株の分析をしていく記事を毎日投稿しています。
今回はクローガー(KR)の損益計算書です。
企業概要
米国株。全米第2位の食品スーパーチェーン。出店数2800店舗。収益のうち100%が米国。
損益計算書
売上高
ここ15年間で5兆6500億だった売上高が12兆2000億に増えました。
このことから分かるとおり、成長スピードが遅いことが分かります。
遅い理由としてはスーパー自体がお堅いビジネスなので需要が急激に上がることが少なく遅くなってしまいますが、クローガーはこの業界の中では成長スピードは高い方です。
安定性はあります。
15年間で1度しか減収したことがありません。
また、2007年~2009年の間のリーマンショックの間も力強く成長し、1度も減収せず平均10%の上昇を見せました。
ですが、それはこの業界自体が需要の上下が激しくない業界なだけであってクローガーの強みではありません。
粗利益
ここ15年間で1兆4000億から2兆6000億に増えています。
粗利益率はこの業界はできるだけ大量に仕入れて1商品あたりの原価を抑え、できるだけ広範囲に広げた店舗に置くという規模の世界なので原価・営業費用がどうしても高くなってしまいます。
大企業の平均は20~25%で、クローガーも例にもれず23%です。
営業利益
営業利益はここ15年間で840億から2600億に増えました。
営業利益率はさっきも言いましたが原価・営業費用が高い業界なので2.5%という超低利益率になってしまっています。
ここ15年で販売管理費(出店費用・人件費などの販売するための費用)は2倍で抑えているので一応営業利益率は改善の方向に向かってきてます。
純利益、EPS(1株当たり当期純利益)
15年間で純利益は950億から3000億に増えました。
EPSは0.66ドルから3.76ドルに増えていて、純利益の上昇スピードを超えたことから自社株買いに積極的なことが分ります。
S&P500の株価はこの間3倍しか増えていません。
純利益の安定性は売上高と比べて低く、3回も減収しました。
ROE
ROE32%と高くスーパー業界の平均が25%と考えれば経営陣が優秀なことが分ります。
クローガーの評価
クローガーの損益計算書は平均的なスーパー企業よりも特段によく優秀です。
貸借対照表
現金
総資産4兆5000億のうち1%にも満たない400億しか持っていません。
ウォルマート5%、コストコが20%なことからクローガーは攻めた経営をしていることが分る。
この経営は意見が分かれる所です。
私的にはこの経営を長い間続けているクローガーが、急に防衛的になりだしたら逆にリスクが高まるので、変化する必要はないと思います。
在庫
総資産に占める割合は17.5%
大手の平均も同じくらいなので、これはいたって普通ということになります。
有形資産
出店数は右肩上がりに増えているので、有形資産が増えるのは自然なことです。
また、有形資産収益率は5%この数字は大手では低い方で、ウォルマート7.5%、コストコ10%。
ですが、この企業はガソリンスタンドも営んでいるので、その影響で低いのかもしれません。
長期負債
総資産4兆5000憶なのに対して長期負債は1兆2000億なので約25%です。
ウォルマート20%、コストコ15%
純利益をすべて完済に使ったとしても7.5年かかります。
ウォルマート3年、コストコ2年
このことから、クローガーは他の大手スーパーと比べて負債が多いです。
内部留保
内部留保をよく知らない人のために説明しておくと内部留保は貯金ではありません。
多少簿記の知識がある人ならわかると思いますが、内部留保とは経費と株主に償還するお金を差っ引いたお金の合計
つまり内部留保が成長している企業は相当な収益力があり優良企業な可能性が高いです。
クローガーの内部留保は15年間で5.5倍に増えました。
平均上昇率にすると12.5%。
ウォルマートは2倍、コストコは3倍
このとうりクローガーは大手スーパーの中ではずば抜けて収益力が高いです。
自己資本
自己資本比率は約20%
ウォルマート30%、コストコ32%
クローガーは全体的にことぐ大手と比べ財務不健全なこが分かります。
自己資本は15年で2.25倍
ウォルマート1.6倍、コストコ3倍
内部留保が15年で5倍になっているにもかかわらず自己資本がたった2.25倍しか増えていないのは、自社株買いの合計がここ15年で大きく増えたからです。
クローガーの貸借対照表
財務の健全さは低い方
成長力はある
※投資は自己責任でお願いします。