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『ロボット・イン・ザ・ハウス』

『ロボット・イン・ザ・ハウス』
デボラ・インストール 松原葉子 訳(小学館文庫)

いい本を読んだ。

シンギュラリティの到達が本当に現実になるかどうかはさておくとしても、人工知能、AI が日進月歩ならぬ「秒進分歩」で進化すると言われる世の中にあって、そんなにすごいものなら、さっさと例のウイルスをやっつけてくれないかと、ぼやきのひとつもぶつけたくなるが、さすがのAI様をもってしても、そう簡単にはいかないらしい。

『AI崩壊』なる小説が映画化されたそうだが、「ターミネーター」、「ブレードランナー」など、人工知能によって人間が支配されるとか、ロボットが意志や感情を持ち人間に敵対するといった作品は多いと思う。

AIを搭載し、家庭の中に、家事などを人間に代わってこなす自律型ロボットが普及する近未来の英国といえば、まさしくドラマ「ヒューマンズ」の英国版リメークの舞台そのものだが、著者が描いたのはまったく異なる、いわばおとぎ話の世界。

前作の『ロボット・イン・ザ・ガーデン』同様、本作も、心が荒みそうになることに耐えなければならない日々にあって、温かく、ユーモアに溢れ、人に優しくしたいと思わせてくれる。

子育てを通じて親が成長していく物語。

秋には日本で舞台化されるとも聞くが、果たしてこのウイルス騒ぎでどうなることか。

第三作、『ロボット・イン・ザ・スクール』もすでに小学館文庫で刊行されているというから早く入手して読みたいと思う。




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