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95【事業再生・基礎中の基礎】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山県倉敷市児島にある老舗スーパー銭湯(ホテル)です。寒いこの時期、特にお風呂には癒されますね。今回のブログテーマは傷ついた企業を癒していく「事業再生」です。
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はじめに

「事業再生」という言葉にどんな印象を持たれるでしょうか?

私は年商10億円規模までの中小、零細企業を対象とした、財務面の改善を軸とする経営コンサルタント=財務コンサルタントであって、事業再生コンサルタントではありません。しかしながら、営業赤字が2期連続続き、債務超過の状態にある企業にコンサルテーションを行うことはケースとして頻繁にあります。

どこから「事業再生」でどこから「業績改善」なのか定義は非常に難しいのですが、つまりは業績を持ち上げていくのが財務コンサルタントの責務です。
バックギアに入った企業を前に進めるために行っていくことには原理原則があります。

コロナ融資の元金返済がこの6月辺りから本格化していく中で、本業が傷んだままで、既存借入分に加え、コロナ融資分の元金返済までのしかかってきて、今まで以上に財務的に苦しい企業が、いよいよ増えてくる局面でもあるので、今回は「事業再生・基礎の基礎」というテーマで書きます。もし良ければ、最後までお付き合いください。

事業再生の全体像

「事業再生」というテーマになると、非常に難解なイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?しかし、本質は非常にシンプルです。

企業を人間の身体に例えて言うとイメージし易いかも知れません。

1.病気やけがの状況を診察をする。
➡決算書類一式3期分と直近12か月分の通帳写し、借入返済予定表の分析と経営者のヒアリングから経営不振の原因をつきとめる。
2.止血と手術を行い、血液量を増やす輸血をする。
➡深刻な資金不足の場合は大胆な金融再編を実施。リスケジュール、元金返済ストップを行う。経営者一族の個人資産の投入、不要資産の売却。借入の一本化(ニューマネーを含む)、資本性劣後ローンの投入、原価管理、販管費の削減をひとつずつ優先順位を見極めながら行う。クロスSWOT分析から一点突破の積極戦略を導き出し、売上を向上させていく。
3.健康体に向かっているかの定期診察を行う
➡資金量の管理を資金繰り表(一日毎、通常月毎)で実施。改善状況のチェック体制を作り、PDCAサイクルのレベルを上げながら回していく。

日本財務力支援協会研修資料を筆者が編集

何から取り組むのか?

施策の優先順位を決めてやっていくケースもあれば、とにかくやれることは何でもやらなければならない状況などケースは様々と考えられます。

ただ大きく考えるべきは、

・貸借改善

・損益改善

という視点です。

要はB/S改善かP/L改善かということですが、結局はどちらにも取り組まねばなりません。

(貸借改善)
過剰負債・不要事業・不良資産をどうしていくかが重要です。特に、資産の売却は即効性や実行可能性が高く、資金繰り改善への貢献度は高いと言えます。

(損益改善)
売上向上と経費削減の二本柱です。売上の向上は元になる経営資源と市場環境も影響するので他の分野と比べより一層大変ではありますが、とにかく粗利が全ての源泉ですので腹を決めてやりきるしかありません。一方、経費削減は固定費の削減がメインとなります。販管費の削減は限界がありますが、もちろん取り組まねばなりません。

結局、貸借改善、損益改善も地道な実行を積み上げていくしかありません。通常時の経営よりも、事業再生は更に深い「不退転の決意」とも呼べる覚悟が求められます。

ちなみに私は、焼肉店を4店舗経営していた時代がありました。起業して4年目からは「事業再生フェーズ」と呼べる状態でした。約2年、再生に取り組みましたが、結果は失敗に終わりました。それで、焼肉の事業部(法人)は一旦停止状態にし、以前メインで行っていた保険代理店事業から財務コンサルティング事業へ業態転換し、少しずつ業績を向上させつつあるこの2年半といったところです。

お恥ずかしながら、今まさに現在進行形の「セルフ事業再生中」でございます。リアルしくじり先生的な部分もコンサルテーションに活かしながら、日々のコンサルテーションに取り組んでいます。果てしない負債額(1億円超)ですが、自己破産はせず、「千里の道も一歩より」の精神で日々少しずつ進んでいます。

再生コンサルタントが必要な時代

最後に、年商10億円規模までの中小、零細企業を対象とする、いち財務コンサルタントとしての立場からコンサルタント業界の方々へお伝えしたいことがあります。

事業再生にあたっては、特に毎度のフレーズが重要だと思っています。健康体の企業の業績を伸ばすコンサルテーションに比べ、いつも以上に「言うは易く行うは難し。」です。つまり経営者の方に仮説ながらも最適な処方箋を提示した上で「どう行ってもらうか。」が本当にキモになってきます。

正直、冷静に俯瞰的に見れば、特に年商10億円規模までの中小、零細企業における事業再生分野は、無限のニーズが広がる「超ブルーオーシャン」です。ただ、この仕事はかなりの精神力・胆力が求められます。受託する、しないの判断は苦悩します。

ただここで、地方経済の集合体が日本経済であると捉えるとするならば、財務を軸とする経営コンサルティングに従事する全ての方々に、「事業再生」に取り組む基礎以上の知識が無ければならない時代が到来しつつあるのかも知れません。

つまり、どんな経営コンサルタントも財務的な分野を中心とするなら「事業再生」への知識を持ち、その分野の研鑽をしていかねばならないということだと私は考えます。自らへの自戒もこめて、今回のブログを終えます。

まとめ

・事業再生の全体像をまずは捉えることが大事。貸借改善なのか、損益改善なのか。

・事業再生に取り組んでいくにあたって、経営者もコンサルタントも、企業を人間の身体に例えて考えると分かりやすく、状況を整理しやすい。

・これからの日本はおそらく、「大事業再生時代」が到来。財務分野を扱うコンサルタントのスキル向上と養成が日本全体で必要となってくる。
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今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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nori.nakamuraconsul@gmail.com







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