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ヤプリの飛躍を支えたデザイナー ヤプリ取締役 黒田氏インタビュー

今日は、1/28(木)20:00より開催するオンラインイベント「ヤフー出身起業家に聞く!~成功するスタートアップの作り方~」のプレインタビューとして、株式会社ヤプリ 取締役チーフデザイナーの黒田 真澄さんへのインタビューをお送りします。

「ヤフー出身起業家に聞く!~成功するスタートアップの作り方~」はヤフー社内向けのオフレコイベントを、外部公開する特別企画です。
ヤフー出身の起業家で2020年にExitを果たした株式会社ヤプリのCEO庵原さんと、パレットクラウド株式会社CEO梶谷さんのお二人をゲストに、ヤフー時代や創業時のハードシングス、Exitに至るまでのストーリーをYJキャピタルCEOの堀をファシリテーターとして伺っていきます。

▼日時、場所▼
1/28(木)20:00 @zoom webinar

▼Webinarへのお申し込みはコチラ▼
https://zoom.us/webinar/register/WN_zfy5cf1wTb2yij_gpLxBlA

▼イベント詳細はコチラ▼
https://note.com/yj_capital/n/ncad2ed253c5c

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株式会社ヤプリ 取締役チーフデザイナー 黒田真澄
ライブドア株式会社を経てヤフー株式会社の制作職リーダー。2013年4月、ヤフー出身の2名と共に「株式会社ヤプリ」を創業。取締役に就任。「続・ハイパフォーマンスWEBサイト(出版:オライリー・ジャパン)」にてヤフー社の取り組みを執筆。

最先端のアプリCMSへの技術的な関心が原動力に

堀:ヤプリには、当初どのような経緯でジョインされたのでしょうか?

黒田:もともと、私はヤフーのメディア事業部で制作のリーダーをしていました。そこでは、ニュース、ファイナンス、スポーツ、天気などのサービスを横断的に見る立ち位置で仕事をしていました。
庵原さんと一緒だったのは、ファイナンスとスポーツでした。庵原さんは北京五輪の制作責任者で、私はメディア横断で見ている担当者だったので、そこで関わりがありました。
ヤフーでは、iPhone発売時に全サービス50以上のスマホ対応を短期間で行うPJを担当していて、全サービス対応できるスマートフォン向けのサービステンプレートを作ったりをしていました。
今のヤフーのサービスも、当時私たちが作ったテンプレートを基に作成されていると思います。そんな時に、庵原さんからアプリのテンプレートを作りたい、という話が入ってきて、「今やっていることと似ているし、アプリのUI/UXも勉強したい」という想いから興味を持ち、ヤプリの事業にジョインしました。

堀:では、最初はスキル向上的な意味合いもありヤプリにジョインされたんですか?

黒田:実は、ヤフーのスマホ向けUI開発には、佐野くんも関わっていました。ヤプリの事業の名前にも佐野くんの名前が挙がっていて、自分の勉強にもなりそうだなと思い、興味を持ちました。

堀:北京五輪のプロジェクトの時には、庵原さんにどういう印象をお持ちだったんですか?

黒田:北京五輪の企画は、大手広告代理店からもらう膨大な広告PV枠を消化しきる必要があります。それだけのメディアパワーを持った企画が作れる、ビジネス面が強い人だな、という印象を持っていました。
北京五輪の企画へのヤプリ創業メンバーの関わり方は、庵原さんが全体を任されている責任者、私が制作を任されていたリーダー、佐野さんが開発側で実際に手を動かしていた、という感じでした。

堀:いつ頃から起業を具体的に意識し始めたんですか?

黒田:ヤプリのプロダクト開発に2年間くらいかかっていて、六本木ヒルズの中にあるアカデミーヒルズで企画書を毎週水曜日に定例の場で話し合う、というのを続けていました。それを通して、アプリの作り方の勉強もしつつ、構想を練っていきました。
だいたい二年かけてCMSを作り上げて小澤さんに見てもらったときに、小澤さん(現ヤフーCOO)に褒めてもらえたのは嬉しかったです。
はじめて他の人に企画を見てもらって、企画が評価されるか未知数だった中で、しっかりと評価してもらえたというのは一番、起業への踏ん切りがつきましたね。

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堀:独立・起業ということに対して不安などはなかったんですか?

黒田:私としては、高い技術力を持った佐野くんというエンジニアがいてくれたことでチームにも信頼感がありました。

堀:庵原さんが「メンバーのモチベーションを上げるために、積極的に取り組んでいった」という話をされていましたが、実際にモチベーションは上がりましたか?

黒田:アカデミーヒルズは利用料が高く、家庭持ちには家計的に辛かったです(笑)
ですが、静かな環境だし、周りもサービス立ち上げのための打ち合わせをしている人も多い雰囲気だったので、モチベーションは上がりました。
庵原さんから、「Y Combinatorのポール・グラハム(米国を代表するアクセラレーター、Y Combinatorの創業者)のTwitterをフォローして!」と言われて、毎日ポール・グラハムのツイートを見ながら起業をイメージするというのも、モチベーションアップでは面白かったですね。

堀:なるほど、庵原さんのモチベーションアップ術はしっかり効果があったんですね。

黒田:はい、ありましたね。

チームの「相談役」

堀:そこから、YJキャピタルからお金が入ってきて、いざ登記して起業、となったときは「ええい、いってしまえ!」という感じだったんですか?

