火星のチョコレート
ある日寝ていると、私は宇宙船に乗って、火星に行きました。火星はとても不思議なところで、火星人は地球の言葉を話し、人間のように服を着て、仕事をしていました。
火星には大統領がいて、私の噂を聞きつけてわざわざ宇宙船にまで会いに来てくれました。会った瞬間お互いとても惹かれ合いました。ビビビッ…。時間が流れ星のように去っていく、はじめての感覚。
話をする中で驚いたのは、どうやら、私は火星の最大の秘密を知っているらしいのです。
「何の秘密ですか?」と私は聞きました。
「それは言えない。言ったら君はいなくなる。」と大統領は言いました。
「でも、私は何も知りません。」
「知らないふりをするな。君は火星のチョコレートの正体を知っている。」
「チョコレート?えっ何ですか?」
「チョコレートは火星の宝物だ。火星の地下に沢山ある。火星人はチョコレートを食べて、元気になる。とてもおいしくて、我々の夢を叶えてくれる。」
「本当に心当たりがなくて。でも、チョコレートの正体って何なんですか?」
「チョコレートの正体は……」と大統領が言いかけたそのとき、突然、宇宙船に大きな衝撃が起きました。大統領は私を抱えて、逃げ出しました。外に出ると、空には敵の宇宙船が飛んでいて、レーザーを撃っていました。
「何が起こったんですか?」
「君は狙われている。だから攻撃された。チョコレートは実は……」と、そのとき、私は気を失ってしまいました。
目を覚ますと、私は自分のベッドにいました。やっぱり夢か。
しかし、枕元には大統領からの手紙がありました。
「君は火星のチョコレートそのもの。それは実は…人間の糞だったのだ。火星人は人間の糞を集めて、チョコレートに加工していた。人間の糞はとてもおいしくて、火星人の夢を叶えてくれた。でも、人間の糞はとても危険だった。人間の糞は放射能に弱くて、レーザーに触れると爆発するのだ。敵はそれを知って君を狙った。火星はあの時のチョコレートの…君の体内のチョコレートの爆発で滅びてしまった。しかしなぜか君は生き残っている。君はこの星の最後の客人だ。君には火星最後のチョコレートをあげる。これは君の夢を叶えてくれるだろう。大事にしたまえ。でも、決してレーザーに近づけないでくれ。さようなら。」と書いてあった。
手紙の横には、小さなチョコレートが置いてあり、手に取りました。とても固くて、臭くて確かに糞でした。私は願い事をしました。
「私は火星に行きたい。また大統領に会いたい。」と言いました。
すると、チョコレートはキラキラと光りました。私は眩しさに目を閉じました。目を開けると、火星にいました。火星は夢の中と同じでした。大統領は私を見て、笑ってくれました。
「おかえり、火星へ。君は火星のチョコレートの正体を知っている。我が星の友よ、チョコを使って、この星をよみがえらせてくれた。」と大統領は言いました。
私は大統領に抱きつきました。
私は地球に帰らず火星でたらふく幸せに暮らしました。…とさ。