121【地方都市での起業の王道】地方在住経営コンサルタントの思索
写真は9月1日に岡山市にオープンする、岡山芸術創造劇場「ハレノワ」のラッピングをあしらった路面電車です。
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はじめに
「地方で起業はリスクが高いのでは?」
「人口が多い都市部でなければ難しいのでは?」
こう思われる方も多いと思います。
しかしながら、視点の持ち方によっては、地方都市での起業でも成功率は高まります。
中小企業経営者と向き合って19年目になりますが、その中で得た、原理原則、いわば「起業の王道」とも呼べるエッセンスを掴めてきたので現時点での知見をまとめてみようと思います。
ただし、ゲームチェンジャーやユニコーンと呼ばれる、大きな社会変革をもたらす規模の企業を目指す事業展開はイメージしていません。あしからず。
もし良ければ最後までお付き合いください。
起業タイプをざっくり分類する
1.勤務先から独立形態
このケースが一番多いと考えられます。建設・建築・卸売・小売・サービス業は商流と顧客を持った上で、円満に独立できた場合はスタートダッシュも決められ、政府系を含めた全金融機関の審査においても、最も筋の通った起業と今の時代も判断されます。当然ながら、全く脈絡のない、つまりはキャリアの連続性の無い新事業、新業態での起業は成功の根拠が薄く、成功する確率も低いと言えます。
ちなみに私自身もこのケースを経験しました。金融機関に勤務していたので、資金調達と物件評価スキルにおいてにアドバンテージがあったため、賃貸不動産業を成功させました。(現在は全物件を売却。)
保険代理店での独立も外資系保険会社と乗合代理店での営業経験からの独立起業だったため、顧客基盤を一定レベル有しており、運営はスムーズにいきました。しかしながら、実務経験はゼロでないものの、キャリアの連続性が薄い焼肉店での起業は、小型店舗のみの当初は順調でしたが、5年間で廃業となりました。
経営者の実務経験、つまりはキャリアの歴史の重要性を痛感しています。
2.勤務先が倒産・廃業から起業
建設業や製造業、旅館・ホテル業などでよく見られるケースです。何らかの理由で、前経営者がいなくなり、受注はあるのに、従業員のみが残されるということがごくたまに起きます。
実際、現場を回しているのは幹部であったり、スタッフであったりするわけで、発注側も納品してもらわねば困るので、そのまま事業が維持されるという場合があります。そこで、組織を新たに設立し、1名が代表となり図らずも独立起業するということもパターンとしてあります。
このケースもその業界に携わっていた当人が経営をするので、金融機関や取引先もある意味好意的に受け取ってくれることがあります。成功率も決して悪くなく、むしろ前経営者自身がその企業発展へのボトルネックであった場合は、みるみるうちに成長を遂げて行くこともあります。
3.自学自習で興味ある分野に挑戦
どこかに勤務しながら、ネット販売、ホームページ作成、動画作成、ウェブマーケティング、コンサルティングなどのスキルを副業・複業で磨き、収入が目標値を超えた段階で、独立起業するというケースです。
昨今、特にコロナ禍以降においては一般的なケースと言えます。特徴としては、都市部だけでなく地方都市でも場所や情報の格差は大きくなく、あくまで本人の努力次第で、伸ばしていくことができます。
補助金制度や、よろず支援拠点、商工会議所などの支援制度についてもネットで調べられる時代です。「好き」且つ「得意」を軸に、社会的ニーズなどの外部環境を見定めて事業展開していけば、拡大させていくことも可能でしょう。
大きく設備資金はかからないことが多いと言えますが、確実に実績をつんでいけば、地域金融機関も現在は、都市銀行と違って、有望な新規貸出は探している状況なので、資金調達も難しくない状況にあります。蛇足ですが、新規貸出先は、未来へ向けた審査要素も入ってきて、たいていの場合は政府系や信用保証協会の制度利用のため、金融機関のリスクはコントロールされています。そのため、ざっくり言えば、新規先・創業企業への融資は「別腹」状態です。コロナ禍以降、V字回復できていない企業は、調達に苦慮している状況に変わりはありません。
4.現存する企業が新業態、新事業を開発
事業再構築補助金の利用が一般的です。少し、番外編かも知れませんが、既存事業の新事業展開、新事業創出、業態転換といった分野も広義の意味で言えば、起業に近いと言えます。
斜陽の業界は軸をそのまま、もしくは多少ずらして、ヨコの隣接業界や川上川下を含む隣接業態に挑戦するケースが一番成功率は高いと言えます。
業歴のある企業は、エリアでの知名度、信用など可視化しづらいところでの積み重ねてきた計り知れないアドバンテージが業歴の短い創業企業と比べると存在します。
この「信用」をテコに、培ってきた、業界でのノウハウと社内社外のリソースを緻密な計画を元にフル活用していけば、成功の絵がハッキリと見えてくることでしょう。
成功し易い要素をまとめると
上記の要素を土台に、今まで存在する業態で、その人、その企業が育んできた「信用」を全方向に活用し、見返りを短期で求めず、粘り強く、地域が良くなることをイメージしながら愚直に、誠実に無理し過ぎず、こつこつとビジネスをしていけば、成功していくと思います。
100年以上続く老舗企業も今まで5社、関与させていただきましたが、全社とにかく誠実な商売を積み上げてこられた印象です。短期的な利益を求め過ぎないことが、結局長期的に安定的で大きな利益を得て行くことになるというのが真理であると感じています。
「言うは易く行うは難し。」の内容のオンパレードとは思いますが、現時点での情報をまとめて、今回は終了といたします。
まとめ
・やはり、実務を経験している業界、業態での起業が成功率は高いと言える。
・キャリアの連続性をベースに、潜在的なニーズと競合他社の実力や存在といった外部環境を見定めて起業すべきである。
・短期的利益も必要ではあるが、長期的視点でこつこつと誠実に商売していくことが成功のカギである。
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株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀
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