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気持ちを数字で

日本に渡るまで、母国の中学校で数学の教員として働いていた。
恋人に話したことがある。

ある日、恋人は会社の焼肉飲み会に行く予定だった。
恋人:焼肉いってくるね!
私:楽しんで来てね。
恋人:うん!帰ったらLINEするね
私:寝ちゃうかも
恋人:眠かったら寝てね
私:うん、行ってらっしゃい

約3時間後、恋人から一連の数字だけ来た。謎だ!

謎の数字は「なな好き」だった。正解だった。
恋人と同年代なので、ポケットベルの時代私も経験した。

いよいよ3回目のデート。
3回目のデートは恋人への気持ち変化の境目と言える。
量から質へ飛躍したって感じ。
それまで沢山LINEのやり取り、ほぼ毎日一時間以上の長電話、5時間の記録もあった。どっちかというと話しやすいお兄ちゃんって感覚だったかも。

その週末は娘と一緒に過ごすはずだったけど、それがなくなって、私は落ち込んでいた。
恋人は「会いに行っていい?」と言った。
私:もう昼過ぎだよ、逆にいいの?
恋人:うん、会いたいから。

昼ご飯食べずに、急いて支度して急遽私のそばに飛んできてくれた恋人。
高速片道1時間。
恋人は出張先で買った醤油屋さん特製のラーメンとお母さんが手作りの梅干しをもってきてくれた。

晩御飯は家近くの地元寿司屋。
テーブル席が空いてなかった。
私は「カウンターでもいいよ」と恋人に言った。

長電話の時両親の物語を恋人にちょこちょこ話した。
うちのママは今でも私にパパとの出会いを自慢してる。
ビデオ電話する度に、「パパはね、初デートの時,飴ちゃんを私の口にあーんしてくれたよ。」といつも私に満面の笑みで言ってくる。
「はいはい、甘かったね、よかったね!」と常にママをフォローする。
一人ぼっちの娘の気持ちを全然配慮せずに言いまくってくる。
まあ、ママは私が一人になったことずっと知らなかった。
そのストーリーはいつか書くかも。

恋人はデザートにさくらんぼが乗ってる杏仁豆腐を頼んでくれた。
一つのデザートを二本のスプーンで二人で食べた。

何気ない瞬間に、恋人はさくらんぼの軸を抓まんで、私の唇のほうに。
ドキッ!
私は赤っちゃんの捕捉反射のようにさくらんぼをくわえた。
甘すぎる!

パパはすごいな。女性はやっぱりあーんには弱いよな。笑
ママも、私も。
そして、恋人はパパをよく真似したな。笑

19時半になった、家の駐車場まで送ってくれた。
車から降りた。恋人も。
二人は車の横に顔を向けて立っていた。
恋人:ここでバイバイするね。
私:うん
恋人に軽くハグされた。
ドキッ
ドキドキ
なんか変わった気がした。
男気を感じてしまったかも。

恋人に「会いに来てくれてありがとう」お礼LINEを送った。
すぐに既読になって、すぐに返事が来た。

「今日みたいに急に1人になっても俺が行くから不安にならないで」
恋人の優しさに刺さった。
言葉だけでなく、ずっと私の都合に合わせて頻繫に会いに来てくれる恋人。
春の好き雨のように忍びやかに私の心の中に紛れ込み、細やかに私を潤して降り注ぎ続ける。

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