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インディーズゲーム「犬神ディフェンダーズ」の音楽制作話&バトル曲解説。
最近、真夏のプールの日焼け姿のまま子どもと一緒に七五三の前撮り撮影をした山本由貴子です。撮影した季節がバレる~!
Twitterで何度も告知していますが、2023年7月18日にリリースされたSteam版タワーディフェンス系ゲーム「犬神ディフェンダーズ」のBGM制作を担当しました。
「犬神ディフェンダーズ」はLibragamesのNesさんが一人で制作しているインディーズゲームで、Nesさんが過去に制作した「Reverse Defenders」の進化版的なポジションになります。
今日のnoteでは、その犬神ディフェンダーズのBGM制作の
についてお話したいと思います。
1. 制作経緯
最初にNesさんから依頼を頂いたのは2022年6月でした。
私の曲をAudioStockで知って連絡を下さったとのこと。ありがたや~!
多くのインディーズゲームは素材サイトからBGMを借りて使用することが多いようですが、Nesさんは「バトル曲にオリジナリティが欲しい」とのことで今回ゲーム用にオリジナル曲を、とご依頼いただきました。
最初は通常戦闘曲とメニュー画面のみのご依頼でしたが、ゲーム制作が進むにつれてバトル曲の制作は1曲→3曲に。
「このゲームはバトルがキモ!」とのことで、NesさんとはメールとDiscordでかなり綿密にバトル曲の構成や曲調のやりとりを行いました。
架空のゲームを想像してゲーム音楽「風」に自分で好き勝手作るのも楽しいですが、ゲーム音楽はやはりゲーム画面とマッチしてこそだと思うので、自分よがりになり過ぎず、けれどもゲームサウンドの演出家として印象的に振舞いたい、というのが私のゲーム音楽とゲームサウンドへのスタンスです。
2. バトル曲解説
犬神ディフェンダーズは戦闘フェーズが進むに従い、バトル曲が変わっていきます。そんなわけでフェーズに合わせてバトル曲を3曲制作しました。
・通常戦闘曲
犬神ディフェンダーズで一番よく聞く戦闘曲です。
よく聞く戦闘曲なので「カッコイイけど聞き減りしないBGM」を目指しました。
また、Nesさんから参考となるバトル曲を提示してもらったのですが、「こういう印象的なフレーズが欲しい」とご依頼を頂いたので、曲の頭からではなくCメロから作り始めるという、少し変わった形で作曲しました。
Cメロ=動画の1分2秒~のフレーズです。
ここのストリングスの駆け上がりを格好良くしたくてストリングス音源を買いました。
・ボス戦闘曲1
みんな大好き、ボス戦BGMです。
多くのゲームではボス曲は通常戦闘曲より尺が長めに制作されていますが、犬神ディフェンダーズは戦闘の1フェーズの長さが60秒と決まっており、ボス戦も60秒だったので、ボス戦曲ですが通常戦闘曲より短い60秒で制作しました。
60秒のボス曲、思いの外難しい。沢山入れたいフレーズはあるけれど60秒で終わらせないといけない。
しかもNesさんより「前作のボス曲のフレーズの一部を入れて欲しい」というご依頼も頂いたので、そちらも加味しつつの60秒。前作のフレーズは冒頭に入れてみました。前作プレイヤーさんに気付いてもらえたら嬉しいな。
フレーズは浮かぶけれど60秒に上手くまとめられなくて今回の作曲の中で一番苦労しました(Nesさん作業遅れてごめんなさい!)。でも「このボスを倒さなきゃ、倒したい!」という勢いが出せたかなと思います。
曲の動画がなく恐縮ですが、興味がありましたらゲームをプレイして確認してみて下さい!
・ボス戦闘曲2
もっと強いボスの曲です。
Nesさんから「おどろおどろしい感じにして欲しい」とのリクエストを頂きました。
「パイプオルガン+エレキギターの曲、格好良いかも!」と思ったのですが、打ち込みのギター音では限界があると感じ、過去にグレートアニマルカイザーのテーマ曲や太鼓の達人の「忘却のティルナノグ」でお世話になった鷹さんに、今回もエレキギターの演奏をお願いしました。
今回、予算の都合でリード+一部のバッキングのみ鷹さんの演奏で、それ以外のバッキングは自前で打ち込みました。お忙しい中ギター演奏をしてくれた鷹さん、どうもありがとうございました!!
こちらの曲も1フェーズ60秒の戦闘システムに合わせ、60秒で1ループの仕様になっています。私はまだゲーム本編で聞けてないので、頑張って攻略したい!!!
いつだったか、作曲家の谷岡久美さんが「戦闘曲は他のBGMを作るよりもずっと大変!」とTwitterで仰っていたのですが、私も谷岡さんと同じ気持ちです。
同じ1分の曲でもRPGの街の音楽を作るよりもずっと消費カロリーが高く、トライアスロンを怒涛の勢いで乗り切る感じに似ています。
私はそこまで戦闘曲作りが得意な方ではないのですが、ゲームリリース後、ゲームを実際にプレイした方に「戦闘の音楽良かったです!」と言われ、頑張って作った甲斐があったなあ!と喜びで胸一杯になりました。
3. 犬神ディフェンダーズは「子育てしながら仕事したい」を叶えた作品
Nesさんからメールを頂いた2022年6月頃はまだ子どもも小さく、1歳の子どもを抱えながらなんとか創作活動を再開した時期でした。
子どもをフルタイムで預ければ仕事の時間は確保できる。けれど私は育児もしたい。そんな我が儘を通すため、当時は週1~2回昼間の3時間だけ子どもをシッターに預け、その時間を創作に当てていました。
(現在、2歳になった子どもは週3日の時短保育園にまでレベルアップしています)
そんな事情を理解の上、作曲のご依頼を下さったNesさんには本当に感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
そんな訳で、「犬神ディフェンダーズ」は私にとって「子育てしながら仕事をする」という自分の夢を叶えてくれる素敵な作品になりました。
久しぶりのゲームの制作で「もっとああしたかった」という反省点は色々ありますが、今回の経験をバネにこれからも自分なりのやり方でゲームサウンド制作に関わって行きたいです。
(商業・インディーズ問わず、ゲーム音楽とゲームサウンドのお仕事、お待ちしております!)