不在配達の有料化という意見に伴う憂慮について
ただいま現役で宅配ドライバーです。ふと「不在配達を有料化するのか?」という記事を見かけました。
不在配達がなくなってほしい、という願いもありますが、不在配達を有料化に関しては「反対」の立場です。いっそ再配達料を取るくらいであれば、全体の配送料を上げた方がいいと考える人です。配送料以外であれば、配達指定時間の短縮が良いです。主に夜の配達の負担が大きいです。本来、眠る準備をしなきゃいけない時間に仕事しているわけですから。
確かに不在の時には、多少は悲しい気持ちになってしまいます。しかしBtoBのチャーター便と違って、宅配というのは薄利多配のため、落ち込んでいる暇もありません。次から次へと配っていくうちに、そんな気持ちも忘れてしまいます。
泣く泣く不在票を入れるドライバーに対して、心配する記事は誠に励まされます。本当に良い人ばかりでありがたいです。しかし「ドライバーがかわいそうだから再配有料にしよう!」と言われると「ちょっと待ってください」と言わざるおえません。何度も不在配達に苦しめられましたが、だからといって「一回で荷物を受け取らない人に請求すればいい」とは簡単にはいえないからです。
そもそも配達員のブラック労働を、個人のお客さん側に要因を求めるのがおかしい。配達員の労働がキツいのであれば、依頼している会社が現場の配達員の報酬を上げるなり、配達時間(主に夜配達)を縮小すれば良い。そもそもが会社の経営の問題なのに、対象をすり替えているとしか思えません。
それ以前に、不在配達を有料化するとなると、さまざまな新しいトラブルが考えられるからです。
以下の意見は、資料があるわけでもありませんし、私の経験上でいうので、物流全体像を見るには非常に乏しいです。ですが現場の宅配ドライバーのひとりが「再配達有料化は反対だ!」と主張する理由を述べます。参考までに。
前半は無料で読めます。一般的な事象からの考えられる意見をまとめました。
後半は有料記事になっております。私の経験上から想定された意見です。宜しくお願い致します。
再配料徴収でクランディングアウトが起きるかも
ちょうどこの本を読んだばかりで、P104のクランディングアウトの図説が気になりました。アメリカの行動経済学者ダン・アリエリーらによる実験が紹介されています。要約すると
①保育園のお迎えの時間に遅刻する保護者がいて(遅刻されると困る)
②保護者に遅刻したら罰金するペナルティを課した(これで減るかな?)
③結果、遅刻する保護者が増えてしまった(!?)
となります。
罰金したからといって、違反者が減るとは限らないという実験結果です。本によれば、お金を支払えば遅刻が許してもらえる。という心理が働いてしまうそうです。
もちろん罰金が全く無効か、というとそうとも言い切れないですね。罰金制度がしっかりとシステム化してる身近な例でいえば「交通違反」でしょう。交通違反の罰金は高額です。違反したら警察に呼び止められ、時間もかなり奪われます。しかも事故にもなれば逮捕されるリスクもあり、日常生活が崩れる恐れがイメージしやすい。罰金が交通事故の歯止めとして役にはたっているでしょう。
比べて不在時の再配達に、それほどの罰金が課せられるかどうかというと疑問です。通常の配達料金だと千円前後くらいが考えられます。配達員は警察のように他者を罰する権利は持っていません。ただお金を貰って配達しているだけなのに、受け取り側に「罰金」という発想で料金を課していいのか、はなはだ疑問です。物流が滞るのであれば、ただ単純に全体の配達料金の値上げと報酬を上げるのが良いと思うのですが…配達料金と不在を減らすのは、別個の発想が必要なのかと思います。
再配達せずに返品。また買う。
再配達のみに料金がかかってしまうと、もう再配しない人が増えるんじゃなかろうかと思うのです。
再配達せずに返品し、また注文して買う。その方が配送料かからないじゃん、返品に関して料金を取らないのであれば、再配達は損なので、不在票を放置して、また新しい商品を注文すればいい。そうすれば、実質1回受け取りになる。配達回数が減る感じがしませんね。この点に関しては思いつきなので、あしからず。
詐欺の手口に使われる
不在に関して詐欺メールも横行しているようですし、配達時の料金徴収は複雑化しない方が犯罪防止もしやすい。
実際、ヤマトのHPでも不在通知の詐欺における周知がされています。
例えばヤマトでは再配達料金を徴収することはありません。今現在(2024年)、一般的な宅配サービスに再配達料金はとられません。
しかし、再配達料金が払うのが当たり前になってくると、再配達料金の詐欺の手口が横行するような気がします。数千円ならばいいですが、クレジットカードなどの個人情報を誤って入力してしまうと、ごっそり金額が抜かれる怖さがあります。通販というのは誰でも使うサービスなので、忙しかったりして確認せず、詐欺サイトにリンクを飛んでしまうことも出てきます。
料金徴収は単純明快にした方がいいのです。単純だと詐欺メールにも気付きやすい。料金の取り方を複雑化してしまうと「これって支払いするんだっけ?」と支払う側にも、徴収する側も混乱して余計な時間がかかってしまいます。
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