【詩】周回遅れ
あの春嵐の午後
君がうしろに立った刹那
からだじゅうの細胞がざわめいて 気づいた本心
あぁ、そうか
そうだったんだ
きっと、もっと前から
そうだったんだ
わたしはいつも、周回遅れ
自分の恋も欲望も
一周遅れてやっと気づく
気づいたときには もう手遅れ
後戻りは とうにできない
気づいたばかりだっていうのに
君への想いは、止められないほど走り出した
いま小春日和の公園
君の手に触れた数秒
その手からもう熱が伝わらなくて 気づいた君の本心
あぁ、そうか
そうだったんだ
きっと、もっと前から
そうだったんだ
わたしはやっぱり、周回遅れ
君にもう愛されていないんだと
何周遅れでやっと気づく
気づいたときには もう手遅れ
引き留めることは とうにできない
気づいたばかりだっていうのに
かなしみは、静かに降り積もり、降り積もり
わたしはいつも、周回遅れ
とっくに愛していることも
もう愛されていないことも
気づいたときには……
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