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彼女が変な宗教にハマって実家を追い出されて同棲したけど、無職オッサンに寝取られて鬱病になった話【前編】
付き合って2年が経った頃、彼女が大学を中退した。僕が24歳、彼女が22歳の時のこと。彼女は明るくてちょっと派手な女の子でした。
結構頭の良い大学だった。辞めるのはもったいないと思った。一緒に暮らすシングルマザーの母親からはかなり反対されたらしい。そこで親子の仲が急激に悪くなったのを覚えている。
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中退後、彼女は中途採用で事務仕事に就いた。中退したことにかなり後ろめたさを感じていて、とにかく普通のレールに乗り直したかったみたい。滑り出しは順調で、何よりだった。
でも半年で辞めた。面白味が感じられなくて、元々バイトでしていた接客業に戻りたくなったらしい。
すぐ転職し、次はリラックマとかすみっコぐらしのグッズを売ってるお店の店員になった。
店長が物凄く良い人で、やりがいもあって、めちゃくちゃ楽しそうだった。僕は心底安心した。
でも辞めた。また半年しか続かなかった。やっぱり事務仕事の規則正しい生活がよかったらしい。
んで再就職。次は広告代理店の営業事務になった。
もう詳細は書かないけど、お察しのとおり、辞めた。2か月。
そこから1か月の間で、もう1サイクルした。
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2回目の転職をした辺りから、仕事が続かない自己嫌悪で病んだ彼女が、変な宗教にハマりはじめた。心理学的な、スピリチュアル的な。
自己愛を高めるセミナーとか、自意識の束縛から解放されて自由に生きるブログとか。あっという間にどっぷり信者になっていった。
その教祖的な人は、彼女のようなメンタルがあんまり安定しない人を惹きつけるような魅力があった。彼女は、その教祖が開催する1回で20万円くらいのセミナーに迷いなく参加していた。
当然、大学中退をよしとしない母親だから、そんなものにハマっている彼女との親子関係は、修復不可能なくらい最悪な状態になっていた。
ちなみにこの時彼女は無職。フリーターでもない。
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どっぷりハマった彼女は、フェイスブックやブログで発信を続け、いつの間にか教祖ナンバー2くらいになっていた。
勢い付いた彼女はついにセミナーを自主開催。参加費は10万円/人で、15人を集めて150万円を稼いだ。
その時は僕もある意味では洗脳されていたのかもしれない。素直にすごいなと思った。称賛した。
ただここで彼女は母親からほぼ勘当状態になってしまい、実家を追い出されてしまった。
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実家を追い出された彼女は、真っ先に僕に電話をかけてきた。
「行くところがない」と。
もう答えはひとつ、同棲しかなかった。
すぐに僕は自分の親に話をし、半ば無理やり家を出た。唐突すぎて、両親ともに言葉を失っていた。
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彼女と物件探しを始めた。とにかくすぐに住める物件を探した。
その間、彼女は貯金を切り崩してネットカフェを転々としていた。
部屋探しから1週間後には入居できていたと思う。
家具・家電は、彼女が稼いだセミナー売上ですべて購入した。
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同棲生活は本当に楽しかった。
毎日同じところに帰れる嬉しさ。朝起きたら隣で寝ている安心感。どこに行くのも一緒。
幸せ過ぎて、もうこれ以上なにも望まない、と本気で思った。
ただ、彼女は引き続き無職だった。
家賃は僕が全額負担していた。その代わり家事は全部やってくれていた。
心のどこかで、すごくモヤモヤしていたのを覚えている
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彼女がバイトを始めた。ここでちょっと僕のモヤモヤも晴れた。
あるテーマパークのフードコート。
働き口が見つかってとりあえず一安心。
このフードコートのバイトが地獄の始まりでした。
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彼女が妙に出かけるようになった。
今まで全然なかったのに、バイト終わりに帰らず夜そのまま遊びに行ったり、ひどい時には朝帰りする日もあった。
不自然に女友達との写真も送ってきた。まるで証拠を見せつけるかのように。ほぼ間違いなく浮気してると悟った。
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これとほぼ同じ時期に、自分の父が体調不良で精密検査を受けると、ステージ4のすい臓癌であることが発覚した。
余命3ヶ月。目の前が真っ暗になった。絶対夢だと思った。そんなことが起こるはずがない。まだ59歳だった。
宣告を受けた後の記憶はまったく無い。負荷がかかり過ぎて消えたんだと思う。
辛すぎて、母の顔も見れない。そこから壮絶な闘病生活がスタートした。
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珍しく僕と彼女が二人とも仕事が休みで、彼女と夜飲みに行った。普通に楽しかった。浮気のことを一瞬でも忘れられたような気がした。
帰りは手を繋いで歩いてゆっくり帰った。家に着くちょっと前のところで、歩きながら彼女がいきなり泣き出した。わんわんと。
たまたま傍にベンチがあったから座らせた。しばらく泣き続け、落ち着いたら彼女が話し始めた。
浮気を認め始めた。
マンネリ化して新鮮味がなくなって、このまま家族みたいになっていって、そんな気持ちのまま結婚なんてできない。そもそも結婚なんて話題出てきたことないし、このまま先の見えない不安があるまま進むのが怖くて、浮気してしまった。と。大好きなのに、このまま気持ちがどんどん薄れていくのが怖い、と。
聞いてて胸が苦しくなった。確かに安心感というか、まだお互い全然若いのに落ち着きが出てしまっていた。僕はそれを良い意味で捉えていたけど、彼女としてはまったくの真逆の思いだった。完全にすれ違い。自分にも非があるなと思った。
聞けば、浮気相手はフードコートで一緒に働いてる先輩で、37歳のアルバイト。それもなんか悔しかった。
帰宅後、彼女は黙って家を出ていった。浮気相手のところに行ったのは間違いなかった。心臓が押し潰れそうになった。
結局その日は帰ってこなかった。