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大きな大きな箱を買う。
小さなものにした。本当に欲しいものは小さなものから手に入れてきた。握りしめられるほどの小さなもの。私の部屋には小さなものが溢れている。
・・・
どうも。年子育児中、家づくり中、歯磨きせぬまま布団に入り出れない私です。
家づくりを頼むだろう建築士の方(…まだプレゼン前なので、だろう。でもほぼ決めている。あの人がいい……)がものすごく素敵な方でした。瞳がしっかり輝く方でした。
それで帰ってふと自分の部屋を見渡し縮こまってしまった。
……こんな…こんな遠慮と妥協を塗りたくったような部屋に住む私の家を一緒に考えてくださるなんて。そんなの、面白みがないのでは…?
しかし大丈夫。
そんなことはない。絶対面白いのだそう絶対に面白い。すこぶるやりがいがあるのだ。
…
絶対大丈夫な根拠その一。
なぜなら予算がかなり限られている。あの手の瞳の輝かせ方をする人は、制限があるほど燃えるタイプだ。建築費が高騰しているらしいが、この困難な材料が揃った環境でこそ爆発させられる創造性をお持ちであろう。私たちにはお金がないが夢がある。さあ燃えるだろう?
その二。
彼のことを信じている。彼ならクリエイティブな手法提案で私たちを導いてくれる。きっとそうだと確信している。ほんの数時間過ごしただけだがこれには自信がある。彼以上に自分の直感を信じてる。私には職場初日からヒミツの恋愛カンケイを見抜く力がある。
その三。
これはこれまで大きな買い物をしてこなかった者の大きな買い物に付き合えるアツイ案件だ。ガチャガチャで引き当てたもの。雑貨屋で手に入れたチェス駒。拾った貝殻。ちぎった手帳の落書き。
小さなものばかり集めコツコツ自分を手のひらで握りしめ守ってきた私がついにはじめて自分の身体より大きなものを買うのだ。
どうだやりがいがあるだろう、燃えるだろう。
その瞳のきらめきさえも閉じ込めてしまえるくらいの大きな大きな箱を買うのよ私。
…
とそんな風に心を奮い立たせ、自分のことを卑下することなく家づくりに取り組みたいと思う。
憧れを抱くとすぐに自分をコースターみたいにして敷かれにいってしまうのだけど、今回は絶対乾杯するのよ。
・・・おしまい・・・
おまけ。
小さいものがたくさんある部屋でホコリが掃除しづらいので、気になっている羊毛のはたきを買おうと思う。あのオシャレな人の家にあるやつだ。Lサイズにしようと思っている。