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【特別企画①】ライブ配信どうやる? 初心者が知っておくべき配信を成功させるコツとは?

新型コロナウイルスの流行をきっかけに音楽ライブや演劇、お笑い、ファンミーティングのようなエンタメコンテンツだけでなく、企業のオンラインセミナーやフィットネスなどこれまでリアルで行われていた様々なコンテンツがライブ配信されるようになりました。

また、最近ではオンラインでのライブ配信と併せて、リアルでもイベントを開催するハイブリッドイベントもよく見かけるようになりました。

しかし、ライブ配信をやってみたくてもまだまだそのために準備する機材やそれらを用意するために必要な予算がわからないという人も多いはず。そこでZaikoでは映像制作のプロ向け機材やライブ配信機材を数多く取り扱う撮影機材の専門店「プロ機材ドットコム」の代表取締役を務める森下千津子さんにインタビュー。

今回は、最近のライブ配信の状況や初心者が配信を始めるにあたっての心構えからライブ配信を盛り上げ、成功させるコツなどについて、お伺いしました。

オンライン配信の最新事情と必要機材

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最近のオンライン配信ではどんな形での配信が主流なのでしょうか?

1番多いのはセミナーやオンラインスクールですね。それと最近では、企業さんの見本市や製品発表会のようなものがオンライン配信で行われるようになっています。

コロナ禍が始まってすぐにライブハウスに人を入れられない状況になった時は、一番最初に音楽業界が配信に舵を切りました。その年は早い段階でJ-LODliveの補助金が出たこともあり、コンサートがオンライン配信で行われるようになったのですが、オンライン配信のみでライブを収益化できるのはトップクラスのアーティストに限られました。そのため多くの場合は、やっぱり現場に人を入れないと収益面では厳しいという課題にも直面せざるを得ない状況だったと思います。

その後、規制が緩和されたことで会場でソーシャルディスタンスを確保する形での公演も行われるようになったことでオンライン配信と併せてリアルでもライブを行うハイブリッドイベントが増えてきた印象があります。

企業のセミナーはウェビナーという形で行われることも増えました。最近は無料配信だけでなく、有料配信で行われるものもよく見かけます。

そうですね。無料配信されるのは、元々リアルでPRの一環として行われていた商品発表会やPRセミナーのようなものがほとんどですね。例えば、新製品発表会のオンライン配信だと後々その商品販売でちゃんと収益化できることが見込まれているため、企業もちゃんとPR活動のための広報費予算を組んで行います。一方、もともとオフラインでやっていた有料セミナーは、現在はオンラインにしてもちゃんと有料で回っているといった感触です。

オンライン開催ですと地方に住んでいる人でも場所に関係なく参加できたり、遠方の講師に登壇していただくのに交通費がかからなかったり、会場のキャパにも左右されず参加者を募集することができるというようなメリットもあります。

コロナ禍以降、オンライン配信が広がりましたが、今は自前で配信機材を揃えるライブハウスや企業といった事業者は増えているのでしょうか?

中には専門業者さんに頼んで配信そのものを外注するケース、機材をレンタルして配信を行うというケースもありますが、個人的には自前で機材を揃える事業者さんは増えている印象があります。

配信機材にはある種の魔力みたいなものがあるというか、実際に機材を見てしまうとアレもコレもみたいな感じで機材を揃えたくなる人も多いんです。

これはコロナ禍以前から見られる傾向ですが、配信をしたことがなかった人でも何かの機会に収録のために機材が揃ったスタジオに行くと結構感化されるというか、自社でもこういうシステムが欲しい、こういう機材でYouTube番組をやってみたいと思うようになるそうです。

それと定期的にウェビナーをやるような企業であれば、機材を都度レンタルするよりも自分たちでどんどん揃えていく方が割安だということもあって配信をやり始めた後に機材をレンタルから自前のものに切り替えるケースも少なくありません。

またレンタルの場合だと毎回セッティングするのも面倒臭いし、その機材がちゃんと動作するかの確認も必要になります。でも自前の場合だと普段から使っているからある程度は機材に対する安心感もあるし、設定も自分たちの設定にしたままにできます。そういうセッティングの手軽さは自前で機材を揃えるメリットですね。なので、頻繁に配信をするというのであれば、初期費用はかかりますが自前で機材を揃えることをおすすめします。

ライブ配信で使われる機材にはどういった傾向があるのでしょうか?

