●かつてダイオキシン報道に科学は敗れてしまった
ダイオキシンの報道はどのように行われたのだろうか。
図表2-7に最近20年間に、ある大新聞で書かれたダイオキシンの記事の数を整理した。
ついでに類似のものだが、もう若い人は知らないぐらい報道されなくなった「環境ホルモン」の報道も合わせて示した。
いかに一時的にダイオキシン問題がセンセーショナルに報道されたかがわかる。1997年に爆発的に記事件数が増えて、19 98年には最大で年間2500,f牛もの報道件数になった。
これは一つの新聞のみである。そこに毎日、7件以上のダイオキシンの記事、環境ホルモンを合わせると9件から10件の記事を読まされるのだから洗脳されるのも無理はない。報道は、ダイオキシンが人類最大の毒物だ、どこにでもある、ダイオキシンの毒性を避けるために母乳を飲ませるな、アトピーの原因の一つはダイオキシンだ、といった内容が続いた。そして、その延長線上に有名な、所沢産のホウレンソウにダイオキシンが高濃度で含まれているとする報道があった。
あまりにマスコミが騒ぐので、当時の厚生省は対策を取らなければならなくなり、平成14年には委員会を開いてダイオキシンの規制値などを検討した。その時の報告書を筆者は読み、また驚いたわけだが、そこにはこのように書かれていた。
「ダイオキシンは人間ではほとんど毒性が認められていない。急性毒性としてはニキビが最も重い症状であり、それ以外には認められていない。慢性毒性は今後の研究にもよるが、現在慢性毒性として認められるものはない。発ガン性とか奇形児の発生率についてもほとんど観測値はない」
しかし、だから規制しなくていいとはならなかった。厚生省の委員会は世間がこれだけ騒いでいるのだから、少しの間は規制値を決めておいた方が無難だという結論を出した。
これこそが「ダイオキシン問題は科学の力の弱さにある」と
和田先生をして嘆かせた要因の一つになった。毒物を専門とする研究者たちの報告より新聞記者によるペンの力の方が影響力を発揮したのである。
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』武田邦彦 洋泉社刊 2007年
日本の報道も、世界の報道もそのトップが乗っ取られると、本来の目的を失い、別の目的をもって世論が形成されてしまうことになります。
このことは、例えば、どこかでクーデターがあれば、真っ先に放送局が占拠され、報道管制が敷かれます。イロハのイの字です。
現時点で、NHK、TBS、朝日新聞など既に意図を持った『報道』モドキが行われ、地球温暖化、環境問題、LGBT、SDGs、夫婦別姓、などなど、社会を解体する方向での動きが多数見られます。私たちは、正しく現状を認識して、正しく日本や世界を導く指導者を見極めるべきでしょう。
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