156【財務コンサルタントが自社の3C分析を公開。】元銀行員・地方在住・財務コンサルタントの思索
はじめに
前回、戦略決定に至るまでに大切なビジネスにおける伝統的フレームワークであるPEST分析と3C分析について書きました。弊社でも実施しています……。という主旨の発言をしたので、せっかくですので一部を公開しようと思います。
「当たり前の内容だな。」
「もっと細かくなければだめなんじゃない?」
など様々な感想を抱かれると思いますが、読まれた方の気づきや盲点の解消に少しでも繋がればという思いで記述します。もし良ければ最後までお読みください。
3C分析の手順は?
3C分析は、マーケティング戦略や事業計画を立てる際に用いられる基本的なフレームワークです。この分析では、以下の3つの要素を評価します
顧客(Customer):市場や顧客のニーズを理解し、成功要因を把握します。考え方の切り口は、市場の規模、市場の成長性、顧客のニーズ、顧客の消費行動等です。
競合(Competitor):競合他社の戦略やビジネス結果を分析し、自社の差別化ポイントを見つけます。競合各社のシェア、競合各社の特徴、参入、代替の脅威、業界ポジション、業界ルール等です。
自社(Company):自社の強みや弱み、リソースを評価します。切り口は理念やビジョン、事業や製品の現状、資本力/投資能力、現有リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)、現有ビジネスの特徴等です。
具体的な手順は以下になります。
1.市場・顧客の分析をPEST分析の手法を用いて行います。
2.競合分析を行います。競合他社のその市場におけるビジネスの成果と理由を調査します。(ファイブフォース分析を用いるケースもある。)
3.自社の分析は強み、弱み、経営資源を冷静に見極め、自社が成功していく要因を仮説として設定します。
PEST分析の手法は?
以下にPEST分析の基本的な手順を説明します。
情報収集
自社事業に関連する情報を収集します。信頼性の高い情報源として、国が収集している統計データ、シンクタンクの調査レポート、業界団体からの情報、新聞報道、専門誌の特集記事などを活用します。
PESTの4要素に分類
収集した情報を「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの要素に分類します。自社に影響を及ぼす要因であるかどうかを精査しながら振り分けます。
事実と解釈に分類
分類した情報を「事実」と「解釈」に分けます。PEST分析では、客観的な事実を用いることが重要です。
「事実」を機会と脅威に分類
収集した情報を「機会」と「脅威」に分類します。機会はチャンス、脅威はリスクとなる要因です。
自社のPEST分析(マクロ的業界環境)
(P:政治的要素)
①経産省・ローカルベンチマークの考え方・・・解釈/機会
②事業性評価融資へ(保証人・担保依存からの脱却)・・・解釈/機会
③事業成長担保権の法整備・・・事実/機会
④DX・賃上げという対中小企業政策2本柱・・・事実/機会
(E:経済的要素)
①コロナ支援の終了・・・事実/機会
②融資過多、口数が多い企業が一般化・・・事実/機会
③銀行員・支援分野関係者の能力低下傾向・・・解釈/機会
④インフレ(事実上のスタグフレーション)・・・事実/脅威
(S:社会的・文化的要素)
①中小零細企業の後継者不足と経営者の高齢化・・・事実/脅威
②後継者への財務、経営分野の教育不足・・・解釈/機会
③労働力不足・・・事実/脅威
④大企業、多段階下請構造による地方都市繁栄モデルの崩壊・・・解釈/脅威
(T:技術的要素)
①PCに標準的にAI機能が搭載。・・・事実/脅威
②会計や業務管理系ソフトウェアやアプリがノーコードでも制作可能に。・・・事実/脅威
③オンライン面談が一般化・クラウドでのデータ管理・予実管理ソフトも普及・・・・事実/機会
④スマホ・タブレット端末が普及し、購買行動のインフラ化。・・・事実/機会
自社の3C分析
(市場:Customer)
①推定で年商30億円規模までは財務リテラシー向上のニーズが大きい。
②財務改善を担う、財務コンサルタントの認知度不足と供給数の不足。
③対銀行取引への不安、モヤモヤ、経営施策意思決定への情報不足。