配信を始めるにあたっては、最低限カメラ、マイク、ビデオミキサー、オーディオミキサーの4つは必要ですが、どういった内容の配信をしたいかによって選ぶ機材は変わってきます。

例えば、セミナー講師1人とMCの2人で小規模なスタジオからセミナーやトークショーを配信するのであれば、家庭用のビデオカメラやコンパクトデジタルカメラ、ピンマイクと10万円以下のスイッチャーくらいがあれば配信は可能です。

ただ、大きな会議室やホールを使う場合だと、コンパクトデジタルカメラでは望遠レンズも足りないし、長時間の映像が撮れないので、業務用のビデオカメラを入れます。あと配信を重ねていくうちに映像のクオリティの善し悪しがわかるようになった人であれば、背景のボケを作ったりできる一眼カメラを使って画づくりにこだわってみるのも良いかと思います。

ライブ配信において大切なこと

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ライブ配信でやりがちな失敗にはどんなものがありますか?

最初は「購入したケーブルが合わなかった」「なぜか音声が来ない」「映像がチラつく」「配信が途中で止まってしまった」等の様々な失敗を経験すると思います。配信機器はコンシューマー価格で手に入るものも増えたとはいえ、プロには当たり前のことは説明には書かれていなかったり、意外な落とし穴がたくさんあります。

では、そうならないコツはありますか?

まずは自分たちで機材のセットアップから配信の出演までひと通りやってみるということは大事です。その上で失敗したところやわからないところは、ネットで調べたり、周りのプロの方に聞いたりするんですけど、答えにたどり着くのはなかなか大変です。

そのために私たちのような機材販売店をぜひ活用してください(笑)一度でも上手くいくとライブ配信の楽しさや良さがすごくよくわかるようになると思います。

ライブ配信の構成を考える時は絵コンテをあらかじめ用意しておいた方が良いのでしょうか?

配信業者が企業さんのコンテンツを請け負うというのであれば、そういうこともあると思いますが、初心者の人が手軽にまず始める時は絵コンテを作ったり、ライブ配信の段取りもあらかじめやっておくことはあまりないですね。

そういう意味では、事前にあまり打ち合わせし過ぎない方がいいんですよ。例えば、本番前の楽屋の時点で面白い話で盛り上がってしまうと、そこで満足してしまって、意外と本番ではその面白さを保ったまま話せなくなるということがよくあります。なので、私たちも事前に多少の打ち合わせはしますが、すごく盛り上がりそうになったとしてもそういうことを意識してある程度でやめておくようにしています。

それとライブ配信は「今、何か変なこと言ってしまったな」とか、そういう失敗も含めたリアルタイムでやっているライブ感に面白さがあることを意識しておくといいと思います。

ライブ配信は記事とは違って仮にちょっと自分が失敗したなぁと思うことでもそんなに深くツッコミが入ることは少ないんですよ。本当にまずいことであれば、後で編集でカットすることもできるので、初心者はあまりこんなこと言っちゃいけないかなとかは考えたりせずにリラックスして話した方が面白いコンテンツになると思います。そういう何が出てくるかわからない感じもライブ配信の醍醐味なんですよね。

あとは視聴者とのコミュニケーションというところもライブ配信の面白さですね。その配信で自分がトークをして、そこでダイレクトに視聴者の反応が伝わってくることに対して、面白さや感じたり、快感に思う人は多いはずです。

ライブ配信の出演者は視聴者から寄せられるコメントを積極的に拾っていった方が良いのでしょうか?

そうですね。ライブ配信ではそういう双方向性のコミュニケーションがないと視聴者は録画でも特に問題ないと思ってしまいます。配信中に視聴者が深掘りしてほしい、もっと知りたいと思っていることがわかれば、その話が広がることも多々あります。例えば、視聴者とのやりとりの中で自分でも思ってもみなかった秘話が出てくることもあるし、お互いのことを全く知らない視聴者同士がコメントに返信し合ったりして、そこでコミュニケーションが生まれることもあるんです。

なるほど。一方通行にならないような工夫が必要ということですね。

配信がひとつのコミュニティになっていくことを考える必要があります。普段はテレビの向こう側にいるようなタレントさんは遠い存在ですが、テレビと違いライブ配信というのは自分のコメントが拾ってもらえたりするとその距離感もグッと身近になったように感じます。

ライブ配信ならではのやり方を知る

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そういうことは企業セミナーでも言えることなのでしょうか?

