テスト終わり、早めに帰った放課後

「やめ。筆記用具を置いてください。」
それと同時に1週間近くなっていなかったチャイムの音がテストの終わりを実感させた。

多くの人が2週間も自分の好きなこともできず、束縛していたものから解放され、各々廊下に置いている大量のプリントやノート、教科書を片付けながら話している時、私は廊下からリュックを持って早退した。
お昼時にテストが終了するのに帰れる時刻は15:00。2時間近く学校で普及されたiPadで好きなことしたりする時間があった。
なんで残らないといけないの?
いつもなら我慢できるのに、なぜか今日はできなかった。

「今日、テスト終了後早退します。」
担任は無関心そうに了承した。

バスの中で景色を見ながらこれからすることを考えた。
本屋に行ってテスト期間ずっと読めなかった好きな本を読もう。英検の勉強もしよう。
皆が退屈そうに教室に座っている間、私は本を読んでいる、カフェで美味しいケーキを食べている。
両親は私がテスト終わりに本屋でケーキを食べながらゆっくりすることは知っているけど、まさか早退するとは思ってないだろう。

「明日お昼に終わるのに2時間もiPadを触る意味がわからない時間があるから早退してもいい?」
私がそう母に訴えると、父に聞いてと不機嫌そうに言った。
父はそれを聞いて猛反対、母は不満を私にぶつけた。社会に出たらどうだこうだと怒られた。

ズルをするのは良くない。それはわかっている。
だけど、どうしても教室が嫌いだったから、合わないから早退したいと思ったのだ。
中3の夏、どうしても教室に入りたくなくて泣きながら行った学校。別にどうこうされたわけではない。私が馴染めないだけ。
寮に入っていた時は1ヶ月に一回は風邪をひき、最終的には2週間原因不明の微熱を繰り返していたので、ストレスと食生活の乱れで退寮した。
そのころから今の学校が合わないと感じ始めた。
でもめげずに毎日学校に通った。
今日はだめ、早退したい。

私は本屋で本を読みケーキを食べて、満足いくご褒美の日になった。誰にも邪魔されない。
この時に読んだ森絵都さんの宇宙のみなしごって本がすごく心に刺さった。
主人公の女の子は不登校気味で、本当は自分の意見をはっきり言える、しっかりした子。
この子より私は状況はマシだけど、性格は見習わなければなって思ってた。

明日からまた学校。
嫌だけどしょうがない。休んでたりしたら勉強がついていけなくなって余計行きづらくなる。
でも大丈夫。
私は今日楽しんだ、思いっきり。
またこんな日が来るかは分からないし、本当はいけないことだけど、その日までまた頑張ろう。
本当に辛くなったらその時考えれば良い。


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