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「ダイアナ妃の”憎き”継母」

原題 Princess Diana’s “Wicked” Stepmother
製作国 イギリス
製作年 2017

ダイアナ元皇太子妃と、その継母となったスペンサー伯爵夫人レイン。当初は憎しみあい、妃の離婚の苦悩を機に“無二の親友”となってゆく。美貌の才女2人の知られざる物語。
少女時代のダイアナの前に現れた父の再婚相手は、イギリス社交界の華だったレイン。斜陽だった伯爵家を全面改装し、家計をテコ入れする敏腕ぶりにダイアナは反発。弟の結婚式では階段から継母を突き落とすまでに・・・しかし、離婚のどん底の中で、ダイアナはレインの中に、自分にも通じる“大人の女の諦観”を見つけ、唯一無二の相談相手として頼っていく。憎しみから愛へーーー人生の曲がり角で接点を見つけた2人の関係を描く。
(BS世界のドキュメンタリー)

ダイアナ妃の継母にこんなすごい人がいたとは。
インタビューのなかで皆がふんわりとした髪型に騙されてはいけないといっていたが、サッチャー首相を多少ふんわりしたような雰囲気の女性。
3度も伯爵夫人になるのだから只者ではない。

そのレインとはどのような女性か。
1929年、中流家庭生まれ。母は恋愛小説家、父は軍の士官。社交界デビューを果たした後、見事に伯爵夫人の座を手に入れる。それだけでは満足しない彼女は政治の世界に足を踏み入れ、23歳の時には最年少でウェストミンスター地区の市議会議員に。
25年間の結婚生活の後、離婚。そしてスペンサー伯爵と再婚。正式に結婚したことを子供たちは知らされていなかった。この時ダイアナ14歳。ダイアナとその兄弟たちは継母に対しあからさまな拒絶反応を示したという。
1992年にスペンサー伯爵が亡くなると財産全て失って家を出ることに。(イギリスの制度では彼女には何の財産も残されない。)
それでも前しか向かない彼女は13ヶ月後、フランスの伯爵と結婚。
そんななか、自身の結婚や実母との関係悪化のなかでダイアナが頼るようになったのがレインだった。ダイアナ妃が伯爵とレインをケンジントン宮殿に招き、そこから新たな2人の関係がスタートする。手紙のやり取りだけでなく、毎朝電話するほどの仲だった。
2年の結婚生活の後、レインはフランスの伯爵と離婚。ダイアナの紹介でハロッズの役員になる。
2016年に死去。

レインという女性、いろいろな意味で強烈。
スペンサー伯爵夫人となったら家の壁をピンクにしたり、額縁の装飾を金箔にしたり。パーティを開く資金にするために勝手に歴史ある絵画や家具を売り払ったり。そしてダイアナが結婚すると家を観光地化してグッズ販売まで。
ダイアナたちは彼女をacid rain(酸性雨)をもじって”acid Raine”などと呼んでいたという。子供たちが受け入れないのもある意味当然。
ダイアナ妃の弟がスペンサー伯爵を継いだ後、壁の色や金箔は元に戻されたという。
そんな彼女をダイアナが1人の女性として尊敬するようになる心情の変化が分からなくもない。
上昇志向が強いというよりも、ただただ前を向いて人と触れ合い何かをするという姿勢の持ち主のような印象を受けた。
ダイアナのグッズを自ら売り捌いたり、65歳過ぎてからは生き生きとハロッズの売り子をしている姿は素敵だった。
そして87歳の時には誰にも病のことは知らせず、お別れの挨拶がわりに自らパーティを取り仕切った。

ダイアナもそうだが、レインのような女性はこの先二度と現れないだろう。

ちなみに、インタビューにはダウントン・アビーの製作および脚本を手掛けたジュリアン・フェロウズも。

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