【作品レビュー】THE SPELLBOUND『THE SECOND CHAPTER』|ブンサテカバーも披露された初ワンマン。舞台裏語る独占インタビューとともに振り返る90分
BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之とTHE NOVEMBERSの小林祐介によるバンド、THE SPELLBOUNDのワンマンライブ『THE SECOND CHAPTER』が7月8日に東京・LIQUIDROOMで開催された。
昨年12月に活動開始し、今年1月にデビューシングル「はじまり」をリリースして以降、最新シングル「FLOWER」に至るまで5ヶ月連続で新曲を発表してきたTHE SPELLBOUND。初のワンマンライブは同週末限定でYouTube配信もされ、多くの音楽ファンを魅了した。
今回THE SPELLBOUNDは中野と小林に加え、BOOM BOOM SATELLITESでもサポートドラマーを務めた福田洋子、yahyelやDATSのドラマー大井一彌を迎えた4人体制で演奏を披露している。
電子チケット販売プラットフォームZAIKOの有料会員サービスZAIKOプレミアムでは『ZAIKO TV (旧:アンコールシアター)』と銘打ち、過去ライブのアーカイブをさまざまな形で公開中だ。
この日のライブの撮影は、長年BOOM BOOM SATELLITESのドキュメンタリーやライブ映像、配信ライブを手がけてきたディレクターMASATO IWAIが担当。全編ワンカメ撮影、編集なしの映像はステージ上のバンドメンバーと同じ目線の景色が堪能できるだけでなく、ZAIKO独占コンテンツとして、ライブ直後のメンバーインタビューも追加された約90分の作品として公開されている。
まずはZAIKOプレミアムにアクセスし、会員登録。観たい作品を探す場合は右上の虫眼鏡マークから検索ができる。なお、ZAIKOプレミアムではアカウント登録後、1ヶ月間は有料コンテンツすべての動画を無料で視聴し放題となっている。となっている。
本映像は、ライブ前の舞台裏・シーンから始まる。中野と小林、サポートメンバーの表情や様子からは、ライブ前の緊張感が映像を通してヒシヒシと伝わってくるため、視聴している側としても思わず背筋が伸びる。
ライブは、「なにもかも」で幕を開け、続いて披露された「名前を呼んで」のツインドラムによるダイナミックで疾走感のある演奏に思わず息を呑む。
伸びやかな歌声と陶酔感のあるシンセを交えたバンドサウンドが絡み合う、デビューシングル「はじまり」では、ステージ上のメンバーたちの姿が大きく画面に映し出される。その臨場感は、彼らが演奏する楽器の音だけでなく、息遣いまでも画面の向こうに届けてくれるような感じがある。
中盤では神秘的な雰囲気を醸し出す未発表新曲「YUME(仮)」のほか、BOOM BOOM SATELLITES、THE NOVEMBERSのカバー曲も披露された。THE NOVEMBERSの「TOKY0」カバーは、原曲の民族音楽のようなエスニックさにツインドラムの強靭なグルーヴが加わったことで陶酔感が向上。昇天できそうなトリッピーさは、何度でもアーカイヴで見たい本映像のハイライトのひとつだ。
一方、BOOM BOOM SATELLITESの「BACK ON MY FEET」カバーでは、中野がベースを演奏する姿も。彼のファンにとっては、往年のBOOM BOOM SATELLITESを思わせるエモーショナルなシーンとなったことだろう。
終盤では5月にリリースされた新曲「FLOWERS」のほかに未発表新曲「おやすみ(仮)」も披露されている。同曲は、壮大なスケールを感じる曲でバンドの初ワンマンのフィナーレを飾るにふさわしい1曲だった。
全曲の演奏を終えた後、ステージ上で小林はこう一言。「まだ始まったばかりですけれど、これから一緒に歩んでいきたいと思います」。初ワンマンをきっかけにバンドの本格的なスタートを高らかに宣言するシーンは必見だ。
ライブ終了後、舞台は再びバックステージへ。インタビューでは、今回のライブの準備について
「コロナ禍では音楽って後回しにされがちで僕らのようなエンターテイメントビジネス側にいる人間はすごく大変なんですけど、集まってくれる音楽ファンも心の受け皿みたいな場所を奪われて苦しいんですよね。
だから、今日ステージ側から客席を見ていて、こんな時、音楽ってとても重要な役割を持ってるんだなと思いましたし、多くの人々にとって生きる糧になっているこういう場所を奪い取ってはいけないということが改めてわかりました。
これから先、どんな時代が訪れるかわかりませんが人々が音楽に何かを求めて生きている限りは、やっぱり続けて行きたいなと思います」
と中野がしみじみ振り返る一方で、小林は
「とにかく今日できるベストを尽くしたというか、ものすごく貴重な体験をしました。でも、もっとすごいことができると思うし、まだ先があるはずなんでそれをしたい、見たいなという気持ちがあります」
とコメントしている。
今回のライブからは、THE SPELLBOUNDの“新章”を切り開いていくというの強い想いを感じることができる。また、インタビューパートにより、彼らのライブにかける想いがより鮮明に感じとることができる点にも注目したい。インタビューを見た後にもう一度とライブを見返してみると、最初は気づかなかったまた別の魅力に気づくはずだ。
ぜひ、ZAIKOプレミアムを通して、アーティストがライブに込めた想いを何度でも味わってもらいたい。