2020年、前期の授業
突然大きく社会が変わった、それも世界同時に強制的に
もう元の世界には戻らないけれど、これは多くの価値観も元に戻らないことも意味している。過去の“当たり前”は通用しない。ここから縮小するサービスもあれば、生まれてくるサービスもある。とにかく社会が突然変わってしまった。
数年前から僕は大学で1コマ授業を持っている。そして今年度前期の授業は全てリモートの予定となった。(後期はまだ未定)
授業内で外部の人とハングアウトで繋げたり、LINEのテレビ電話で繋げたりと、ゲストと繋ぐ試みはあったけれど、僕自身が教室に行かないというのは初めて。更に今回履修する学生たちと直接顔を合わせることもない。
履修生とは3〜4ヶ月くらいの間、毎週画面上で顔を合わせるのに実際に対面する機会はこの先も無いかもしれない。今までの社会の価値観で見ればとても特殊な関係で、ちょっと味気ない感じもある。
でも、これは今後の社会では普通の経験になる。
対面が当たり前だった業務もネット上で完結してしまったり、ハンコを無くす動きが出てきたり、通勤する必要なく業務が進行することも多くの人が現在進行系で経験している。
もちろんまだ上手く進まない業務もあるけれど、この辺りは “かゆいところに手が届く” サービスの出現が期待できる。
状況に合わせてサービスは進化して生まれてくる。便利とはたぶんそういうモノなのだろう。(過去の便利は未来の便利とは言い切れないということにも気づいた)
そもそも僕の授業とは
まず僕の授業についての説明。
選択式の授業で生徒は10名程度。学生の専攻対象はプログラム、CG制作、SNSの設計の他と幅広く、学年は2年〜3年生が中心です。
僕が学生時代の頃もそうでしたが、情報ツールが身近になったとは言え、今の大学生も社会との接点が限られて社会のイメージが偏りがち(世界が狭い)です。
原因は時代と共に変わるけれど、今は学校の課題が複雑になることで勉強の時間が増えることや、時期によっては就職に向けた活動が過剰に活発になり、結果的に限定された視野の情報が増えることで社会との接点が狭まる傾向にあると感じてます。
そこで、学校や普段の生活の中で接点のつくりにくい人をゲストに招いたり、実際にオフィスを訪問することで、視野を広げた先に知らない世界があることを体感してもらう。それを一番の授業の目的にしています。
また、伝える力の大切さも重視しています。相手に上手く説明することもそうですが、相手の意見を聞く力を持つこと。
社会で活躍する方はこの辺りの力が強いので、実際にコミュニケーションを体験しながら汲み取ってもらいたいと、授業中はそれらを意識した「問」と「発表」の機会を増やしています。
ありがたいことに大手の会社の方々も個人単位で関わって頂き、老舗からベンチャーまで様々な業種や個人に協力を頂いてきました。
ですがたぶん、この授業では僕自身が一番楽しんでいます。(笑)
これからの働き方と人との関係
ここは個人的な見解だけども、
【人と人の信用で動くのが仕事。会社が仕事をするのではない。】
という考え方が、より色濃くなっていく気がしています。
これは能力主義とも相性は良さそうなので「時間」に縛られる勤務管理などは変わっていくかもしれない。そもそもオフィス(場所)に縛られる勤務体制も特殊な業態になるかもしれない。
また、実際に対面で顔を合わせることなく、プロジェクトが生まれ遂行し完結するという体験も増えていくと思う。
「組織」という存在のカタチや目的も変わってくるかもしれません。
今回僕の授業では、様々な働き方・生き方をしている方々を通して、2020年以降の世界を考えてみたいと思っています。誰も正解は持っていないけれども、既に起きている出来事や経験を元に何かしらのヒントを共有し、学生たちも巻き込んで共に考える時間になると良いなと思っています。
今期(2020前期)の授業詳細
・週に1回、曜日や時間帯は未定 (例年では、火曜日の18:30〜)
・100分 / 1講義 (通常90分 / 1講義)
・全12回 (通常全16回)
・授業開始時期は変更の可能性あり未定
・ゲストは時間に合わせてオンラインに参加してもらう必要がある
・ゲストへの謝礼は僕の大学からの1講義当たりの報酬を折半
イメージしている授業スタイルはラジオ
今考えている授業のスタイルはゲストとの対話型。
雑談を通して脱線しながらも、その “ひととなり” を引出しながらテーマに沿って話を進めることが出来たら理想通り。
イメージしている世界観は、たぶんラジオ。
ラジオの進行が一番適しているスタイルだと思っている。
オンライン授業を100分集中して聞くのは正直キツイと思う。既に他校で実践している先生の意見では「15分〜20分が集中の限界」という声も複数聞く。
生徒側の環境も27インチPCの大画面もあれば、5インチ弱のスマホ画面という人もあるだろう。広く快適なリビングもあれば、騒がしく狭い部屋だったりと環境も様々だと考えなければならない。
だから、履修する側もラジオを聞く感覚で、ながら聞きしてくれても良いし、寝っ転がって聞いても良いのではないのかなと思っています。どこかで「お!」っと興味を引く瞬間があったり、気になるフレーズに反応したり、そんな内容を提供出来ることが理想。
もちろん「授業」のスタイルをとるのだから、生徒側も参加できることが前提。リアルタイムの進行だから、気になるポイントで質問を投げかけたり反応できることが重要だと思う。
ZOOMやハングアウトなどの複数人同時に入れるサービスなら、学生たちも会話に加わる一体感がつくれる。
Youtubeライブの様なサービスなら、ゲストと僕だけを映し流すことで一般に公開することができる。履修生はその裏でグループチャットを立ち上げたり、コメント欄で反応することも出来る。もちろん、その場合はゲストの承諾が必要となるけれど。(大学の講義はもっと外に開いても良いのではないかと思ったりもしている。)
この当たりは探りながら試してみれば良い。
この授業でなにが生まれるのか
僕の授業は元々直接的なHow toを教える時間ではなく、授業での経験をキッカケにして何かに気づいたり考えたりする時間だと思っています。
時にそれは反面教師であったりしても、生徒のメリットに繋がるなら良いと思う。(何も残らなかったと言われるのが一番キツイ。)
履修生は毎回感想として反応を返すことで、出欠と成績評価の要素としようと思う。ボリュームは問わないけれど、質問やゲストへの言葉などを綴ってもらうことにする。
ただ、
今は「学生だから」「社会人だから」と立場によって状況が変わることも無く、共に意見を交換することが強みに繋がると思う。
そんな意味のある時間を、授業を通して積み重ねたいと考えています。
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