麻雀AI NAGA(ナーガ)を使ってみた感想 今後の麻雀はどう変化していくのか 〜ファンタジスタと麻雀プロ〜
書いてる人
麻雀歴(雀魂歴)2年弱の雀豪1大学生。
対局数半荘(30分から1時間くらいの一試合)600回強。ざわざわざわた
リアル麻雀は100半荘強くらい
この記事の意図
NAGA批判ではなく、素晴らしいツールだとした上で、NAGAは全てじゃないと信じたい。今後の麻雀はどう変化するのかを考える。
麻雀AI NAGAとは
昨今絶大な注目を集めている麻雀AI。ネット麻雀最強ランク(麻雀プロでもなかなか到達できない)に到達するレベル。
ドワンゴがサービスを展開しており、ニコニコ動画のアカウントと月額500円以上の課金(サブスク)をすれば誰でも利用できる。
NAGAに課金した経緯
純粋に麻雀強くなりたかった。プロも使うようなサービスにど素人の私でも同じ目線で語ってもらえる。AIとは何て素晴らしいツールなのだろうか。
勿論、月500円の出費は痛いけど、たまに課金するならちょうどいい。例えば、2,3ヶ月ごとに課金して、自分の成長を客観視するも良しかな…
麻雀は7,8割が運と言われるほど運要素の強いゲームだけど、ぼんやりと打つよりも、数字でうち筋を評価してもらえる方がモチベが出る。
ファンタジスタとは?
サッカー選手のファンタジスタが減ってきているらしい。私はサッカーはよく知らない。でも、かつてファンタジスタとして技術とスター性があった選手が対策されるようになり、また、戦術が進歩したことにより、そのような選手が減ってしまったということは教えてもらった。
ゆっくり解説、知ってる界隈のことだと「浅いこと言ってんじゃねーよ」ってムカつくけど、知らない界隈だと役立ちますね…
それでは麻雀とAIはどうだろう。
麻雀とAI AIはファンタジスタを潰すのか。
結論から言うと短期的に見ればファンタジスタを潰すと言えるが、長い目で見るとファンタジスタ育成に繋がるのではないか。また、AIが一つのムーブメント、流行のようになると良いのではないかと考える。
(ここからマニアックな話です)
麻雀ファンじゃない人にはあまり知られていないことかも知れないけれども、麻雀にも流行はある。昔は面前リーチ中心の麻雀が人気だった。しかし、雀鬼流という高速打、ガンガン攻めるという麻雀がとんでもなく流行った。そして、確率中心のデジタル派と呼ばれる副露多用の時代がきて、ついにAI時代が来た。
麻雀はハウスルールが様々であり、プロ組織によってルールが異なる。だから組織の流行り廃りで打ち方の流行り廃りも起こる。AI時代もMリーグルールや雀魂の流行によって勢いづいているとは思う。
Mリーグのファンタジスタといえば誰だろう。今季から現れた雀鬼流の継承者鈴木大介選手?今季半荘最高打点更新した鈴木たろう選手?いやいや、黒沢咲選手だろう。
彼女はセレブ打法という真似できない打法を打つ。
彼女は約30試合中、全体平均副露率が25%くらいなのに5%くらいという脅威の手法を見せる。
当たり前だけど、副露すれば和了は早く打点は安く守備は弱くなる。鳴かない面前は和了は遅く打点は高く守備は強くなる。AIは前者というか、和了が相手の攻撃チャンスも潰すという考えのもと、鳴けるところは鳴き、攻めるときはとことん攻める。攻撃が最大の防御という言葉が近い。(いや、そんな簡単にまとめられる考えじゃないかもだけど)
今季から現れた選手の中でも異彩を放つのが渡辺太選手。ネット麻雀界で一番強いプレイヤーは誰かというとこの人が出てくる。彼の強さを示すものとして、NAGAのプログラムに太選手の打ち方がかなり参考になっていると明言されるほどである。