企業セミナーの場合だと質問が飛び交うようなことはあまりないですね。ただ、企業さん側もあまりライブ配信に慣れてない場合も多く、演者がそこをうまく引き出したりするようなことありきでコンテンツを作れていないことも多々あります。

失敗するのを恐れるあまり、台本をガチガチに作ってその通りにやってしまうと、さっきも言ったように別に収録でも構わないわけで。やっぱりただ延々と一方的に資料の発表をするだけとか退屈な感じになってしまうと内容も伝わりにくい。そういう企業セミナーになってしまっている場合は、もっとライブ感を意識していくとより視聴者に伝わりやすくなると思います。

あと、オンラインとオフラインで見せ方は違うということに気づいていない企業さんやセミナー講師さんは多いと思います。

ライブ配信ならではの見せ方があるということでしょうか?

そうですね。さっきの双方向性的なこともそうですし、今だとZoomなどで資料共有して、講師の方がすごく小さく画面の横に写っているような配信もよく見かけます。それと資料自体もそんなにオンラインを意識してなくて、リアルでの紙でプリントした資料を配る感じというか、読むような資料になっていることも多くて。でもオンラインだと、紙で配布するわけではないので、画面で見せるPower Pointの資料もスライド1枚の情報量はそんなに多くなくてもいいんです。

それよりもアニメーションの活用で躍動感をだしたり、文字よりもピクトグラムを使うとか、簡易的な図で視覚的にわかりやすく伝えることを意識した方が視聴者には伝わりやすいと思います。それと講師の身振り手振りなどのアクション、そういう演出も大事です。あとなんならピクチャー・イン・ピクチャーでワイプで画面の端の方に小さく講師を映しても、スマホで配信を見たら小さ過ぎてよくわからないということもあります。なので、講師の身振り手振りもPower Pointの資料と一体化するような感じでちゃんと大きく入った映像にする方がより内容も伝わりやすくなることは意識しておく必要があると思っています。

確かに。視聴者が配信を見るデバイスは大きな画面のPCに限ったことではないですしね。

今はPCに限らず、タブレット、スマホで配信をみる人も多いので、視聴者のデバイスも考慮しておくことも重要です。これまでの動画配信ですと、テレビ局の下請けをするような映像制作業者さんが制作を請け負うことも多かったので、テレビ的な作り方が多かったのですが、今の新しい時代のライブ配信というのは、8割ぐらいの人がスマホやタブレットで視聴しています。もっとも昼間の企業セミナーなのか、夜のエンタメコンテンツなのかによっても視聴デバイスは違うと思いますが。

特に夜の配信は自宅でリラックスしながらスマホで見る人がほとんどなので、テレビみたいに文字でいっぱいのテロップを入れられても読みづらいんです。それとスマホで見ている人はSNSでシェアするためにスクショもしたいので、あまり余計なものを画面に入れてほしくないという人も多いですね。なので、今の配信の視聴者がどういったデバイスで、視聴していて、どうやってそれを友達とシェアしながらコミュニケーションして、広がっていくか。そういうことも考える必要があります。その辺がちぐはぐになっているとただ配信しているだけになってしまいます。

その意味では配信ではどうやってシェアされるかを考えることも重要です。例えば、海外には何千何百万人が見るライブコマースコンテンツがあり、SNSで1万件以上シェアされることも珍しくありません。そういうコンテンツは出演者が積極的にシェアを呼びかけるなど、そういうコミュニケーションを含めて視聴者がシェアしたくなるような工夫がされています。

その辺りは今の若いアーティストやインフルエンサーなどはよく理解している印象があります。

そうですね。ただ若い人はそうかもしれませんが、テレビにずっと長く触れてきたその上の世代になってくるとまだまだ配信をテレビのイメージで捉えている人は多いと思います。なのでライブ配信を成功させるにはそういった新しいライブ配信の文化に慣れていく必要がありますね。

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ライブ配信をする人はどんな指標を目標値として設定すると良いのでしょうか?