④スマホ、タブレット端末で課題解決の専門家を探す行為。
(競合:Competitor)
①行動エリア内での競合は供給不足のため現状ほとんど無し。
②国家資格保有者は補助金、助成金切り口が主な手法。
③中堅・大手は高額であるがネームバリューやパッケージに安心感がある。
④支援家・支援機関が情報提供までで、肉薄し、戦略・戦術決定まで関与し、実行支援のケースは稀。
(自社:Company)
①企業の永続を助けるという明確な理念。
②戦略的経費を積極投入していく余裕はあまり無いので時間と手間で補う。
③守備範囲は経営計画策定と財務改善であり、その他課題へは協業先と連携の体制で対処。
④顧客からの紹介など、集客の手法が限定的。
まとめ
要素の羅列に終始しており読みづらかったかもしれません。恐れ入ります。厳密に言えば、もう少し詳細に分析しているのですが、大枠を掴んでもらえたらと考えています。
弊社が行っていることは、伝統的フレームワークや学術理論と現在の社会情勢の情報を整理して、各企業の状況に応じた形で現場レベルへ落とし込みをかけているという行為です。シンプルに言えば、社会科学の技術と企業に橋を架けるということです。
財務コンサルタントは決して、研究者や専門家ではないと私は捉えています。実践家という言葉が的確かも知れません。広義に考えるとすれば、企業が外部の知識や技術を活用してイノベーションを推進するアプローチ手法である”オープンイノベーション”の創出とも言えます。価値を創造するきかっけを作る存在としての活躍も社会から期待されていると、自分なりの大義を持ちながら一つずつの業務に真摯に取り組んで行きます。
ーーーーーーーー
【融資・財務コンサルタントの仕事をかみ砕いて言うと…】
岡山県倉敷市という地方都市で、独立系の融資・財務コンサルタントというニッチな業態を生業としています。
得意な分野はやはり「融資」です。貸すと借りるの両方を経験し、その道のコンサルタントとして活動している人はまだまだ少ないと思います。
実務としては、インタビュー・対話形式をメインで、銀行などの金融機関の評価が高まる、改善施策を行動計画にまで落とし込んだ「経営計画」を作るお手伝いとなります。実はこの「経営計画」を作っていく中で、自社の情報を体系的に整理するというメリットを得られます。そして、銀行から自社の財務状況がどう評価されているのか?(財務格付と言います)を算定するノウハウが弊社にはあります。この財務状況がどういう状態なのかをコンサルテーションの中で、分かり易く説明させていただきます。少しだけ踏み込んで言えば、この財務格付の算定プロセスの中に、自社の改善ポイントを見つけることができます。
「経営計画」以外には、銀行借入の再編プランを作り、金融機関への説明資料を経営者と一緒に作成し、場合によっては銀行の許可を得た上で、交渉の場に立ち会わせていただくことも頻繁にあります。銀行融資の再編だけでびっくりするくらいの資金繰り改善に繋がることが多くあります。
色々と書きましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者には、頼りになる右腕的幹部社員もいなかったりするケースが一般的です。つまり、私(弊社)は外注幹部社員としての役割を担うことになります。
融資・財務改善を軸としたコンサルタントは多いようで実は少ないと考えられます。このnoteを読まれたことも何かの縁ですので、自社の財務面や戦略面でモヤッとしていることがあればお気兼ねなく、質問などお問い合わせください。メールとfacebookへのDMでどうぞお気軽に。
直近3期分のご決算書類と借入返済予定表を無料で分析後、
45分無料経営相談承ります。
以下、個人facebookです。
※KOKUYO社が運営する経営お役立ちサイトでコラムを寄稿しています。もし良ければこちらもごらんください。無料でダウンロードできるツールもあります。
今回もお読みいただきありがとうございました。
軽く読んで少しでも参考になる点あればぜひ「スキ」をお願いいたします。
少しでも共感いただける部分がありますように。
もしフォローいただければ嬉しい限りです。
株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