Mリーグ初期は、黒沢選手の独特なスタイルが周囲の意表を突き、また守備の硬さから(当然運もあるけど)かなりの好成績を見せた。彼女もMリーグで人気が何倍にもなった選手の一人だろう。しかし、ここ数年の成績は振るわない。と、同時にMリーグの内容をNAGAに読み込ませる人によると彼女のNAGA度は低い。
太選手以外にもAIを参考に(基準に)する選手は多く、多くの選手のNAGA度は高い。運の要素はかなり大きいのを承知の上、素人目に彼女の速度感がAI時代の麻雀に追いつかなくなっている感覚はある。
NAGAが最強ではない理由
今のNAGAが最強ではない理由は2つある。
①NAGAのデータはネット麻雀を基にしたデータでしかないこと。
例えば間合い、思考時間、雰囲気から察することのできるものは大きい。実際上記の3つはプロも大事にしているところで、麻雀に限らず思考が読めるというのは非常に大きなアドバンテージだ。NAGAは牌のデータや確率からしか良し悪しを測れないため、ノータイムで切った時と、悩んで切った時では察せることが違えど表示はされない。
(勿論多少読み合いができても14種の牌からできることは少ないが)
②NAGAはまだまだ開発途上であるということ。
これはいろんなプロが言っているのでそれを読んでもらえれば。
近代麻雀は好きではないですけど、たまにはいい記事書きますね。まぁ市場を独占しているから仕方ないけど
ファンタジスタとNAGA
これも2つ私の意見がある。
①渡辺太も見方によれば一つのファンタジスタである。
そもそもNAGAの打ち方も完全に真似するのは簡単ではない。
先ほども言ったが、NAGAの打ち方はすごく攻めるしよく鳴く。「正直こんなの押すなんて、放銃した時が怖い」「面前なら高い手になりそうなのに鳴きたくない」1時間以上の集中力やヒューマンエラー、そう言ったことを極限に減らし勝ちに拘る、AIのように打つ。それも一つの到達点だ。実際、太プロや仲林プロ堀プロのようなNAGA度がめっちゃ高いプロ、いやNAGAの一歩先をゆく、つまりシンギュラリティのような麻雀はファンタジスタとしてMリーグ全体を大いに盛り上げているように思える。
②NAGAを打ち倒す打法と美学が合わさった時、新しいファンタジスタが生まれる。
これは明日かも10年後かもわからないが、いづれ訪れる未来だと考える。AIが麻雀含めボードゲームの終着地点だとは思わない。NAGAの思考を読んで一歩先をいく魔法のような強さとプレイスタイルを持つプロがいればそれは超魅力的だろう。ただ、NAGAの一歩先をいくにはNAGAをよく知らないといけない。
この記事は割と面白かった。AIの分野で将棋は麻雀の数歩先を行っている感じがした。
NAGAを打ち倒すにはNAGAの研究がものすごく大事だろうし、AIのブラックボックスさえ解明できるくらい理解が必要かも知れない。ただ、そこに到達した先、AIの流行が一周した先、黒沢プロのような自身の美学やファンタジスタと呼ばれるような選手が活躍するということを信じてやまない。
終わりに
なんか、当初はNAGAを使ってみたざっくばらんとした感想「これをこう打ったらNAGAにはダメだしされたけどなんでだろう」的なことを書くつもりだったが、日頃から麻雀プロやMリーグ、そしてそれを取り巻くSNSなどを見て感じたことを書いていたら筆が乗ってしまった。
正直私自身最後の「NAGAをどうやって打ち倒すのか」というテーマに対し「NAGAを超越した美学」は詭弁や精神論的だと感じる部分もある。しかしやっぱりAI信仰が進むにつれ「AI四人が打てばいいじゃん」という気持ちが湧く。これををなんとか覆すそんな進展やプロがいればいいなと思う。今後も麻雀の進展を見守りたいと思う。