黒田:最初は、家族の理解を得るのに苦労しました。ヤフーでリーダーをしていて、さらなる昇進も狙っていける状況だったので。なので、奥さんには実際にプロダクトを見せて「こんなアプリが作れるんだ」という説得をしていました。

堀:奥さんにもプロダクト見せたというのは、すごいですね。実際、家族に理解してもらい、創業を経て2年が過ぎ、大変だった時期もあったと思いますが、いかがでしたか?

黒田:いえいえ、楽しかったですよ(笑)

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創業当時の青山オフィスの様子

堀:黒田さんは辛い環境でも乗り越えられるというか、ストレス耐性をかなりお持ちなんですね。

黒田:ドMなので(笑)というのは冗談ですが、困難を乗り越えていく、というのは元々好きです。

堀:黒田さんはヤプリが創業期で鬼のように忙しくて大変だった時期に、チームの相談役のような存在だったと思っています。
当時、黒田さんが意識してらっしゃったことはありますか?

黒田:庵原さんも佐野くんも当時はプロダクト開発やビジネス面でストレスがたまっていたと思うので、なるべく話すようにしたり。サポート役に徹するように心がけていました。

堀:黒田さんはどういう風にストレスを発散していたんですか?

黒田:いえ、私は結構ため込むので(笑)一度発散すれば、しばらくため込めるんです。一度チームで言いたいことを伝えてストレス発散してからは、また目の前のことに集中していきました。

シリーズA以降はチャレンジの連続

堀:創業~シリーズA調達の2年間、大変だったというお話が庵原さんからありましたが、ご自身のモチベーションはどのように維持されていたんですか?

黒田:私がデザイナーで、佐野くんが面白いシステムどんどん作って、庵原さんが売るというそれぞれの役割がありました。私自身は面白いアプリを作るのに集中できたのが一番モチベーションに繋がっていましたね。

堀:ヤフー時代と比較して、ヤプリで成長したところはどんなところでしたか?

黒田:シリーズA以降に資金調達をして人を採用するまでは人数が少なくて火の車のような状態だったので、人がおらず何でもやらないといけない状態でした。客先でのディレクションやカスタマーサクセス、人事みたいなこともやったことがありました。
とにかくいろいろな職種にチャレンジしていきましたが、それも面白かったです。

堀:庵原さんのインタビューで、黒田さんがカスタマーサクセスの立ち上げにもかかわっていたという話を聞きましたが、どのような携わり方をしていたのですか?

黒田:今はシステム化されているのですが、カスタマーサクセスの立ち上げ当初は人もいなかったので、私ともう一名で手当たり次第に企業に行って、新機能を紹介して、その場でアプリの状態を見せて、その場でコンサルしてアプリの機能改善をしてから帰る、というのをバンバン回していました。

「アプリを作る」から、「アプリを育てる」へ

堀:シリーズA調達後から会社が一気に飛躍していった感触を、横で見ていながら感じていたのですが、そうしたことを内側から感じた瞬間はありましたか?

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黒田:カスタマーサクセス部ができたときから変わったな、と感じました。創業から4年間ほど新規顧客を増やすためにアプリを作って、ヤプリを通じてできたアプリが増えてきた頃と同時に解約も増えてきた時期がありました。その離脱抑止のためにカスタマーサクセスを導入し、「アプリを作る」から、「アプリを育てる」ことに意識が向き始めたのが、会社として大きな転換点でした。

堀:庵原さんも、QAができたことが会社としての大きな転換点と仰っていました。

黒田:確かにそれもありますね。

堀:Salesforce Venturesの浅田さん(当時。現One Capital代表)のアドバイスが活きたんですね。

黒田:はい、まさしくそうですね。

堀:YJキャピタルと一緒に仕事をしてきて、「これが一番思い出深い」というエピソードはありますか?

黒田:当時隔週で開催していた定例ミーティングの場でYJキャピタルと話していた時に、「CMSをたくさんの人に触ってもらいたいので、価格を下げたい」という話をしたことがありました。その時に、YJキャピタルからのアドバイスで「もっと価格を高くしよう」と方向付けてもらったのは、今思い返すと良かったです。私たちも頑固なので、一回のフィードバックでは聞かなかったと思うのですが(笑)おかげで価格設定を見直して、より高いクオリティのプロダクト作りに集中できました。

堀:当時の自分たちに今アドバイスできるとしたら、何をアドバイスしますか?

黒田:いいものを作るというのと、売るというのは違うというのは思いますね。お客さんに使ってもらったり、適正な価格で戦略を練る、というのは、当時より今の方が意識できています。創業メンバーは「いいものを作りたい」という想いが強かったので、売るという視点は弱かったと思います。
こういう機会がなければ、分からなかったですね。

堀:当時は、「営業しなくても良いものは売れる」と信じていましたよね(笑)

堀:最後に大事な質問です。もう一回生まれ変わっても起業しますか?

黒田:私は起業しますね。

堀:なるほど、それだけ、ヤプリでの経験が深く今にも活きているということですね。本日は取材、ありがとうございました!

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