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29.ニ種類の資産運用
⬜︎「定期的収入」と「価値の増大」
資産運用をギャンブルの延長線上にあるものだと考えている方は少なくないと思います。
日本では、資産運用は値上がりを得るものだと考えられているため、損失や利益が発生することでギャンブルに近いものだと考えられているようです。
本来資産運用には、「定期的収入を確保するインカム・ゲイン」と「価値の増大を計るキャピタル・ゲイン」が存在することを多くの資産運用関係の専門家が伝えていないことが「運用=ギャンブル」という考え方を増幅させています。
インカム・ゲインに関しては次章でご紹介するとして、ここではギャンブルとトレードとインベストについてお話します。
⬜︎「4種類」の投資家
①ギャンブラーの目的は情報をもとにして鉄火場で当てること。逆に、外れることがある。
②トレーダーの目的は知識をもとにして相場で勝つこと。逆に負けることがある。
③インベスターの目的は原理原則をもとにして市場で企業の成長を応援すること。前者とは違い、かなりの時間がかかる。
このように株式市場では、価値の増大(キャピタル・ゲイン)を計るプレイヤーが3種類と、株式配当という定期的収入(インカム・ゲイン)を計るプレイヤーの、合わせて4種類のプレイヤーが混在します。
もちろん、ギャンブルやトレードで当て続けたり勝ち続けたりすることは至難の業です。これらは投機と呼ばれるものです。
一方、育てる運用(キャピタル・ゲイン)と稼ぐ運用(インカム・ゲイン)を投資と呼びます。
株式会社から見れば、世の中から長期の資金調達(資本金)するための手段として株券を発行しているのに、毎日売買されていては、長期の資金準備どころか、日銭に右往左往させられてしまいます。
⬜︎正しい基準で投資することが浸透していない
ギャンブラーもトレーダーもインベスターも、「安く仕入れて高く売る」という大原則は同じであるにも関わらず、日経平均株価やTOPIXなどの指標を、毎日の新聞やニュースで報道しているため、投資の基本を身に付けていない方が「その指標そのものが基準」であるように錯覚していることがとても危険に思えます。
なぜならば、仮に株式売買を商売として捉えるならば、自身が購入している銘柄の「平均買い付け単価(平均仕入)」を見て、それより安ければ購入の機会、高ければ売却の機会という判断が基準であるからです。