率直に言って、無名の人が最初からそういう設定をする必要はありません。そういう人がいきなり数字的なことを目標にしても、そのとおりにはいかないないし、失敗することの方が多いと思います。それよりもまず、友人など自分の近いところにいる人に見てもらうとか、すこしずつファンを増やしていくことを心がける必要があります。

例えば、17LIVEをファンもいない初心者がいきなり始めても誰にもリーチしないし、視聴者から何のリアクションも得られない中で毎日配信するのは、モチベーションを保つ意味でも大変だと思います。そうであれば、まずは自分とリアルで繋がっている友達にまず見てもらう。そうして徐々に口コミで広げていくことを目指す方がいいんです。そういう感じで近いところから自分のコミュニティを拡大していくこと、そして、それをコンスタントに継続していくことが大切です。

その意味ではライブ配信では、あらかじめ何時にライブ配信をするとSNSで告知することなどもポイントになってきます。特にライブコマースや有料のセミナーなどはこの日に配信するということを決めたらそこに向かってまず、プロセスを見せながら盛り上げていくことが大事です。だからといって、その告知の方法をひとつのSNSだけに頼っても駄目なんです。もっと多角的に考える必要があります。

それはリアルでの告知も並行して行うということでしょうか?

例えば、YouTubeで配信するとしても、YouTubeはチャンネル登録してる人に通知が行くくらいなので告知の手段としては他のプラットフォームより弱いんです。

だから、YouTubeでやるけれどもTwitterなど他のSNSを使ったり、企業さんであればメルマガでも告知する。また、店舗にポスターを貼ったり、駅前でチラシを配ったりするようなリアルでの告知も同時に行う必要があります。そういう地味な努力は意外と後で効いてくるので、特に商業的なものであればやっておいて損はないと思います。

では、いきなりゲリラで配信するようなことはしない方が良いということですね。

基本的にはそうですね。ただ、配信の告知をゲリラでやるのはアリです。とはいえ、SNSに自分のファンベースがないような初心者の場合はそういうことはあまりせずにそれよりも告知しておいた日に向けて、徐々に盛り上げていく仕掛けを作ることを意識した方がいいと思います。あとは自分の友達にその日に配信することをどんな方法でもいいので伝えておくことが重要です。

正直なところ、初めてのライブ配信は別に失敗してもいいんですよ。視聴している友達だったら、むしろそれを見て応援したくなるというか、失敗して何かオロオロしていても逆にそれをみんなで見守る保護者のような気持ちになって、逆にそれはそれで応援したくなると思います。

ライブ配信は最初からそんなに完璧じゃなくてもいいかもしれません。よく、ライブは一発撮りだから失敗しないようにしなきゃと気負ってしまい、それでライブ配信のハードルが高くなってしまうことがあるんですが、むしろ作り込んだ動画コンテンツよりもカジュアルにできるものだと思っています。準備不足を肯定するわけではないですが、多少のアラは味というか。配信者が慣れてくるのを見守りながら視聴者も一緒に成長していくみたいな感じというか。そうなれば、視聴者もこの人は自分が育てたみたいな気にもなるし、配信する側と視聴する側のつながりも強くなっていき、その人にファンが付くことになるはずです。

その意味ではシリーズとして配信する企業のセミナーなんかは、毎回同じ人が出演する方がいいですね。もちろんゲストは毎回違っていいのですが、メインのMCをする人はその企業内で持ち回りにするよりも担当者を決めてやっていく方が、その人にファンがつきやすいし、視聴者もより親しみを持って視聴できると思います。

ファンがついてくると確かに配信する側のモチベーションになりますね。

今、人気があるYouTuberにしても最初から人気があったわけではなく、色々な企画をやってみてその反応を見ながらファンがどういったコンテンツを好むのかを探っていく。その中で当たった企画を繰り返すことで今の人気を確立している人が多いと思います。

Zaikoでも顧客のアナリティクス機能があるので、そういった形で顧客の傾向を掴んでいくことはチケットを販売する上でヒントになりそうです。

だから、最初はまずはやってみることが大事なんです。そして、最適なスタイルがわからなければ色々な企画を続けていくうちに自分のファンがどういった内容のコンテンツを好むかがそのうちわかるようになってきます!アナリティクス機能もうまく活用して、配信→分析を繰り返せばきっとファンは増えていくのではないでしょうか。

プロ機材ドットコム
https://www.prokizai.com

ライブ配信初心者におススメの配信システム
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ライブ配信を始めたけど、クオリティを向上させたいという人のためのオンラインスクール ライブ配信の学校「LSS」
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