見出し画像

第2章 マスコミが煽った「つくられた環境問題」◎一九九〇年に環境庁は解散すべきだった。(『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より抜粋)

第2章 マスコミが煽った「つくられた環境問題」
◎一九九〇年に環境庁は解散すべきだった

武田: 日本が環境問題をクリアしてきたのは、社長の命令以下、ホンダも松下もトヨタもみんなそうですが、一丸になってやってきたからです。だから十年くらい経つと、現実的には格段によくなって、ほとんど問題が解決できてしまう。
私は、そういう日本人の感受性と技術の応援をしたいんですね。
ところが、今や問題がないにもかかわらず、環境問題が大きく取り上げられるようになっている。それは、環境問題が創造されているからです。どこに問題があるかと言えば、「環境省」という役所が存続していることが大きい。だから、私は「一九九〇年に環境庁(今の環境省)は解散すべきだった」と言っているのです。

日下: なるほど(笑)。実際、問題はなくなったんですからね。

武田: 時々書いていることですが、これは日下さんに怒られる可能性があるんだけど。

日下: 怒らないよ。

武田: 私は、環境省を「戦争が終わった将校さん」に瞥(たと)えています。なぜかといったら、独立のために軍隊に入り、頑張って独立を獲得して功成り名をあげて将校になったら五十歳になっていた。独立は達せられ、戦争は終わってしまった。そこで、この人がどうするかが難しい。
どうして難しいかというと、将校にはなることができたけれど、将軍にはなれなかった。
将軍になるには、もう一回戦争を起こして、功績を上げなければならない。すでに独立という目的は達してしまったから、今度は別に戦争の理由をつくらなければならない。
たとえば、このままではある国が侵略してきて、独立が侵される可能性があるから、その相手国が侵略してくる前に、こちらから叩いてしまおうなどと。その戦争を起こすためには、「〇〇国が侵略してくるぞ」と、問題を提起して世論に訴えていく必要があります。
私が言いたいのは、環境省がそういうことをやってきたということです。環境省が無理矢理やったのが一九九〇年以降のいわゆる「つくられた環境問題」です。だから、これをもって私は「創造型環境問題」と呼んでいるんです。
実際、環境省の前身の環境庁ができたのが、環境問題が盛んだった一九七一(昭和四十六)年のことです。そして、省庁再編で「庁」から「省」に格上げになったのが、二〇〇一(平成十一 年。実際には環境問題が解消していたにもかかわらず、大きくなっている。
功績があったのだから大きくするというのは、そのお役所の対象が続く場合で、解消してしまったら、逆に縮小しなければならない。
もう―つのポイントとしては、環境省は科学者を利用したことです。これは意識してやったかどうかわかりませんが、環境問題を創造するためには、なにしろ将来のことなので、普通の人は予測できない。だから、科学者を動員しなければならない。たとえば、現在咳をしている人がいれば、それを治すお医者さんがいればいい。それと同様に、環境を改善するためには、当面の問題を解消するための技術者がいればいいわけです。
しかし、現在の問題ではなく、将来のことを言うので、どうしても科学者が必要になるのです。
そこで環境省では、科学者を連れてきて、「将来、こういう問題がひどくなる」と言わせるわけです。その一番の典型がダイオキシンです。
実際は、患者さんが一人も出ていないのだから何の環境問題もなかった。ラットが死ぬといっても、ラットが死ぬようなものはダイオキシン以外にも山ほどあります。私も国の原子力安全委員の審査をやっていますが、放射線に対する動物の影響などは、動物によって違いますからね。

『作られた環境問題』NHKの環境報道に騙されるな! 武田邦彦・日下公人 (WAC 文庫 平成21年発行)より
R061205 P48

いいなと思ったら応援しよう!