【インタビュー】No.2 三谷 亮太郎
座・高円寺劇場創造アカデミー出身のメンバーを中心として活動する、CTAラボによる演劇創作プロジェクト。2023年度は劇作家・演出家の松田正隆を迎え、小津安二郎の映画『東京暮色』(1957)をモチーフに東京の現在を描いた新作『東京トワイライト ー強盗団と新しい家ー』を上演します。
本プロジェクトに参加するアーティストへのインタビューを複数回に分けて掲載します。第二回目は、俳優の三谷亮太郎(みたに りょうたろう)さんです。
これまでの活動(表現との関わりや経歴)について
まず最初に音楽をずっとやっていました。実は高校生のとき、大病して8ヶ月入院してたんです。その時期にハンドパンという楽器のことを知りました。やることもなかったので、病院でハンドパンを弾いていましたね。それで弾けるようになったんです。いまは「あくびがうつる」という団体で、演劇活動をしています。旗揚げ公演では構成・演出をしました。その経験が俳優としても、効いて来てる感じがしています。
CTAラボに参加しようと思った理由
劇場創造アカデミー在学中に受けた松田さんの授業が面白くて、どういう作品を作られるんだろうなって気になっていたというのがあります。修了して自分自身が出来たてほやほやだから、なるべく何でも挑戦する!という意志でオーディションを受けようと思いました。
今回の作品について
その場を歩くにしても、どういう存在としてそこにあるべきなのか、みたいなことを考えさせられてます。ただその場にいるっていうことが、演技の根幹なんだろうという気がしているのですが、とても難しいんです。
最近、猫のコミュニケーションの取り方が面白いと思っています。猫は自分が必要ないと思ったコミュニケーションは本当にしないんです。いい関係の作り方をしてるなと思っています。余計なものが削ぎ落とされていって残った、本当に重要なコミュニケーションをしている。そういうことが今回の演技とも繋がるかもしれないと思います。
今回の作品は、俳優同士がお互いラフな感じでいられるところがいいと思います。この打ち合わせしなきゃ、とか、あれをちょっと確認しとかないと、とか、あんまりしなくても多分できる。ちゃんと分業がなされている。それは稽古場でボスに追従するだけじゃなく、自分自身に自由な人が多いからかもしれないです。松田さん含めて、ですね。
東京について
高円寺は、毎日誰かが路上で何かを歌ってる、みたいなのがいいですよね。あの高架下に行ったら、絶対誰かの歌声が聞こえるっていうのはすごくいい感じがします。東京の街を好き、っていうのは、もっとちっちゃい好きなんです。地域全体が好き、とかいうのではない。要するに、あのお店が好きとか、あの美術館が好きとか、すごくちっちゃいんですね。そういう細かいレベルの「好き」が集まっているけれど、街全体として「好き」と思ったことはないんです。それよりも、大阪の道頓堀の周りの怪しい感じとか、京都の全てが整えられた碁盤の目の上に乗っかっている感じとか、青森の道端にリンゴが毎回積み上げられている感じとか、そういうものが好きかもしれないですね。
聞き手:森田諒一