124【財務分析は難しくない。】地方在住経営コンサルタントの思索
写真は倉敷市玉島富田地区を走る、山陽自動車道です。1988年に開通した記憶です。
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はじめに
「財務分析というと難しい印象だなあ。」
「難解でイメージが湧かないなあ。」
「そもそも何をどうすれば良いのか皆目見当がつかないなあ。」
と思われる方も多いはずです。しかし、タイトルは本当です!
ただ、資金繰りを最適化していくことが使命の財務コンサルタントとしての手法としての……という条件がつきます。笑
財務コンサルタントならば、5分以内で大筋の問題点と解決の方向性が出てきます。要は仮説構築のチカラです。これは訓練すれば、誰でも可能と考えています。
今回は、決算書や銀行借入に対して苦手意識や若干のアレルギーがある方に読んでいただきたい内容です。きっと資金繰りの現状を向上させていくヒントがあるはずです。
今回のブログは無料ですが、かなり大盤振る舞いの内容になりました。もし良ければお付き合いください。
財務分析に必要な書類
1.直近決算書3期分(付属明細も全て)
主に損益計算書と貸借対照表を利用します。その二つから仮説を立てることができ、検証していくための材料が詳細に付属明細に記載されているという仕組みです。損益計算書はその期の成績表です。貸借対照表は今迄の経営実績の通算成績であり、資産の状態を表しています。簡単に言えば、企業の健康状態を判定する最大のエビデンスです。
2.銀行借入返済予定表
銀行借入をしている企業は全体の90%以上です。勘定科目明細の金融機関借入一覧では詳細な中身は分かりません。保証協会付なのか、プロパーなのか。貸付方式は証書貸付か、手形貸付(今後は無くなる予定)、当座貸越なのか。融資実行の時期や期間と返済方法など細かい情報が記載されており、今後の再編を検討して行く上で、金融機関の思惑や、自社の組み換え希望を設計していく中でに非常に有益な判断材料が詰まっています。
3.業種別貸出審査辞典等の業界平均値データ
業界平均値がその企業の成績の判断軸の一つになります。たいていの企業が日本国内を中心に活動しているため、国内同業者の数値が参考になります。簡単に言えば、高校時代に全国統一模試で自らの学力がどの位置にあるのか参考にして、卒業後の進学先を考えていたように、業界平均値と自社の数値を比較する事でどれだけ差別化できているかを理解でき、今後の企業が達成して行くべき未来への目標設定の参考になります。提携している会計事務所からデータを貰っても良いと考えます。(毎月の顧問料をしっかり払っていると思いますので…。)
財務分析の目的
何事も目標設定だけでなく、ゴール設定が重要です。シンプルに言えば、現状を知り、理想の未来像を描き、進んでいくための道筋を設定していくために行うべきだと考えています。正しく数値で自社の現状を把握して、何が良くて何が悪いのかを知ることが、業績向上への精度の高い打ち手を考えていく上で必要です。とっつきにくい分野とは思いますが、慣れてしまえば短時間でスムースにできるようになります。毎月の経営振り返りに加えて、決算期毎に自らの手を動かして財務分析することは経営者、特にチームの組成が不十分な年商10億円規模までの中小零細企業にとっては大切なことだと考えます。
財務分析の手順と勘所
基本の「型」を大事にすれば質があがっていきます。まず、損益計算書(P/L)項目から見て行き、次に貸借対照表(B/S)という流れがスムーズです。その後、資金繰りの改善策として借入の再編は非常に有効であることが多いので、銀行借入明細の一覧をエクセルで作成し、財務コンサルタントや一部の優秀なメインバンクの銀行員さんと打ち合わせしても良いと思います。
付け加えて言うと、ここで大切なのは簿記の知識です。一つ踏み込んで言えば、その勘定科目が何をどう意味しているのか?を理解する基礎力が大前提となります。経営者は簿記の学習からは逃げることができないというのが持論です。
などは弊社のコアの企業秘密となりますので、今回のブログでは財務分析の手順の主要ポイントを抜粋して記載しますので悪しからず。笑
1.PL項目
①平均月商に置き換えて考える。
②粗利益率と業種平均を比較→差別化要因を探るため。
③営業利益率と経常利益率を算定。
④インカバ計算→金利の支払い能力。
⑤フリーCFを計算→返済原資。
2.BS項目
①現預金の月商比を出し、現預金の水準を見る。(流動資産と固定資産のバランスを見る)→業種的におかしければ、個人名義固定資産にも注目。
②在庫の月商比を出す。
③経常運転資金額を計算。
④運転資金月商比を計算。
⑤元金返済額とFCFを比較。
3.返済予定表
①短期継続融資の導入検討。(プロパーならマル保の空き枠や政府系の空き枠を作れる)
②複数借入の一本化、長期化の可能性を探る。
③資本性劣後ローンの導入。(ケースバイケース)
※毎月の約定返済を減らす。→借入の空き枠を作る。→信用創造(ここに財務コンサルタントとしての意義とやりがいが存在する!)
→この点で救われる企業は全国にあまたの企業が存在するであろうが、「言うは易く。行うは難し。」である。
4.その他切り口(参考例)
①部門別会計が出来ているか?部門ごとの粗利率を計測。
②社員名簿を預かる。→平均年齢と平均勤続年数で発展性を検証する。組織図を作る。
③個人資産をヒアリングする。
④継続B/Sメインと清算B/Sメインで正味の純資産額を時価評価する。(実態把握とは時価と簿価の入り混じった状態を精査する作業でもある。)
⑤粗利の管理こそ事業性評価と言える。→要はどんな儲け方をしているか?
まとめ
いつも不思議に思うのは、人間は健康診断をして真剣に年に1回は自分の健康と向き合うのに、企業の健康状態は割と無頓着な経営者が多いという実態です。企業の血液であり体力の源泉は現預金です。現預金がある限り、企業は死にません。1000年以上でも生き続けます。笑
この本質を理解できれば今まで以上に、真剣に企業の財務状態と向き合い、永続していく企業がきっと増えて行くことでしょう。そんな願いを込めて、今回のブログを記しました。
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株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀
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