犯罪予防対策をしても、結局は 「人」 でしょうか?
2015年6月、新横浜-小田原間を走行していた東京発新大阪行き東海道新幹線「のぞみ225号」の先頭車両で71歳の男がガソリンをかぶって自身のからだにライターで火をつける焼身自殺を図り、男とその巻き添えを食った乗客の女性が死亡し、ほかに乗客26名と乗務員2名の計28人が煙を吸うなどして重軽傷を負う事件が発生しました。また、2018年6月には同じく新横浜-小田原間を走行中の「のぞみ265号」の12号車で当時22歳の男が旅客3人を鉈で切りつけて1人を殺害し、2人に重傷を負わせる事件が発生しています。
安全、安心であるはずの新幹線内で起きたこれらの事件を受け、JR東海はそれまで車掌や鉄道警察が担当していた車内巡回を強化するため“警備員”の乗り込みを決定し、現在ではすべての列車に警乗するようになっています。
わたしは毎週のように東海道新幹線を利用し東上していますが、新大阪から東京までの2時間半に車内で数回は警備員に出会います。彼らの制服姿は犯罪を企んでいる者には恐怖心を、善良な乗客には安心感を与え犯罪抑止に寄与するものですが、その警備員が自ら犯罪をしでかしたというとんでもないニュースがありました。
2月下旬、新幹線に乗っていた20代の女性客から「乗務員に体を触られたような気がするので確認してほしい」と申し出があり車内の防犯カメラなどを調査したところ、なんと巡回中の25歳の男性警備員が寝ている女性の上半身を故意に触っていたというのです。乗客は彼ら警備員に守られていると思っているから安心して寝ているのです。その信頼を裏切る行為は絶対に許すことはできません。
この男性警備員は調査に対し「わいせつ目的だった。周りに人があまりいなければ大丈夫だろうという認識でやっていた。去年の夏ごろから同じ行為を繰り返していた」と話しており、男の警乗の目的が犯罪を防ぐためでなく“獲物を探すため”だったとは呆れてものが言えません。警備会社は男を即刻解雇しましたが失った信頼はそうそう取り戻せないでしょう。
わたしも車内ではよく寝ていますが、知らないうちにいままで何回も“触られていた”と思うと恐怖で身体が震えます。
百田尚樹のニュースに一言 令和6年3月15日号より