ネジの歴史
マイナスネジをあまり見ない
先日、友人が家具を購入するため、一緒にアンティーク家具屋へ行きました。明治から昭和のアンティーク家具が多く置かれていて「お洒落だなー」と思いながら見ていると1つ気づいたことがありました。「マイナスネジが多く使われてるなー」と。最近はマイナスネジを使うことも、見ることもほとんどありません。それなのに何故どの家具もマイナスネジなのか?と疑問を持ちながらもすっかりそのことを忘れていました。
日本でのプラスネジの普及
『松明は自分の手で』という本田技研の内容が書かれている本を読んでいるとこんな文が出てきました。
本田が、「俺、これ拾ってきたよ」といってポケットから出したのが、クロス・ネジなんですね。ものをつけるには、溶接かネジ締めかのどちらかですけれども、それまでわが国には、マイナス・ネジしかなかったんです。
昭和30年(1955年)前後に本田宗一郎がヨーロッパへマン島TTレースと海外のバイク工場の視察へ行った際にプラスネジ(クロスネジ)を使用しているのを発見して持ち帰ったそうです。(※初めて本田宗一郎が持ち込んだわけではないです) マイナスネジをプラスネジに代えることで締める時に力が入りやすい、機械作業で締めることができるなどのメリットがあります。
この文を読んで、先日のアンティーク家具屋でのことを思い出しました。その時代にはマイナスネジしかなかったため、昔の家具はマイナスネジで作られていたのでした。
プラスネジの歴史
マイナスネジは15~16世紀に誕生したと言われています。そしてプラスネジはアメリカ実業家のヘンリー・F・フィリップスによって1935年頃に作られました。実は100年前にはまだプラスネジはなかったのです。これはかなり意外でした。
水回りにはマイナスネジがいっぱい
よくよく考えると家の浴室、トイレなどの水回りにはマイナスネジを使われていることが多いです。マイナスネジのメリットは作るコストが安いことと溝に汚れが溜りにくいことです。水回りは細かいところに汚れが残りやすいので衛生面的にプラスではなくマイナスネジを使用されていることが多くなっています。
ネジは身近なもの
私たちの生活にネジは付きもので、今この記事を読んでいる端末にもネジは使われています。気づかないところで絶対にお世話になっています。
プラスネジ・マイナスネジという名前で呼ばれるようになったのはより最近であって、元々マイナスネジと呼ばれていたらプラスネジを発見できないわけがありません。プラスネジが使われることで技術力が大きく上がったように、身近なものに少し工夫を加えるだけで革新的な技術が手に入るかもしれません。