患者様やご家族、医療・介護従事者の方々に役立つ情報を発信しています。
特に、訪問薬剤師としての実務経験や、大手調剤薬局で在宅医療分野の責任者を務めてきた経験を活かし、専門性と実践的なアドバイスをお届けしています。
在宅医療の現場では、「もっと早く知っていれば助かった」という声を耳にすることが多くあります。
だからこそ、私たち薬剤師が提供できるサポートを正しく理解し、効果的に活用していただけるよう、分かりやすい情報発信を心がけています。
この記事を通じて、皆様の健康を守るためのお役に立てれば幸いです。お困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!