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葛来奈都
2021年1月15日 21:51
あれは、高校の時の出来事だったと思う。「K君のお兄さん、見つかったって」ある春の日のこと、なんの突拍子もなく父が私に告げた。「見つかった」この一言にどれくらいの重みがあったか、若輩者ながらにもわかっていた。「見つかったって、どこで?」「山の中。雪が溶けたから探索できたんだろうね」「葬式はどうしたの?」「家族だけでやるってさ」「……そっか」これ以上のことを聞か